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薄くなったiMacとM1を搭載したiPad Pro、行く先は?【井上 晃】

2021年04月23日 12時15分更新

文● 井上 晃 編集●飯島恵里子/ASCII

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 iMacがペラッペラになってしまった――。日本時間4月21日に発表された新しいiMacのデザインを見て、衝撃を受けた人は少なくないでしょう。仕様ページを確認すると、スタンドの奥行きが14.7cm。ディスプレー部の厚みはわずか11.5ミリ。一見すると、iPadがスタンドに固定されているような雰囲気ですよね。

 さらに、デザイン自体も、従来モデルと比べても非常にミニマムです。例えば、ディスプレー下部のAppleロゴはなくなり、背面に移りました。背面の電源ポートも、マグネットで固定する仕組みになり、その先の電源アダプターにEthernetを接続できるため、デスク上の配線をごちゃつかせずに済むという進化も興味深い。

 それでいてカラーバリエーションは豊富ですので、昨年のiPad Airなどに代表されるような、普及価格帯を意識したブランディングなのだろうと思われます。詰まるところ、多くの人にとって「買い」な製品だと判断して間違いないでしょう。M1チップの実力・評判は、MacBook Airなどで判明していますからね。

 一方のiPad Proは、従来の「A」シリーズではなく、新iMacと同じ「M1」チップを搭載しました。注目したいのは、USB Type-CポートはThunderboltに対応し、より高速なデータやりとりが可能になったこと。12.9インチモデルに関しては、「ミニLED」を採用したことで、最大輝度1600ニトまで上がったことも贅沢な進化点です。全体的に、Proシリーズらしく、万人向けではない特徴が増えてきたな、と感じます。「iPad Air」の存在も、改めて重要なものになるのではないでしょうか。

 ちなみに機能面では、インカメラのビデオ通話で人が中心に映るように自動でトリミングしてくれる「Center Stage (センターフレーム)」が便利そうでしたね。同機能が「FaceTime」以外でも使えらたら、かなり重宝しそうなのですが……。詳細はまだわかりません。

 さて、ここ数年の傾向として、AppleはMacとiPadのギャップが小さくなるように取り組んできました。それはディベロッパーがmac向けのアプリケーションを開発しやすいようにという意味で、ソフトウェア面な互換性を高めるという側面が大きいように思います。しかし、結果的にハードウェアの構成や、外観までもなんとなく似通ってきたな、と思ったのが今回の発表内容を見て感じた部分です。

 6月に予定されている世界開発者会議「WWDC」では、この辺りが改めて強調されるのではないでしょうか。これまでも、macOSとiPadOSともに、どちらかでしか使えなかった機能やアプリへの対応がアピールされてきましたが、今年も何かがおもしろいネタがあるのでは、と期待しています。

 個人的な願望としては、そろそろiPadOSがミラーリングでもセカンドスクリーン機能でもなく、純粋な「画面拡張」に対応してくれれば良いなと思っていますが、果たしてどうなるでしょうか。

筆者紹介――井上 晃氏
 フリーライター。スマートフォンを軸に、最新ガジェットやITサービスについて取材。Webメディアや雑誌に、速報やレビュー、コラムなどを寄稿する。Twitter:@kira_e_noway

 

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