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コンサルのワーママが考案!PDCAで成功する中学受験

2021年04月12日 06時00分更新

文● 清水久三子(ダイヤモンド・オンライン

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働く母親が親子で中学受験に取り組む際に大切なのは、仕事・家事・自分自身の3つの領域でコントロールができるようにしておくこと(写真はイメージです) Photo;PIXTA

いまの中学受験で求められる学力は、親世代のころと比べて格段に上がっています。当時の最難関校で出されていた超難問は、いまや標準レベル。時間のない働くワーママたちは、子どもと一緒に中学受験をどう乗り越えたら良いか、不安も多いかと思います。『働くママの成功する中学受験』(世界文化社刊)の著者・清水久三子さんも仕事柄、出張が多く、つきっきりで勉強をみることはできませんでした。その代わり、仕事の専門である人材育成のノウハウを活用して、子どもが自律的に勉強できるようになるためのサポートをし、娘を難関女子校合格へ導きました。フルタイム勤務・共働き世帯でも大丈夫、どの家庭にも応用可能な「仕事と受験サポート」両立メソッドとは?同書より一部を紹介します。

中学受験は親子の総力戦
家族の結束力が試される最初の貴重な経験

●中学受験はチーム戦

 受験というと、本人がたった一人で立ち向かうイメージが強いかもしれませんが、中学受験はそんなことで太刀打ちできるものではありません。親や塾の先生も含めて、子どもを中心としたワンチームになれるかどうかが、結果を左右するだけでなく納得感のある終わり方ができるかどうかにまで影響するといえます。

 とはいうわが家も、はじめからワンチームになれていたわけではありませんでした。幸いにして親子バトルはほとんどありませんでしたが、夫婦で受験の関わり方に温度差があったのです。夫は受験に反対こそしないものの、受験の天王山といわれる6年生の8月に我関せずといった態度をとったことに対し、私がキレてしまったのです。何ともお恥ずかしい話ですが、ことの深刻さが伝わったのか、それ以降は協力的になり、学校説明会に参加したり、娘に勉強を教えたり、徐々に関わりをふやすようになり、最終的に「受験して本当によかった!家族の絆が深まったね」といってくれました。

●ワンチームは一日にしてならず

 実は、チームは集まったからといってすぐによい動きができるわけではありません。チーム力学の研究結果であるタックマンモデルによると、チームは形成期→混乱期→統一期→機能期という4段階を踏んで成長していきます。

 どんなチームでも混乱期は必ずあるといわれ、混乱期を建設的に乗り越えられれば結束の強いチームになり、そうでないとチームは空中分解してしまいます。混乱期はあって当たり前と考え、共通の目標に向かって親子でチャレンジし続けることが、家族を強いワンチームにすることにつながります。

《やってみよう!》家族としてどんなワンチームになりたいのか考えてみましょう。

共働きだからこそ、中学受験
働く親の背中を見て主体性が身につく

●共働きの受験は不利?

 塾の保護者会で先生が「専業主婦のお母さんは努めて受験以外のことを考える時間を作り出してください。受験で頭が一杯だと親子ともにどんどん追い込まれていきます。また、お仕事をお持ちのお母さんは決してご自分を責めないでください。お母さんが仕事を持っているほうが子どもが主体的に勉強するようになりますから」とおっしゃいました。

 専業主婦でも働いている親であっても、それぞれ陥りやすいことがあるわけですから、働いているから受験は無理、とは一概にはいえません。私の周囲には多忙な父親のほうが積極的に受験に関与しているケースも多く、本当にたくさんの受験体験談やアドバイスをいただきました。中には激務のコンサルタントや経営者の方もいらっしゃいましたが、スケジュールを調整してサポートしていました。最前線でビジネスをしているからこそわが子が学ぶ環境にも強い思い入れがあるのでしょう。

 私は企業研修講師として社会人向けに論理的思考や文章術などを教えています。多くの方が苦手とする大人でも難しいこうしたスキルは、実は子どもでも身につけられるスキルで、実際に中学受験の国語で出題されています。講師仲間との共通見解なのですが、社会人の人材育成をずっとやっていくと最後は子どもの教育に行き着きます。

 なぜなら、社会人歴が長いと物事の見方や考え方を変えることは容易ではなく、むしろ子どものほうがすばやく身につけられ、その後も活用できるからです。

 私が管理職向けの研修で扱った演習問題が、ある中学の入試問題に出題されたときにはとても驚きましたが、娘はそれを自分で考えて解答していました。12歳の知性は侮れません。将来、社会人となったときの基礎となる力を養えるのも中学受験のメリットなのではないでしょうか。

《やってみよう!》わが子が社会人になったとき、どんなスキルが必要かをイメージしてみましょう。

ワーママ流・セルフコントロール術
平日半休でメリハリとバランスを手に入れる

●母親が上機嫌でいることが最良の戦略

 働く母親が親子で中学受験に取り組む際に大切なのは、仕事・家事・自分自身の3つの領域でコントロールができるようにしておくことです。仕事と家事で手いっぱいの状態からまずは抜け出しましょう。何よりも自分自身のメンテナンスを忘れないことが重要です。母親が不機嫌だと家庭が暗くなりますから、中学受験を決めるにあたり、働くお母さんはぜひとも「自分の機嫌を上手にとること」を心がけてください。

 私自身、出産後、仕事をしながらカメラや料理、ボイストレーニングなどの習い事をはじめ、いまでも続けています。あえて好きなことをやる時間を作り、趣味に没頭したり、体を休めたりする時間を持つことで、自分が満たされ、仕事の生産性も上がります。もし自分を犠牲にして家族のために尽くすだけの生活を送っていたら、次第に不機嫌になり、わが家は暗い家庭になっていたかもしれません。おすすめは、月1回、半休をとることです。計画的な半休なら仕事への影響も少なく、平日昼間は休日よりも時間が有効に使えます。

『ピック・スリー』(ランディ・ザッカーバーグ著)は、仕事・睡眠・家族・運動・友人の5つのカテゴリーから毎日3つを主体的に選ぶことで、主体的な人生を歩むという主旨の本です。そして、前提としてどれを選んでも私はいつでも「私」を選ぶと著者は述べています。私は仕事・家庭・自分・交流の4つのバランスを意識していますが、共通するのはどちらにも「自分」が入っていること。ワーママは、意識しないとどうしても自分が後回しになってしまいます。堂々と自分の時間を持ち、上機嫌でいたほうが、トータルで見ればうまくいきます。中学受験プロジェクトをスムーズに進めるため、自分のメンテナンスをする大切さを忘れないでください。

《やってみよう!》半休をとって自分の時間を満喫しましょう。

中学受験のPDCA
使いこなせれば多忙な働くママも無理なくサポートできる

●ビジネス感覚は持ち込まないのがルール

 PDCAとはPlan(計画)-Do(実行)-Check(振り返り)-Act(改善)の略で、もともとは業務の継続的な改善を目的とした仮説検証サイクルです。継続的な改善ですから学習や習い事などにも活用できます。PDCAというと、上司から業務の進捗状況を責め立てられる管理手法や、計画を細かくマネジメントするイメージがあるかもしれませんが、それは間違って使われている“PDCAもどき”です。

 本来のPDCAは、実行する人自らが「こうしたらよいのでは?」という仮説を立て(Plan)、強制されることなく実行し(Do)、行動のよい点と悪い点を振り返り(Check)、では次はこうしようと改善案を考えるもの(Act)です。だれかが立てた計画を無理やり実行させられるのはPDCAではありません。会社で間違ったPDCAもどきをしていて成果が出た親が、「自分はこれで成功した」という思いから子どもに対してもつらいPDCAもどきを強制してしまうことも考えられます。大人と子どもは違います。くれぐれも子どもを思い通りに動かすためのものではないということをご理解いただいたうえで、参考にしていただければと思います。

 中学受験は子どもがまだ小学生であることと、カリキュラムが膨大で進度も速いことから、こなすことで手一杯になりがちです。しかし、PDCAを実践して子ども自身が自分から勉強を進められるようになれば、忙しい働く親でもサポートできますし、何より子どもも今後に役に立つノウハウを身につけることができると思います。人生は“はじめて”のオンパレード。これからたくさんの“はじめて”に取り組む子どもにとって「こうかな?」と仮説を立てながら自ら実行し、さらによいやり方を見つけていけるようになることは、将来の取り組み姿勢を学ぶことにもつながります。

《やってみよう!》子どもが自らPDCAを回しているところをイメージしてみましょう。

「なぜ?」がすべての出発点
“やらされ勉強”では達成できない

●3年の長期戦の原動力は「なぜやるか」

 前項でPDCAがなぜ中学受験に効果的なのかをお話ししましたが、PDCAを回すうえで「Why = なぜ?」からはじめることはとても大切です。そこで、「3人のレンガ職人の話」という話を紹介します。

 ある旅人が町を歩いていると、数人の男がレンガを積んでいたので、旅人はそれぞれに「何をしているのですか?」と尋ねました。1人目の男は「毎日毎日レンガ積みだ。ついてないよ」とつらそうに答えました。2人目の男は「壁を作る仕事をしています。家族を養うために頑張るしかないのです」と割り切った様子で答えました。3人目の男は「歴史に残る大聖堂を造っています。多くの人に幸せを与える場所を造れることは本当にすばらしいことです」と目を輝かせて答え、レンガの積み方に創意工夫を凝らしていました。同じ仕事をしてはいても、なぜやるのか(Why)が異なるため、やりがいやつらさが異なることがおわかりいただけるでしょう。

 1人目はWhyという発想がなく「やらされている」状態です。2人目のWhyは「〇〇のために」というニンジンをぶら下げられている状態です。3人目のWhyは「世の中に貢献したい」という将来につながるものです。勉強に当てはめると、1人目のように"やらされ勉強"ではそもそもPDCAを回そうという気持ちが湧いてきません。2人目のように「〇〇中学に受かるため」という理由だけだとそれが終わったら勉強がイヤになるかもしれません。3人目のようなWhyがあれば、勉強自体の意味も変わり、工夫してみようという気持ちが湧いてきます。中学受験で問われるのはそういった広い視野でもあります。子どもと親がPDCAを回したいと思える原動力=エンジンは、3年間という長い受験期間において絶対に必要なものなのです。

《やってみよう!》中学受験をする理由を親子で将来から逆算して考えてみましょう。

ゴールまで気持ちを切らさないコツ
受験は3年プロジェクト。ゴールまでの道筋を描く

●低学年から静かにレースははじまっている

 PDCAでは、目指すゴールから逆算していまやることを計画し改善していきます。具体的な志望校をどこにするかは6年生になって変わることもありますが、大体どのレベルの学校を目指すのかを決めておくと、いまやるべきことが見えてきます。

 近年の中学受験塾のカリキュラムは3年生の2月、つまり4年生になる直前からの3年間が一般的ですが、難関校を目指す場合には、その前の時期も重要です。というのも、塾の授業は学校の授業で習っていない範囲をかなりの進度で進むため、塾に通いはじめる段階で、学習習慣・生活習慣がある程度整っていないとサポートの負担がふえるからです。また、国語などは幼少期からの読書習慣がものをいうところが大きく、受験期間中に読解力をつけるため読書をしようとしても、時間的になかなか難しいでしょう。大きな道筋としては下図のように捉えるといいでしょう。入塾後は塾のカリキュラムに沿うことになりますが、目安として参考にしてみてください。

●時期によってPDCAの回し方を調整する

『働くママの成功する中学受験』書影『働くママの成功する中学受験』 清水久三子著 世界文化社刊 1540円(税込)

 PDCAは時期によって何を中心として回すのかが変わってきます。つまり、4年生であれば塾のカリキュラムに慣れることを目標にして「週テスト」を中心としたPDCAに、5年生はより本格的になる学習が身についているのかを確認するために「模試」を中心としたPDCAに、6年生後半は志望校に確実に届くために「過去問」を中心としたPDCAになります。

 その時々の到達目標は「○○校に合格した人は5年生時点では偏差値○○」といったデータを塾が持っているので、それを一つの目安として考えるとよいと思います。小学校6年間の中学受験プロジェクトを作ってみましょう。

《やってみよう!》小学校6年間の中学受験プロジェクトを作ってみましょう。

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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