第9回 Veeamが解き放つ“データの力”

大容量NASでも数分でサービス復旧が可能に、インスタントリカバリの活用可能シーンが広がる

Hyper-VやOracle DBなど「Veeam v11」はインスタントリカバリも大幅強化

大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 「Veeam Backup & Replication(以下、VBR)」が、10年以上前から特徴的な機能として提供しているのが「インスタントリカバリ機能」だ。システム障害が発生しても、リストア処理が完了するのを待つことなく、すぐにシステムの稼働を再開させることができる。

 最新版のVBR v11では、このインスタントリカバリ機能も大幅に強化された。昨年のv10では、すべてのバックアップデータ(仮想/物理/クラウド)をVMware vSphere上の環境で起動できる「Instant restore of ANYTHING to VMware」が実装されたが、新たにMicrosoft Hyper-V仮想化環境、さらにはデータベースやNASのインスタントリカバリにも対応したのだ。マルチクラウドの観点からも、これはインパクトの大きな機能強化だと言える。

 今回は、VBR v11におけるインスタントリカバリの強化ポイントについて詳しく見ていきたい。

新たにHyper-Vプラットフォームやデータベース、NASのワークロードもインスタントリカバリ可能に

仮想マシンのインスタントリカバリがHyper-Vにも対応

 仮想マシンのインスタントリカバリ(Instant VM Recovery)は、保存されているバックアップデータから直接、仮想マシンを立ち上げることができる機能だ。仮想マシンやそのホストに障害が発生した場合に、長時間かかるリストア処理の完了を待つことなく数分でシステムを復旧することができ、RTO(目標復旧時間)の大幅な短縮に役立つ。

仮想マシンのインスタントリカバリ(Instant VM Recovery)の概要

 「Veeamでは古くからインスタントリカバリ機能を提供しており、実績もあります。製品デモでインスタントリカバリをお見せすると、お客様は通常のリストア処理に長い時間がかかることがわかっていますから、やはり驚かれますね」(Veeam Software シニア・システムズ・エンジニアの斉藤 乾氏)

 インスタントリカバリはVBRユーザーにとって“おなじみ”とも言える機能だが、VBR v10ではプラットフォーム移行に関する付加価値が加わりさらに適用範囲が拡がった。さらに今回のv11では、その対応プラットフォームがHyper-Vにも拡大し、これまでのvSphere仮想マシンと同じように、Hyper-V環境で稼働する仮想マシンもインスタントリカバリによる移行ができるようになっている。

 これにより、VBRのバックアップデータを使ってバックアップ元/リストア先を柔軟に選べる「モビリティ(可搬性)」の特徴がさらに強化された。インスタントリカバリを活用することで、バックアップ元とは異なるプラットフォームに移行する環境がほぼ整ったと、斉藤氏は説明する。

 「たとえば本番環境はVMwareで組んであるが、インスタントリカバリ用のスタンバイ環境はHyper-Vで用意する、といった構成も可能です」

 そしてバックアップデータがパブリッククラウドにコピーされていれば、クラウド環境を使ったダイレクトリストアも可能だ。

Veeam Software シニア・システムズ・エンジニアの斉藤 乾氏

VBRのモビリティ対応表(移行元/移行先プラットフォーム)。仮想/物理/クラウドの幅広い環境間で柔軟に移行でき、インスタントリカバリでもこの特徴が生かせる

Oracle DB/SQL Serverもインスタントリカバリの対象に

 VBR v11ではデータベース(Oracle Database、Microsoft SQL Server)のインスタントリカバリ機能も追加された。これは、VBR v10で実装されていたデータベースのパブリッシュ機能を組み込んで、強化したものだ。

 「v10のパブリッシュ機能は、開発環境やテスト環境向けに、データベースを一時的に用意するものとして提供していました。一方で、v11のインスタントリカバリは機能が強化され、本番環境向けにも適用しうる仕様となっています」

 具体的にはまず、リポジトリで保持しているデータベースのバックアップファイルをデータベースサーバーにマウント(パブリッシュ)して、サービスの一時復旧を行う。仮想マシンのインスタントリカバリと同じように、これもごく短時間での復旧を可能にする。なお、この一時復旧環境で生じたデータベースへの書き込みや変更は、差分としてキャッシュしておく。

 これと並行して、本番環境へのデータベースファイルのリストア処理を行う。このリストア処理が完了したら、キャッシュされているデータベースの差分を本番環境に同期する。この同期処理はVBRが自動的に行う。

データベースのインスタントリカバリ機能の概要。バックアップデータをパブリッシュしてサービスを復旧させ、並行してリストア処理も行う。データベースの差分はキャッシュされる

 そして最後に、一時復旧環境から本番環境へのデータベースの切り替え処理を行う。こうした仕組みで、データベースのダウンタイムを最小限に抑えることができる。なお、データベースの切り替えは、自動処理だけでなくスケジュールや手作業でも行えるので、業務に影響の少ないタイミングを選ぶことが可能だ。

リストア処理が終わったら、本番側に差分を書き込んだうえでデータベースサーバーの接続先を切り替え、元の環境に戻す

インスタントリカバリで大容量NASでも短時間でサービス復旧

 最後はNASのインスタントリカバリだ。近年では、ランサムウェアの被害がNASにまで及び、業務が完全にダウンしてしまうインシデントも多発していることから、NASのデータ保護に対する注目度が高まっている。

 ただし、NASの場合は通常のサーバーやデータベースよりも大容量であることが多く、その場合のリストア処理には数日、数週間とかなりの時間がかかる。その間、大切なデータが取り出せず業務が滞ってしまうとしたら大問題だろう。VBRのインスタントリカバリであれば、容量の大小に関係なく短時間でサービスを復旧でき、事業継続性の向上に貢献できる。

 VBR v11は、SMBプロトコルに対応した一般的なNASであれば、どんな製品でもバックアップやインスタントリカバリが可能だ。バックアップリポジトリサーバーを、そのままインスタントリカバリ先(一時復旧用のNAS)として活用することができる。

NASのインスタントリカバリ機能の概要図。バックアップリポジトリサーバーをインスタントリカバリ先にすることもできる

 斉藤氏は、このNASインスタントリカバリ機能によって「NASのデータ保護における新たなスタイルが実現した」と高く評価する。これまで、特に大規模なNASにおいては、アクティブNASと同等のスタンバイNASを用意して、常時レプリケーションを行うというのが“王道”のデータ保護対策だった。前述したように、大規模なNASのリストアには非常に長い時間がかかるため、「短時間でサービス復旧する」という要件を満たすためにはコストのかかるこの手法しかなかった。

 「たしかにアクティブ/スタンバイNASを用意すれば短時間でサービス復旧ができますが、コストも2倍にふくらみます。豊富な予算のある企業でなければ難しいでしょう。また、同じベンダーのNAS間でしかレプリケーションできないという“ベンダーロックイン”の問題もあります。VBRのインスタントリカバリ機能がNASに対応したことで、このコストを大きく引き下げ、リストア先も柔軟に選択できるようになりました」

* * *

 ビジネスのデジタル化が進むことで、どんな規模/業種の企業においてもダウンタイムの発生が大きなビジネス損失に直結するようになっている。インスタントリカバリは、そうした損失を大幅に軽減する重要な機能だ。VBR v11でその対象が広がったことで、より多くのユーザーがメリットを享受できることは喜ばしいことだ。

 本連載では3回にわたってVBR v11の注目新機能を紹介してきた。これまで紹介した継続的データ保護の「Veeam CDP」テープアーカイブを置き換える「クラウドアーカイブ」への対応も、非常に大きなメリットをもたらす魅力的な製品アップデートとなっているので、あわせてお読みいただければ幸いだ。

(提供:Veeam Software)

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