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オヤジホビー-ワタシが好きな物はみんなも好き、かもしれない- 第275回

数十年モノのパタパタ時計 モーターがひどいことになっていたので清掃しました

2021年04月18日 17時00分更新

文● むきみ(@TK6506) 編集● ASCII

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モーターの軸受のグリスが酷い状態に

 電源を入れるとランプが点いたり動作中を示す縞々模様が動いたりするものの、何分待っても時刻表示が変わらないパタパタ時計。分解の顛末は第274回「レトロなパタパタ時計を分解してみたら、モーターの構造に驚きました」をどうぞ。

 バラしてみると縞々模様はモーターの回転部分になっていて、軸の周囲に液体のようなものが付着していました。グリスだと思いますが、色が変。黒いような茶色いような色をしています。

縞々模様のところはモーターの回転軸。内側が茶色くなっています

 グリスの色は種類によってまちまちですけど、クリーム色やオレンジ色、白などが多いと思います。濃い飴色などもありますが、これはどう見ても黒すぎ。エンジン部品などと違って金属の摩耗粉が出るわけじゃないので、経年劣化によるものと思われます。

軸受部分を拭いてみるとやはり変色したグリスでした。粘度も相当高くなっています

 モーターの軸が差し込まれていた軸受部分にもたくさん付着していたので、綿棒で拭き取ってみました。ビックリしたのはベタベタ具合。グリスはオイルに比べると粘度が高いですが、それでもハンドクリームとかポマードとか、そのぐらいだと思うんですよね。

 それがめっちゃ固い。綿棒を押し付けながらグググッと横に動かすと拭き取れはしましたが、冷えた蜂蜜かっていうぐらい固くなっていました。

 褐色化もタール化もグリス劣化の典型的な症状だそうですが、何十年もの間メンテをしてないんだからそりゃダメにもなりますよね。

薄め液で拭き取れたが、外側も汚れている

 モーターについている磁石が大きくて磁力が強いほど強力なモーターになりますが、このモーターの磁石は直径1.5cmほどしかありません。見るからに貧弱で正常な状態で、指で挟んだら止まりそうです。

 そんな低トルクなモーターが、グリスがこんな状態ではまともに回るわけがありません。ほかに故障原因があるかもしれないですけど、とにかくまずはこのひどい状態のグリスをなんとかしないと。

 というわけで綿棒でグリスをできるだけ拭き取り、残ったグリスは模型用塗料の薄め液を綿棒に付けて拭いていきました。もっと強力に油分を落とせるパーツクリーナーというのもありますが、強力すぎてプラスチックを溶かしてしまうので、金属部分以外では使わないようにしています。

 本当は専用の除去剤みたいなのを使った方がいいんでしょうけど、手近になかったし、薄め液は使い慣れているので代用しちゃいました。

内側は綺麗になりましたが、外側にも劣化したグリスがあるようです

 薄め液を付けたらさっきのネバネバベタベタが嘘のように取れていき、表面はすっかりきれいに。でも途中から拭いても拭いても黒いのが消えなくなってしまいました。

 もしかしてケースが染まっちゃったのかな? と思ったんですが、よく見たら違います。表面はちゃんときれいになっていて、外側が汚れていたんです。いい加減老眼なんで全然わかんなかったんですよね。

軸受部分の劣化したグリスを入れ替えます

 外側を見るとフタのような部品が付いていて、どうやらそこに空間があり、劣化したグリスが詰まっているみたいです。

ツメが引っかかっていたので、ピンセットで押してみました

 フタはツメでロックされるようになっていたので、ピンセットで押して外してみました。中は真っ黒で見るからにダメな感じです。

中にはプロペラのような部品とスプリングが入っていました。真っ黒ですね

 ここにはグリスが入ってるだけなのかと思いましたが、開けてみると中にはスプリングが入っていて、それを外すとプロペラみたいな形をした金属部品と柔らかいプラの円盤が出てきました。思ったより複雑な構成です。

 相手が金属ならパーツクリーナーの出番。スプリングとプロペラみたいな物はパーツクリーナーで洗い、プラ部分は薄め液で拭いていきます。穴の底のフチは綿棒では拭けなかったので、薄め液を付けた筆でゴシゴシやりました。

見違えるほどきれいになりました!

 きれいになってようやく部品の意味がわかってきました。プロペラみたいな部品は軸押さえなんですね。

 真ん中が凹んでいて、そこに軸の先端が当たるようになっています。そのプレートをスプリングで軸に押し付けているため、ガタつかずに回転するっていう。円盤はプレートの摩擦を減らすためかな。

 この部分にグリスが充填されていたっていうことは、グリスを溜めておく場所なのかもしれません。軸が入る穴から徐々にグリスが出ていって自然に給油するみたいな。よくできてますね。

中にグリスを入れて組み直しました

 バラした部品を元通りに入れて、フタを付ける前にグリスを入れます。シリコングリスなどがいいんでしょうけど、持っていないので、手元にあった自動車用のスプレー式グリスをシューっと吹いて入れておきました。プラ部分でも使えるのは確認済みです。

ギアボックスも真っ茶色でした

 モーター部分はうまく綺麗になったので、次はギアボックスの掃除です。

手前の鉄板は電磁石のN極S極になる部分。その奥に見えるのがギアボックスです

 電磁石の金属板を固定している2本のネジを外してみると、ギアボックスも一緒に外れてきました。

透明カバーで保護されているギアボックス。中はすっかり茶色です

 ギアボックスには透明カバーが付いていますが、ネジ留めはされていなくて被せてあるだけのようです。中のギアが飛び出したりすると元に戻せなくなっちゃうので、カバーをそーっと外してみます。

ギアボックスの中にはギアが数枚。黒ずんだグリスが底に溜まっているのがわかります。下に見える金属部品は周波数切り替えのレバーです

 中には大小のギアがはめ込まれていました。ケースの内側は茶色っぽくなっていて、底の部分には褐色になったグリスが溜まっています。白くて薄いギアは歯のところが醤油みたいな色に。さっきのモーター部分以上にダメ感が漂っています。

 見るからに大変なことになっていそうなこのギアが、外してみたらやっぱり大変なことになっていたんですが、そのお話はまた次回!

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