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片付け嫌い・苦手も克服、人生の質を上げる「ためない習慣」とは

2021年04月23日 06時00分更新

文● 金子由紀子(ダイヤモンド・オンライン

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やりたくないことを継続するためには、何らかのモチベーション(動機づけ)が必要(写真はイメージです) Photo:PIXTA

新学期、新年度が始まり、新しい生活をスタートさせた人も多いのではないでしょうか。そんなときこそ、これまでの生活を見直すチャンス。「モノがあふれている」「やりたいことが始められない」といった悩みを脱け出すカギは「習慣作り」です。習慣は、毎日の生活をラクに生きやすくしてくれます。とはいえ、習慣を継続していくのが難しいところ。そこで今回は、金子由紀子さんの著書『暮らしと心の「すっきり」が続く ためない習慣』(青春出版社)から、「習慣」の身に着け方や続けるコツを紹介します。

「習慣」には2種類ある

 私はもともと、片づけが嫌いで苦手で、若い頃は、散らかしてしまう自分にいつもうんざりさせられてきました。そんな私が、自分の弱点を少しずつ克服していけたのは、苦手なこと=片づけを、無意識のうちにできるレベルの「習慣」にしてきたことが最大の理由だと思います。

 散らかりが広がらないうちに片づけてしまえば、いつもスッキリした環境で暮らせる。モノをなくしたり、探したりしなくて済む。これは大きな成果です。

「習慣」の力の大きさについては、多くの人が知るところでしょう。習慣は高利回りの投資みたいなもので、うまく運用(身につけ)すれば、少ない元手(労力)で大きな成果を得られます。だから皆、習慣を身につけようと努力します。でも、なかなかうまくいかない。私もそうでした。

 失敗を重ねるうちに、習慣には実は二つの種類があるのだ、ということが、少しずつわかってきました。努力の蓄積がそのまま成果に反映する「積み上げる習慣」と、目の前にある問題を取り除き続けることで身につく「ためない習慣」です。

 この二つを混同してしまうと、せっかくの努力が成果に結びつかなくなってしまいますし、特に「ためない習慣」を軽視すると、人生の質そのものが低くなってしまいます。

「ためない習慣」は、一見地味であまり価値のないもののように見えますが、私はこの習慣に着目し、身につけたことで、「積み上げる習慣」も比較的ラクに身につけることができるようになりました。

「ためない習慣」とは

 では、2種類の習慣は実際のところ、どんなものが該当するのでしょうか。

「積み上げる習慣」は、一般的に次のようなものです。

・勉強・研究・執筆(入試、資格取得、発表、出版など)
・エクササイズ・練習(スポーツ、音楽など)
・ 貯金・投資

 このほか、実現したい夢に向かって準備し、一つひとつ必要なパーツを集めていくような習慣は、「積み上げる習慣」といっていいでしょう。

 これに対して「ためない習慣」は、「元に戻す」「常に一定の形を保つ」ことが目的なので、一見しただけでは、変化や成長が感じられないかもしれません。

 それは、「ためない習慣」が、基本的に「生きることをスムーズにするための習慣」だからです。具体的には、「適切な睡眠をとる」「住居を適切に片づける」など。栄養素でいえば、「積み上げる」がタンパク質(肉)や炭水化物(ごはん)、「ためない」がビタミンや無機質(野菜)といったところでしょう。

 ビタミンや無機質が欠乏すると体調を崩すのと同じように、「ためない習慣」をおろそかにしていると、そのときすぐには問題が顕在化しなくても、心のどこかにひっかかりが生まれます。放置すればそのひっかかりは大きくなって、不安やイライラとなり、そのうちに“滞り”がさまざまな問題を引き起こすようになります。

 しかし、「あとあと大変になることがわかっているのに、つい面倒でなおざりにしてしまう家事や身の回りのこと」こそ、ためずに習慣化してしまえばラクになるのです。

習慣はどれか「ひとつ」から始める

 習慣を身につけようとするときは、なるべく、「一度にひとつだけ」と心がける方がいいようです。新しい習慣は、今までの生活スタイルを、大なり小なり揺るがすものです。それが自分で選んだ、どんなに自分にとって必要な習慣であっても、新しいものは異質な存在です。新しい習慣を一度にたくさん導入しようとすれば、生活は大きく揺らぎ、それはストレスとなります。

 私たちはたぶん、自分で思っているよりもずっと繊細な存在です。私たちの生活は、必ずしも確固とした不動のものではなく、トランプで作ったタワーのように、危ういバランスの上に成り立っているのかもしれません。だから、生活に新しいものが入ってくればどうしても混乱するし、強いストレスにさらされればすぐに動揺してしまいます。

 生活というタワーを、理想にかなう高いものにしようとして、一度に5枚も10枚ものカードを急いで積み上げようとすれば、衝撃と重みに耐えられず、崩壊してしまうかもしれません。

 体のために薬を点滴するとき、ゆっくりと時間をかけるのは、一度にたくさんの薬を体内に入れることで、ショックを起こしてしまうことがあるからです。治療のための薬が、かえって健康を損なってしまっては、元も子もありません。

 もちろん「一度にひとつだけ」とは、「絶対にひとつしかやってはいけない」という意味ではありません。新しい習慣は、なるべく負荷をかけずにゆっくりと導入していく方が、ストレスも少なくて済み、長い目で見れば定着しやすいということです。

 実際は、複数の習慣を並行して習得していくことは可能です。しかしその場合も、あれもこれもと欲張ることがないよう、定着しつつある習慣Aの上に、様子を見ながら新規の習慣Bを重ねていくなど、自分が習慣作りに振り回されていないか自問しつつ実践していく方がいいでしょう。

習慣を続けるモチベーションの保ち方

 では、習慣を続けるモチベーションを保つためにはどうしたらよいのでしょうか。習慣作りが難しいのは、それが往々にして「楽しくないこと」だから。「早起きする」「片づけ・掃除をする」「運動する」――どれも、身体的にはラクでなく、単調で面白みのないものです。

 やりたくないことを継続するためには、何らかのモチベーション(動機づけ)が必要です。もちろん、紙に書いて掲げたり、写真や絵にして飾ったり、手帳にはさんで持ち歩いたりすることは意味のないことではないですが、それだけでは単なる「飾り」に終わってしまう恐れがあります。やはり「目標」は、掲げるだけではなく、「日々の習慣」と常につなげて考えることが大切です。

 また、面白くない作業なら、少しでも面白くするための工夫も必要です。面白くないことをするには、自分が好きなものと組み合わせてしまうのがいいようです。

「掃除がつまらない→好きな音楽と組み合わせる=その曲を聴いている間だけ掃除する」

「洗濯物畳みがつまらない→面白いテレビと組み合わせる=洗濯物を畳みながら、録画しておいたお笑い番組を見る」

 仲のいい人とおしゃべりしながら(電話でも可)やるのも、つまらない作業をあっという間に終わらせるコツです。

 また、ちょっとしたツールを使って楽しさを演出することも、目先を変えて作業を楽しくしてくれます。たとえば、「早起き」の習慣を身につけたいなら、うんとデザインのよい目覚まし時計を手に入れて、目覚めるのが楽しくなるようにするのもいいし、タイマーで好きな音楽がかかるようにセットしておくのもいいでしょう。

 モノに頼るのは、あまり頻繁だと効果が薄れてしまいますが、要所要所に取り入れるのは有効です。お掃除グッズにおしゃれなデザインのものを探したり、素敵なエプロンを新調するのは、特に女性に効果があるようです。

 近年は、IT技術によって革新的なツールも現れ、工夫の幅が広がっています。たとえば、スマートフォンのアプリや専用ガジェットには、スケジュール管理や健康管理ができるものが次々と現れ、どれも人気です。

 食事記録のアプリでは、ソーシャル機能を取り入れて、他のダイエッターと励まし合えるものがあったり、身につけるタイプの健康管理ガジェットには、歩いた軌跡の高低差や距離数、消費カロリーまでわかり、さらにそれがグラフ化されるなど、運動が楽しみになるような機能が搭載されているものがあります。

 習慣それ自体は、地味な努力以外の何ものでもありません。しかし、その積み重ねの上に、目標となる理想が輝いています。その落差を心の中でつなげることができたら、今日の努力は「夢のひとかけら」とポジティブにとらえることができるでしょう。

 目標が一枚の大きなジグソーパズルだとしたら、一つひとつの習慣は、パズルのピースの一個のようなものです。一個はまるたびに、パズルは完成に近づくのです。どんな大きなパズルも、たくさんの小さなピースでできている。そう考えることができたら、習慣も楽しく続けていけるはずです。

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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