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「OpenShift」のコアビジネス化に向けた取り組みを加速、業種ソリューション提案も強化へ

DX目指す企業に「オープンな組織文化」も提供、レッドハット新年度戦略

2021年04月14日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 レッドハットは2021年4月13日、新年度の事業戦略説明会を開催した。今年1月から代表取締役社長を務める岡玄樹氏は、「2021年はオープンソースの位置づけが大きく変わる1年になると確信している」と述べ、コンテナプラットフォームである「Red Hat OpenShift」ビジネスの強化や「Red Hat Ansible」による運用管理自動化の提案促進などに加えて、顧客企業がDXを実現するのに欠かせない「オープンな組織文化」への変革支援も強化していく事業方針を説明した。

 またゲストとして、「5GオープンRANエコシステム」を共に推進するNTTドコモ、OpenShiftプラットフォーム上で稼働する5Gコアネットワークソリューションを発表したNECも出席し、ビジネスのグローバル展開におけるレッドハットへの期待を語った。

レッドハットの2021年事業戦略。「すべてのアプリケーションにクラウド選択の自由を」というメッセージを掲げる

レッドハット 代表取締役社長の岡玄樹(げんき)氏

OpenShiftを通じて「すべてのアプリケーションにクラウド選択の自由を」

 昨年、レッドハットはグローバルで18%の収益増と堅調な成長を見せた。特にOpenShiftの顧客数は前年比40%増の2800社に達し、ウォルマート、エアバス、WHO(世界保健機関)、バークレイズ、フォード、ユニセフ(国連児童基金)などの新規顧客を獲得している。日本単独でのOpenShift顧客数は公表していないが、OpenShift採用は日本市場でも加速しており、現在はグローバルの5%以上を占めるという。三井住友フィナンシャルグループ、三菱UFJ銀行、三菱電機、日本生活協同組合連合会といった新規顧客が公表されている。

 岡氏は特に、金融業におけるOpenShift採用が加速している点を強調する。

 「OpenShiftが今、金融業界を席巻している。金融業界は差別化が難しく、顧客のロイヤルティを高めるためにはいろいろと(新規サービスなどを)試してみないといけない。そのため、顧客からはアプリケーションの投入スピードを上げたいという要望をいただいており、その結果としてOpenShiftを活用いただいている」(岡氏)

 今年2021年の事業戦略については、まずその背景として、コロナ禍を通じたビジネス変化に対する日本企業と米国企業の意識の違いに触れた。米国ではほぼすべての企業が、コロナ禍を経験したことで「大きなビジネス変化が起きる」と考えているが、日本ではそう考える企業の割合がまだ低く「『元に戻る』と考える企業の割合が多い」(岡氏)。

 米国企業は、ビジネス部門を起点としてデジタル技術を用いた変化が起きるものと見ており、そうした考え方は「日本でも必ず注目するようになる」と岡氏は強調する。「こうした考え方を前提に、レッドハットでは今年のビジネスを考えている」(岡氏)。

米国企業は“ポストコロナ”時代への危機感が強く、ビジネス部門が起点となってデジタル変革が進む

 ここで言うデジタル技術を用いたビジネス変化とは、すなわちデジタルトランスフォーメーション(DX)を指す。その実現のためには、より早い市場への投入を実現する「スピード」、ビジネス機会の拡大に対応する「スケール」、そしてそうしたビジネスを常に安定稼働させる「スタビリティ」の3つの要素が求められる。

 それを実現するのが、レッドハットがここ数年来提唱してきた「オープンハイブリッドクラウド」であると、岡氏は説明する。企業はすでにマルチクラウド活用を検討、実践する段階に進んでおり、その中ではアプリケーションがさまざまなクラウド間を制限なく行き来できる技術が求められる。そこでコンテナ、OpenShiftに対する注目が高まっているという。

 「本日一番お伝えしたい2021年の戦略的指針は、『すべてのアプリケーションにクラウド選択の自由を』というもの。クラウドの持つポテンシャルはもはや疑う余地がなく、それをレッドハットはOpenShiftを通じて解放していきたい。どんなクラウドにも依存しないOpenShiftのコンテナ技術、これがクラウド本来の持つポテンシャルを最大化する可能性を秘めているのではないか」(岡氏)

DX実現に不可欠な要素「スピード」「スケール」「スタビリティ」の3つを実現するのがオープンハイブリッドクラウドだと説明する

2021年事業戦略を5つのキーワードで説明、OpenShiftへの注力方針を強調

 2021年の具体的な事業戦略としては5つのキーワード、項目を挙げた。

 まず「フォーカス」というキーワードでは、業種別ユースケースを軸としたOpenShiftの徹底的な展開を行っていく方針を示した。この点については「過去数年間の失敗からも学びを得た」と述べる。

 「(OpenShiftの展開について)これまでは、顧客から『レッドハットの言葉はテクニカルでわかりにくい』というフィードバックを多くいただいていた。そこで営業部隊も取り組み方を変えた。重要なのは、業界ごとの“顧客の言葉”をどれだけ話せるか、顧客の課題をどれだけ深く理解できるかということ。そして、それに適した解決策を提示できること。こうしたスタンスで、まずは金融業界から取り組みを始めている」(岡氏)

 業種特化したユースケースを軸とすることで、特にグローバルスタンダードやグローバルの成功事例への関心が強い金融業の顧客の注目を集め、浸透しつつあると岡氏は説明する。今後はクラウド化の加速する公共や、5G導入のうえでオープン化を進めているテレコムといった業種にもOpenShiftの提案を強めていくという。なお、OpenShiftの国内認定技術者についても、現在の数百名規模から数倍に拡大したいと述べた。

 次の「As-a-Service」は、レッドハットの提供するOpenShiftやミドルウェアをマネージドサービスとして提供し、幅広い顧客に展開する戦略を指す。AWSとフルマネージド型の共同サポートサービス「Red Hat OpenShift Service on AWS(ROSA)」を提供開始したほか、マイクロソフト、IBM、国内7社からもすでにOpenShiftのマネージドサービスを提供している。

 3つめの「自動化」は、自動化の対象領域を拡大することを目指す。具体例として、OpenShiftだけでなくEKS(AWS)、AKS(Azure)、GKE(Google Cloud)といったKubernetesサービスを包括的に管理できるOpenShiftの機能(「OpenShift Advanced Cluster Management for Kubernetes」)を積極的にアピールしていきたいと説明した。

 同社の「コアビジネス」であるRed Hat Enterprise Linux(RHEL)については、既存のSAPシステムやメインフレーム、UNIXシステムからの移行を軸として、さらにビジネスを拡大していく戦略だという。

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