このページの本文へ

RTX 3080 Ti搭載! OC仕様の高耐久グラフィックスカード「TUF-RTX3080TI-O12G-GAMING」

2021年06月03日 11時00分更新

文● 松野将太 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 日本時間6月1日、NVIDIAの新たなハイエンドGPU「GeForce RTX 3080 Ti」および「GeForce RTX 3070 Ti」が発表された。RTX 3080 Ti搭載カードは6月3日から、RTX 3070 Ti搭載カードは6月10日から、それぞれ販売が開始される見込みだ。グラフィックスカードの品薄が長期化している状況もあって、新製品の投入に注目しているユーザーも多いだろう。

 6月3日にリリースされるASUS「TUF-RTX3080TI-O12G-GAMING」は、GPUにRTX 3080 Tiを搭載し、耐久性に優れる「TUF GAMING」シリーズの独自GPUクーラーを採用したオーバークロックモデルだ。今回は販売に先駆けて製品サンプルを触る機会をいただいたので、その特徴や性能を見ていこう。

大型GPUクーラー採用のファクトリーOCモデル

「TUF-RTX3080-10G-GAMING」。価格はオープン

 前提として、コンポーネントの耐久性や堅牢さの追求に加え、価格を抑えることで良好なコストパフォーマンスを実現しているのが「TUF GAMING」シリーズの基本的な特徴だ。「TUF-RTX3080TI-O12G-GAMING」は、すでに発売済みのRTX 3080搭載カード「TUF-RTX3080-10G-GAMING」 と同様、TUFシリーズでは数少ないハイエンドのオーバークロックモデル。現在は先に述べた品薄による価格変動が激しいこともあって、コストパフォーマンスについて論じにくい状況ではあるが、本製品の魅力はむしろ、上位製品顔負けのスペックの充実ぶりにあると言ってもいい。

Aura RGB LEDによる発光部分は側面ロゴ周辺のみ。落ち着いた、それでいてしっかり主張はする配置だ

直径90mmの「Axial-techファン」を3基採用。ハイエンドGPUを扱うだけあり、冷却にも力を入れている

 TUF GAMINGの製品と言えば比較的さっぱりしたモデルを想像するユーザーも多いのではないかと思うが、本製品は上位GPUを搭載していることもあり、3連ファンクーラー採用で全長が300mmクラスの大型カードに仕上がっている。Aura RGB LEDによる発光部分も側面のロゴ1ヵ所のみで、「ROG」ブランド製品のような派手さはないものの、存在感はかなりのものだ。ヘアライン加工を施したシュラウド部分やバックプレートも高級感があり、チープな印象は感じられない。あまり光らない、落ち着いた外観のカードが欲しいという人にはオススメしやすいだろう。

ROGシリーズではおなじみのビデオBIOS切り替えスイッチを搭載している。工場出荷時はパフォーマンス設定だが、性能を少し落として静音化する「Quiet Mode」も利用可能

バックプレートは金属製

 すでに述べた通り、本製品はGPUの動作クロックをリファレンスモデルよりも引き上げたファクトリーオーバークロック仕様。ベースクロックこそ定格と同じ1365MHzだが、ブーストクロックは定格より90MHz高い1755MHzまで上昇しており、加えてユーティリティを使った手動OCにも対応できる。また、上位シリーズと同じくビデオBIOSの切り替えスイッチが組み込まれているため、フルパフォーマンスを発揮する「Performance Mode」と静音性を高めた「Quiet Mode」を切り替え可能だ。

 GPUクーラーは直径90mmのデュアルボールベアリングファン「Axial-techファン」を3基搭載。こちらも「TUF-RTX3080-10G-GAMING」と同じく、中央ファンのみを逆回転させることで乱流を抑制するチューニングを採用。加えて、GPUが一定温度を超えない限りファンが回転しないセミファンレス仕様となっている。モニタリングした温度状況を見る限り、高負荷時でもGPU温度は常時80度以下に抑えられていたため、性能についてはまったく問題ない。

5系統の映像出力端子を備える

補助電源ピンは8ピン×2。「Founders Edition」と異なり、コネクタは従来のものだ

 映像出力端子はHDMI 2.1×2、DisplayPort1.4a×3の計5系統で、最大5画面出力に対応できる。接続インターフェースはPCIe 4.0 x16、補助電源ピンは8ピン×2だ。総じて、機能的には「ROG」シリーズに迫るほどのポテンシャルを誇ると言っていいだろう。

性能はRTX 2080 Tiを大きく上回る

 実際に「TUF-RTX3080TI-O12G-GAMING」のベンチマーク結果を見てみよう。テスト環境のCPUはIntelの「Core i9-11900K」、マザーボードはASUS「ROG STRIX Z590-F GAMING WIFI」、メインメモリーは32GB(DDR4-3200)といった構成で、比較対象となるGPUに「GeForce RTX 3080 Founders Edition」、前世代最上位のRTX 2080 Ti搭載カード「ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING」を用意した。なお、GPUドライバーは「TUF-RTX3080TI-O12G-GAMING」のみテストドライバーの「466.54」、それ以外のカードでは執筆時点の最新版である「466.47」を使用している。

「GPU-Z」で取得した「TUF-RTX3080TI-O12G-GAMING」の情報

「3DMark」の「Time Spy」系テスト2種のスコアー

「3DMark」の「Fire Strike」系テスト3種のスコアー

「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」のスコアー

「Control」クオリティプリセット「高」、レイトレーシングプリセット「高」、フルHD解像度(1920×1080ドット)のスコアー

「Control」クオリティプリセット「高」、レイトレーシングプリセット「高」、WQHD解像度(2560×1440ドット)のスコアー

「Control」クオリティプリセット「高」、レイトレーシングプリセット「高」、4K解像度(3840×2160ドット)のスコアー

 いずれのベンチマークでも、基本的に「TUF-RTX3080TI-O12G-GAMING」はRTX 3080やRTX 2080 Tiを上回るスコアーを発揮できていることが分かるだろう。RTX 3080に対してはおおむね10%ほど優勢になる場面が多いが、RTX 2080 Tiに対しては30~40%ほどの大きな差をつける場面もあり、RTX 3080 Tiのパワーの大きさが感じられる。

 特に、テストの解像度が高くなればなるほど、他のGPUとの性能差は大きくなりがちな傾向は見やすい。逆にフルHD(1920×1080ドット)で計測した一部のテストではRTX 3080との差がほとんどなくなるような場面もあるため、ポテンシャルをしっかり生かしたいのであれば、やはり高解像度のゲーム環境で運用したいところだ。

4K環境での安定を目指す人に

 「TUF-RTX3080TI-O12G-GAMING」は、「TUF GAMING」シリーズ製品でありながらハイエンドGPUを扱うための充実した性能・機能を備えており、RTX 3080 Ti搭載カードとして申し分ない一品と言っていいだろう。基本的には高解像度環境で使用するためのカードだが、RTX 3080と比較してどちらに手を出すべきか迷っている場合は、やはり4K解像度での快適さをどれだけ求めるかがポイントになる。AAA級のヘビーなタイトルで4K・60fps超えを目指す場合、RTX 3080でも十分とは言えない状況もありえるため、RTX 3080 Tiがおすすめだ。

■関連サイト

カテゴリートップへ