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JAPAN INNOVATION DAY 2021 第35回

3D都市モデルを作る「Project PLATEAU」のポテンシャル

都市をデジタル化することで生まれる価値はどこにあるのか

2021年06月03日 08時00分更新

文● 重森大 編集●ASCII STARTUP

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 JAPAN INNOVATION DAY 2021において、国土交通省の内山 裕弥氏とボストン コンサルティング グループの葉村 真樹氏が「3D都市モデルの展開と都市のデジタルツインの実現に向けて」と題したパネルディスカッションに登壇した。

 国土交通省が進める「Project PLATEAU」(プロジェクト・プラトー)が生み出す価値はどこにあるのか? 都市のデジタルツインを作れることで社会にどのような影響を与えるのか? そのヒントを探るディスカッションとなった。

国土交通省が進める3D都市モデル整備事業「Project PLATEAU」

 

 セッションの冒頭、Project PLATEAUのコンセプトムービーが流された。「Map The New World」をキーワードに、都市の3Dデジタルモデルを整備する事業だ。整備した3D都市モデルをオープンデータとして公開し、それを活用したさまざまなソリューション創出を政府として後押しする。東京23区を課皮切りに56都市をデータ化し、誰でも見ることができる。

 「Google Earthじゃダメなの? とよく聴かれます。見た目はよく似ていますが、データ構造の中身が違います。一般的な商用3Dデータはジオメトリモデル、つまり幾何形状をモデル化したものです。プラトーはジオメトリに加えてセマンティクス性をもっていて、この構造物はビルであるとか、この面は天井、この面は壁といった定義付けをしてコード化されています」(内山氏)

国土交通省 都市局 都市政策課 課長補佐 内山裕弥氏

 駅、学校など建物の属性情報も定義されており、人間の目から見ればGoogle Earthと同じような見た目に見えるが、システムやプログラムから見るとまったく違うものだ。これこそが、Project PLATEAUで街を再現できる可能性を示す部分だ。

 こうした属性データを持つことで、ほかの多彩なデータと組み合わせて都市スケールでのシミュレーションや分析が可能になる。すでに、自治体との連携や民間団体と連携して実証実験が行なわれている。ASCII STARTUPで紹介したハッカソン、アイディアソンもそうした取り組みのひとつと言える。「都市のデジタイズ」ではなく「街づくりのデジタルトランスフォーメーション」を目指していると、内山氏は言う。

3D都市モデルをオープンデータ化する「Project PLATEAU」

 「Project PLATEAUに、商用利用や市場創出のポテンシャルがあるのかどうか。スマートシティやデジタルツイン実装にインパクトを持つのかどうかを考えていきたいと思います」(内山氏)

都市とはテクノロジーの塊であり、それはデジタル化により進化する

 葉村氏は、「都市そのものがテクノロジーの塊である」と語り、建築家 ル・コルビジェの言葉を引用した。

テクノロジーとは人間の存在の延長そのものであり、さらに拡大されてしかるべきである。そしてそれは、当然住居にまでおよぶであろうし、住居の群れたる都市にまでひろがるべきである
ル・コルビジェ 『輝く都市』より)

 100年前のスペイン風邪では、3波におよぶ流行で5千万人が死亡したとも言われる。これも、都市で起きた問題だ。そしてこのスペイン風邪をきかっけに都市は大きく変化したのだという。用途地域規制や下水、ごみ処理施設の整備といったと近代都市計画が誕生した。都市公園など公開緑地の再生にも取り組み始めた。パンデミックにより外出が制限された結果、テレフォンショッピングという新しい消費市場も生まれた。

 「現在もCOVID-19によって、同じような状況が生まれています。新たな都市計画の仕組みを模索すべきでしょう」(葉村氏)

ボストン コンサルティング グループ パートナー&アソシエイト・ディレクター 葉村 真樹氏

 そう言って葉村氏は、今度は米国の証券会社チャールズ・シュワブの社長であるデビッド・S・ポトラックの言葉を引用した。

インターネットやそれを取り巻く技術は、私たちの誰もが、より力強く、より責任を持ち、それがなくてはできなかった方法で他者に貢献することを可能にしてくれるものだ
(デビッド・S・ポトラック 『クリック&モルタル』より)

 「100年前のスペイン風邪と現代の新型コロナウイルス感染症との大きな違いは、デジタルテクノロジーの進化です。都市の課題解決にもデジタルテクノロジーを活用すべきであり、ひいては都市自体が人間の生活のさまざまな課題を解決する仕組みを持つべきです。こうした考え方をCity as a Serviceと呼んでいます。Project PLATEAUの3D都市モデルは、City as a Serviceのひとつのピースになり得るでしょう」(葉村氏)

 重要なことは、誰の、どのようなペインを解消すべきかという点だが、不動産ひとつを例にとっても課題は山積みだ。従来の自治体の都市立案はデータではなく経験に依る部分が大きく、高コスト低リターンになってしまっている。不動産やインフラ開発事業者は許認可作業に時間を取られ、データがないため開発効果の予測も困難、必然的に選択できるファイナンスオプションは限られる。これが投資にも影響し、不十分な情報に基づいて投資しなければならないため、パフォーマンスが低く開発が進まない。

 「すべての情報が可視化、予測、検知できるようになることで、ユーザーの課題解決につながります。これは私が常に言っていることなのですが、Project PLATEAUのビジュアライズ、インタラクティブ、シミュレーションの考えと偶然にも一致していますね。都市計画、設計、資金調達、開発、運営に関わるすべての情報を可視化、予測、検知することで先の不動産にまつわる課題も多くが解決されるでしょう。そしてこれをサービス化することでマネタイズもできます」(葉村氏)

「PLATEAU Business Challenge 2021」
オンライン説明会のご案内

 国土交通省は6月4日、PLATEAUを活用したビジネスモデルコンテスト「PLATEAU Business Challenge 2021」のプレイベントを開催。会場はオンライン(Zoom)。当日は、国土交通省の担当者による3D都市モデルの説明・Q&A受付ならびにイベント自体の説明・Q&A受付を実施する。

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