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第4回 読んでおきたい、SokoPの「Google Cloud 実践ガイド」

さまざまなビジネス課題に直接的なメリットを及ぼすBigQueryとLooker

BigQuery+Lookerの組み合わせ導入事例で見るデータ活用への効果

文●SokoP(浦底博幸)/Google Cloudパートナーエンジニア 編集● ASCII

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 みなさん、こんにちは。Google Cloudのパートナー エンジニア「SokoP」こと浦底(@urasoko)です。今回は「BigQuery」と「Looker」を組み合わせた導入事例とともに、双方の組み合わせがもたらすメリットについてご紹介します。

ビジネスの課題へダイレクトに効果をもたらすBigQueryとLooker

 まずはBigQueryとLookerを組み合わせて導入しているいくつかの事例と、そこで得られた効果や利点についてご紹介します。

Sunrun:組織全体でのデータのアクセス性、信頼性を向上

 Sunrunは米国の住宅用太陽光発電企業です。再生可能エネルギーの需要が高まるにつれ、さまざまなデータが増え続け、効率的なデータ管理方法を必要としていた同社では、BigQueryとLookerに移行し、高速クエリを簡単に実行可能にして、組織全体のデータのアクセス性と信頼性を向上させました。

 この事例に見られるBigQuery+Lookerの主な利点は以下の通りです。

  • ・生産性と労働データの分析情報を活用して建設プロセスを最適化し、計画を効率化して可能性を秘めた領域を特定
  • ・データウェアハウス(DWH)の設計時間、ETL、データモデリングの所要時間を50%短縮
  • ・データ開発サイクル全体を60%以上短縮し、モダナイズ、簡素化されたアーキテクチャで意思決定を加速化
  • ・ハブアンドスポーク分析モデルにより、コアビジネス全体でセルフサービス分析を可能にし、すべてのメトリックの管理と信頼性を保証
  • ・Lookerのモデリング レイヤであるLookMLを使用して、組織全体の指標定義を統合
  • ・Lookerダッシュボードで組織幹部の定期会合を容易にし、信頼できる唯一の情報源に基づいたデータドリブンな戦略の策定と実施を推進

 Lookerが備える柔軟かつ一貫したインサイトがもたらす、ビジネス課題に直結する利点が特徴的です。

Emery Sapp & Sons:定期レポートの“脱・Excel”を実現、効率化

 米国の土木工学企業、Emery Sapp & Sonsでは、かつてExcel Workbookを使ってデータを分析していました。おそらく読者のみなさんの職場でも、表計算ソフトによる集計は今も現役でしょう。しかしEmery Sapp & Sonsは、ビジネスの成長に合わせてスケールできる新しい基盤としてBigQueryとLookerを採用しました。

 この事例に見られる主な利点は以下の通りです。

  • ・Lookerで費用と給与のレポートを事前構築して自動的に作成。チームがレポートの生成に費やしていた時間を大幅に削減し、予定どおりのデータ配信を実現
  • ・週次の収益性と売掛金のダッシュボードにリアルタイム データを反映。より正確なキャッシュフロー予測ができ、連絡すべき顧客についての指針を得ることが可能
  • ・売掛金チームの残高合計や未払いの請求に関するレポートへの即時アクセスを実現。支店長は、支店の情報を顧客別に並べ替え、フォローアップの連絡に優先順位を付けることが可能

 Lookerで実現するデータドリブン ワークフローの裏側で、BigQueryによるリアルタイム分析が相乗効果を生み出しています。

Label Insight:データ基盤導入で200%のROIを達成

 米国企業のLabel Insightは、さまざまな商品のパッケージやラベルを分析することで、小売業者やブランド各社がトレンドと市場の需要を常に把握できるようにしています。Label Insightの新しいデータプラットフォームには、DWHとして機能するBigQueryと、ビジネスインテリジェンスに対応するLookerが組み込まれています。

 この事例では次のような導入効果が見られました。

  • ・レポート作成にかかる労働時間を1週間あたり120時間短縮。200%のROIを達成
  • ・毎月1万ドルの費用削減
  • ・プラットフォームのユーザー エンゲージメントスコアが約60%に到達(さらに上昇中)

 単純な基盤コストの削減だけではないROIの達成は、BigQueryとLookerの特性を掛け合わせた成果です。

メジャーリーグベースボール:過剰コストの発生を抑制

 メジャーリーグベースボール(MLB)のファンデータエンジニアリング チームは、350を超えるデータパイプラインを管理して、組織内外のデータ提供元からデータを取得し、企業向けDWH(EDW)に集約していましたが、2019年にBigQueryに移行完了して以来、MLBは最新のクラウドファーストDWHプラットフォームから多くのメリットを享受しています。

 この事例に見られる主な利点は以下の通りです。

  • ・複数のパフォーマンス テストを、最小限の費用で並列実行。定額料金に切り替えることで、予期しない超過料金を防止。部門間で未使用のリソースを共有
  • ・データセットをワークスペースのユーザーやグループと共有。データの民主化を推進
  • ・以前のEDWと比較してクエリ完了までの時間が50%短縮
  • ・以前のデータベース管理で生じていた運用オーバーヘッドも削減
  • ・LookerとBigQueryの統合により、ビジネスユーザーがデータにアクセスして詳細な検討を行うための洗練された高機能インターフェースを提供

 限りないビジネスニーズに応える一方、過剰なコストを抑制する独自機構が存在するのもBigQueryの特徴です。

 以上、4つの事例を簡単にご紹介しました。これに限らず、BigQueryとLookerを組み合わせた多数のユーザーが享受できているメリットについて、次はBigQueryの特性の観点から、上記4つの事例での具体的な効果も織り交ぜながらご紹介します。

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