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小規模オフィスにも導入可能な「PowerStore 500」、NVMe-FC対応や大幅性能向上を果たしたOS新版

「Dell EMC PowerStore」エントリーモデルとストレージOS新版を発表

2021年04月23日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 デル・テクノロジーズは2021年4月22日、ミッドレンジエンタープライズストレージ「Dell EMC PowerStore」シリーズにおいて、パフォーマンス強化や新機能追加を行ったソフトウェア(ストレージOS)の最新版「PowerStore OS 2.0」と、エントリーモデルとなる新機種「PowerStore 500」を発表した。いずれも6月10日からの提供開始予定。

エントリーモデル「PowerStore 500」と、最新ストレージOS「PowerStoreOS 2.0」を発表した

発表会に出席した、デル・テクノロジーズ ストレージプラットフォームソリューションズ事業本部 執行役員 事業本部長の松田吉史氏、同事業本部 システム本部 ディレクターの森山輝彦氏

エントリーモデルの「PowerStore 500」をラインアップに追加

 PowerStoreは、DellとEMCの合併以降初めてゼロベースで設計開発され、2020年5月に発表されたミッドレンジストレージシリーズ。あらゆるワークロードに対応する「データ中心型」、自動化/自律化やプロアクティブな正常性分析などの「インテリジェント」、“次の10年”にも対応する機能拡張性などの「適応性」という3つのコンセプトを持つ。

 デル・テクノロジーズ ストレージプラットフォームソリューションズ事業本部 システム本部 ディレクターの森山輝彦氏は、PowerStoreは「ミッドレンジ市場で必要とされる機能を盛り込んだシリーズ」であり、特にパフォーマンスや使い勝手の良さ、重複排除/圧縮率の高さといった点で評価を受けていると語る。

PowerStoreの基本コンセプト

 今回はまず、同シリーズのエントリーモデルとなる新製品、PowerStore 500(Tモデル)が発表された。2Uサイズで最大1.2ペタバイトの実効容量を持つ(物理容量は最大384TB)。1.92TB NVMeドライブ×6、96GB DIMM、1年間のPro Support契約など最小構成時の店頭価格は2万8000ドル(およそ300万円、税抜)となっている。

 筐体内にドライブを追加するスケールアップだけでなく、PowerStore 500同士のクラスタ化(最大4.8PB)、他のPowerStore製品(Tモデル)との混在クラスタ化(最大9.8PB)によるスケールアウトにも対応する。ただし上位モデルとは異なり、拡張エンクロージャの追加には対応していない。

PowerStore 500における容量拡張手段。他のPowerStoreとのクラスタ化(最大4ノードまで)によるスケールアウトも可能

従来モデルとPowerStore 500のスペック表。500モデルは拡張エンクロージャ、SAS SSDなどには非対応

 パフォーマンス面では、1台あたりVDI用途で最大1500デスクトップ、SQLデータベース用途で最大240万トランザクション/分を実現するという(いずれもデル・テクノロジーズ社内のテストに基づき算出)。

 そのほか、後述するPowerStoreOS 2.0で提供される新機能群も、PowerStore 500で利用することができる(今回の発表はTモデルでありAppsONには非対応)。

 「PowerStoreはすでにさまざまな業種で活用いただいているが、今回のモデルはブランチオフィス、スモールオフィスなどからも導入を検討いただけるソリューションになっているのではないか」(森山氏)

無停止/無償アップデートで性能向上、NVMe-FC接続対応などの機能強化

 PowerStoreOS 2.0へのバージョンアップでは「パフォーマンスの向上」「NVMe-FC(NVMe over Fiber Channel)への対応」「インテリジェントなデータ削減」「AppsONよるスケールアウト」といった新機能追加/性能強化を実現している。なおOSのバージョンアップは無停止、無償で行うことができる。

 まず、PowerStoreのすべてのモデルにおいて、OSのバージョンアップにより大幅に処理スピードが向上する。具体的には混在ワークロードで最大25%、書き込み処理で最大65%の高速化が実現するという。「書き込み時のデータパスにおいて1つ1つの処理を見直し、完全にソフトウェアの変更だけで高速化を実現している」(森山氏)。

PowerStoreOS 2.0へのバージョンアップにより、既存モデルで大幅なパフォーマンスの向上が実現する

 また、新たにNVMe-FCをサポートした。これまでは筐体内でのNVMeドライブ対応のみだったが、新たにFCスイッチ経由で接続されたホスト(サーバー)とNVMe-FCで接続できるようになった。

 そのほか、ホストI/Oを優先するかたちで重複排除/圧縮エンジンを自動コントロールすることでパフォーマンスに影響を与えずデータ削減を行う機能、DRAMとSCM(インテルOptaneドライブ)の階層化によりワークロードのレイテンシを低減する機能も追加されている。

バージョンアップによりホストとのNVMe-FC接続にも対応した

ホストI/Oへの影響を抑えるデータ削減処理の動的制御、SCMドライブの追加によるレイテンシ改善などの新機能も

 デル・テクノロジーズ ストレージプラットフォームソリューションズ事業本部 執行役員 事業本部長の松田吉史氏は、IDCによる2020年の外付ミッドレンジストレージ市場、国内オープンネットワークストレージ市場の双方において、デル・テクノロジーズが国内売上No.1の座を獲得したことを報告。サーバーに続く2つめの大きな事業の柱として、ストレージ事業を育てていく方針だと説明した。

 「PowerStoreの売上は順調に加速している。日本の顧客は高度な機能を求められる傾向があり、バージョン2で追加される機能を待たれていた顧客も多い。今回の発表によって、PowerStoreの売上がより加速できるのではないか」(松田氏)

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