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最大8コア&5GHzでRyzenを凌駕!?

Core i9-11980HKやXeon W-11955Mなど、6コア/8コア版のTiger Lake-Hが正式発表

2021年05月11日 20時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●ジサトライッペイ/ASCII

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 2021年5月11日、インテルは開発コードネーム「Tiger Lake-H」こと、ノートPC向けの第11世代インテルCoreプロセッサーのメインストリームモデルを発表した。これは同社が今年1月の「CES 2021」と同時期に開催したオンラインイベント上で投入をほのめかしていた「物理8コア&PCI Express Gen4対応のモバイルCPU」にあたる。

 昨年9月に発表(関連記事)した「Tiger Lake-U」はTDP 12〜28Wもしくは7〜15Wの薄型/2in1ノートPC向けモデルで、CES 2021で発表(関連記事)した「Core i7-11375H」も「Tiger Lake-H」だが、こちらはTDP 28Wかつ物理4コアの薄型ゲーミングPC向けモデル(「Core H35」シリーズとも呼ばれる)となる。それに対し、今回のTiger Lake-HはTDP 35〜65Wの中〜大型ノートPC向けのモデルだ。

 発表に先立ち、インテルはプレス関係者向けにオンラインブリーフィングを開催した。残念ながら現時点では筆者のもとには実機がない状態だが、このオンラインブリーフィングで明かされた情報をもとに、Tiger Lake-Hとはいかなる製品なのかを簡単にまとめてみたい。

インテルの資料より抜粋。3つの「new!」で示されたセグメントはいずれもゲーミングノートPCである。new!の付かない左上のセグメントは、CES 2021で発表済みのCore H35プロセッサーが担当する。ちなみに、図の縦軸は希望小売価格、横軸は性能を示している

前世代に比べて19%のマルチスレッド性能向上(かつ世界最速のシングルスレッド性能)、PCI Express Gen4対応による最新GPU/SSDの活用、Thunderbolt 4やWi-Fi 6Eの対応などが訴求ポイントになる。そして、採用ノートPCは80デザイン以上が見込まれると謳っている

Tiger Lake-Hは物理6コアまたは8コアでTDPは35〜65W

 以下の表は、今回発表したCPUの型番およびスペックの一覧となる。Core i9-11980HK、Core i9-11900H、Core i7-11800H、Core i5-11400H、Core i5-11260Hの5モデルは「Comsumer Mobile」とあるので、ゲーミングノートPC向けとなる。一方で、Xeon W-11955M、Core i9-11950H、Xeon W-11855M、Core i7-11850H、Core i5-11500Hの5モデルは「Commercial Mobile」なので、ビジネスノートPC向けと位置付けられる。

Tiger Lake-Hのうち、コンシューマー向けと位置付けられる5モデルのスペック。最上位であるCore i9-11980HKは8コア/16スレッドで、最大5GHz動作。コンシューマー向けゆえにvProなどの機能は対応しない(表右端の3列)

こちらはビジネスノートPC向けTiger Lake-Hのスペック。“W”で始まる型番はCoreではなくXeonブランドだ。vProなどの機能をフルサポートしている

 物理コア数が6コアないし8コア(当然、HTも対応)、メモリーはDDR4-3200までサポート、内蔵GPUはIntel Xe GraphicsをベースとしたEU32基を備える「Intel UHD Graphics」という点は、10製品すべて共通だ。なお、最上位モデルは最大2コアが5GHz動作。型番末尾に「K」が付く、「Core i9-11980HK」のみ、倍率がアンロック仕様tとなる。

 まず注目したいのは、動作クロックが前世代と比べてやや抑えめに調整されていることだ。同セグメントの第10世代インテルCoreプロセッサー(開発コードネーム:Comet Lake-H)の最上位「Core i9-10980HK」と、第11世代のCore i9-11980HKを比較すると、コア数は同じ8コア/16スレッドだが、最大クロックが5.3GHz→5GHzに下がっている。

 cTDP-up(Configurable TDPの上限)はともに65Wなので、CPUそのものが使える熱・電力の総枠は変わっていない。ただし、cTDP 65W時のクロックは3.1GHz→3.3GHzに引き上げられているため、フルパワーに近い状態でのクロックはTiger Lake-Hのほうがやや上となる。

 CPUの最大クロックはやや控えめになったものの、CPUそのもののアーキテクチャーは10nmプロセスの「Willow Cove」を採用しているため、従来モデルよりも大幅なIPCの向上が期待できる。Willow Coveの前身である「Sunny Cove」を14nmプロセスに移植した「Cypress Cove」を採用したデスクトップPC向けの第11世代インテルCoreプロセッサーことRocket Lake-Sが、前世代のComet Lake-Sに対して大幅に性能向上を果たしている(参照記事:前編後編)。

 そう考えると、第10世代のCore Hプロセッサーとの比較において格段の性能向上が期待できそうだ。ちなみにPL1は45W、PL2は107〜135Wとのことだが、実際の値は各製品ごとの実装やチューニングに依存する。

 また、今回発表されたCPUはどのモデルもDDR4-3200までサポートと名言されているが、Rocket Lake-SのようにCore i9の一部モデル以外はGear2動作(メモリーコントローラーがメモリーの半分のクロックで動作)という仕様はアナウンスされなかった。

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