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佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第85回

モジュール交換式のハイレゾDAP、Astell&Kernの「SE180」を聴く

2021年07月26日 13時00分更新

文● 佐々木喜洋 編集●ASCII

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 Astell&Kernの「A&futura SE180」はモジュール交換式DAPだ。A&futuraは、Astell&Kern製品の中でも革新的な技術をいち早く取り入れるためのラインナップである。「A&futura SE200」では一筐体に2通りのDACを搭載するという斬新な手法に驚かされたが、SE180はいわば王道と言えるモジュール交換式を採用している。

 本体にはディスプレーとCPU、ストレージ、バッテリーなどが搭載され、交換モジュール側にDACチップやアンプといったオーディオ回路が搭載されている。モジュール交換でAKM(旭化成エレクトロニクス)やESS TechonologyといったDACメーカーの違いによる、音の変化を楽しむことができる。

 こう書いていくと、SE180はモジュール交換式のギミックがメインのDAPのようにも思えるが、その狙いはさらに深いところにあるのかもしれない。

 SE180の開発においてAstell&Kernは、まずゼロノイズの実現を目標にして電源ノイズの最小化に重点を置いたという。そのためにDACとアンプを含むオーディオ回路と、ノイズを出すバッテリーやデジタル機器部分を切り離す必要があった。つまり、一般のモジュール交換式DAPは「音を変える」ありきでモジュール開発が始まるわけだが、Astell&Kernの場合はノイズ低減がまず目標にあり、その手段としてモジュール化したとも言える。また、アンプはDACの特性や音の個性に合わせて作る必要があるので、この方式は合理的と言えるだろう。

 結果としてモジュール交換による音の変化を楽しめるようになった。さらに、このモジュール化によってAstell&Kern独自の高音質化技術を「TERATON ALPHA」としてパッケージ化できた。TERATONは以前「ACTIVO CT10」に採用された技術だが、これはモジュールというよりは、Astell&Kern設計のオーディオ回路を他のブランドに展開するためのものであり、TERATON AlPHAとはいささか採用の意味合いが異なるそうだ。

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