クラウドバックアップへの急速な移行も明らかに、「データプロテクションレポート2021」発表

「企業ではデータ復旧の58%が失敗」Veeamグローバル調査結果

末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 データ保護にはバックアップが不可欠だが、現実には企業におけるデータ復旧の58%は失敗している――。Veeam Softwareがグローバルで実施した経営層調査「データプロテクションレポート2021」では、こうした実態が明らかになった。そのほかにも「5台に1台のサーバーが予期せぬ停止に見舞われている」など、興味深い現実が明らかになっている。同社が2021年4月7日、このレポートについての詳細な解説を行った。

バックアップジョブやリストアジョブの失敗が原因で、重要データのおよそ半数しか正常に復旧できていない実態が明らかに(グローバルで58%、日本で55%が復元エラー)

Veeam Software エンタープライズ戦略担当 VPのデイブ・ラッセル(Dave Russel)氏、日本法人 執行役員社長の古舘正清氏

 この調査は同社が毎年、グローバル企業のIT幹部3000人以上を対象に行なっているもの。企業におけるデータ保護・管理の取り組み、今後のIT施策に関する課題への対応意向を調べるもので、日本からも230人以上が回答している。

 Veeamでエンタープライズ戦略担当を務めるデイブ・ラッセル氏がまず指摘するのが、「理想と現実のギャップ」だ。

 具体的には、アプリケーションの復旧にかかる時間の理想と現実における「可用性(アベイラビリティ)ギャップ」、データのバックアップ頻度と障害発生で許容できるデータ消失量の間の「保護ギャップ」の2点を指摘する。可用性ギャップについてはグローバルで82%の企業が、また保護ギャップについては77%の企業が、それぞれ「ギャップがある/非常にある」と感じていた。

 「(可用性ギャップについて)別の言い方をすれば、許容できる時間内にアプリケーションを復旧できる能力がある組織は4社に1社にとどまるということだ」(ラッセル氏)

ビジネスが求める可用性や保護のレベルと、現実のITが実現しているそれとの間には「ギャップ」がある

 日本のみのデータを見ても、この2つのギャップは課題になっている。可用性のギャップを感じる企業は79%、保護のギャップを感じる企業は74%という結果だった。ちなみに、過去2年間に経験したIT障害の原因は、ストレージハードウェアが59%、サーバーハードウェアが57%だった。

 日本固有の課題として、ラッセル氏は「レガシーシステムのデータ保護」を挙げた。17%の企業では1年に少なくとも1回は「予期せぬサーバー停止」が発生しており、過去1年間に予期せぬシステム停止を経験した企業は95%にものぼる。

 また、バックアップジョブのエラーと復旧ジョブのエラー(いずれも処理が失敗、もしくは与えられた時間内に完了しない)の割合を合わせると、日本でも55%にのぼるという。冒頭で触れたグローバルの数字(58%)と大きく変わらず、重要データの半分は復旧できない現実がある。なお、グローバルでは全データの平均14%、日本では平均15%がまったくバックアップされていないという。

 今回は、新型コロナウイルスの世界的流行とデジタルトランスフォーメーション(DX)の関係についても調査が行われた。新型コロナの影響でDXの取り組みが加速したという企業は、世界では54%、日本では62%だった。DXの阻害要因としては「コロナ禍でオペレーションの維持に集中しなければならなかった」(57%)、「レガシーITシステムへの依存」(55%)、「ITスタッフのスキル不足」(62%)が多かった。一方で、DXの加速によってクラウドサービスの活用が進む傾向も顕著に見られたという。

 「93%がクラウドの活用を増やしたと回答している。各社のDXの目標はそれぞれ異なるが、データが不可欠という点では同じ。データをアベイラブル(いつでも活用できる状態)にし、さらに再利用するという点でVeeamは支援できる」(ラッセル氏)

新型コロナウイルスの世界的流行がDXを加速させたという回答が過半数を占めた

 クラウドバックアップに関して、現在と2年後(予想)の主要なデータ保護方法についても調査が行われた。現時点では「オンプレミスツールのみ」のバックアップが最多(30%)だが、2年後にはそれが半減(15%)見込みだ。その一方で、「クラウドサービスを利用した自己管理型バックアップ」は現在の28%から39%へ、「Baas(Backup as a Sevice)プロバイダが管理するクラウドベースのバックアップ」は同27%から40%へ、それぞれ利用が増加すると見込まれている。

 なお、日本でも現在BaaSを採用している企業がすでに4分の1以上(26%)を占めており、このトレンドは今後も続き、2023年には41%になると予想しているという。

2年後にはクラウドバックアップを主とする企業が大幅に増える見込み

 アプリケーションのダウンタイムの影響として「顧客からの信用喪失」(55%)、「ブランドへのダメージ」(51%)に続いて、「従業員からの信用喪失」(38%)が3番目に挙がっている。従業員満足度という視点からも、データ保護は重要な要素になりつつあると言えそうだ。

 グローバルと日本の調査結果を比較して、日本法人 執行役員社長の古舘正清氏は「日本企業ではレガシーバックアップを使っているところが多い」ことから「日本企業のほうが復旧について課題が多いととらえている」とコメントした。

 他方で、コロナ禍を通じてDXの取り組みが加速しており「クラウドへの移行が活性化している」ことは好要因だと指摘した。ただし、DXへの取り組みには企業差があり、「DXに積極的に取り組んでいる企業とそうでない企業の差が、クラウドモビリティ(クラウドを柔軟に使いこなしてデータを保護する)のある企業とない企業の差につながっている」と述べた。

 同調査では、バックアップ技術/製品を乗り換える際の理由についても尋ねている。ラッセル氏は多かった回答を「バックアップの信頼性成功率の改善」「コスト」「複雑性の解消」の3つだとまとめた。Veeam入社以前はGartnerでバックアップ市場のアナリストを務めていたラッセル氏は、この3つは過去15年間変化していないと語る。ただし、現在は新たに“4つ目の理由”が生まれているそうだ。

 「この3つに加えて“クラウドの機能を活用できる”が4つ目の理由となっている。これは企業の業種や規模を問わず、世界共通だ」(ラッセル氏)

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