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コロナ禍で拡大した「返さなくてOK」な奨学金制度とは

2021年04月09日 06時00分更新

文● 竹下さくら(ダイヤモンド・オンライン

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これから大学などへの進学を希望している高校生も、入学金の免除や授業料の減額、「返さなくてもいい」給付型奨学金、「無利子」の貸与型奨学金などでの支援を受けられる(写真はイメージです) Photo:PIXTA

コロナ禍の影響で学費や進学への不安を抱える学生が急増しています。そんな学生たちのための新たな制度や支援策が続々登場している「奨学金」。奨学金は、返還が大変というイメージがありますが、中には「返還しなくてもよい奨学金」や「無利子で借りられる奨学金」などもあり、制度や仕組みを知っていれば賢くお得に利用することができます。そこで今回は、ファイナンシャルプランナー・竹下さくらさんの新刊『緊急対応版 「奨学金」上手な借り方新常識』(青春出版社)から、新たに拡充された奨学金の新制度について解説します。

授業料も入学金も支援してもらえる新制度がスタート

 大学や専門学校への進学を希望する高校生にとって、気になることのひとつが「お金」のこと。とくに、新型コロナウイルス感染症の影響などで自分の家庭の収入が激減してしまい、「大学に合格しても、とても授業料を払い続けることができそうもない」と進学をあきらめかけている人もいるかもしれません。

 そんな人たちに向けて、文部科学省は2020年5月に「学生の“学びの支援”緊急パッケージ」を新設しました。大学などに進学して「学びたい」という意欲ある高校生が、「お金」のことで進学を断念することがないように、国が後押しする新しい取り組みです。

 もともとは、すでに大学などに進学している人が、新型コロナウイルス感染症の影響などでアルバイトができなくなったり、家計が急変したりしたことが理由で「授業料を払えない」「大学を中退するしかない」となってしまうのを救済する「緊急」支援ですが、2021年度も継続しています。

 つまり、これから大学などへの進学を希望している高校生も、この新制度を利用できれば、入学金の免除や授業料の減額、「返さなくてもいい」給付型奨学金、「無利子」の貸与型奨学金などでの支援を受けられることになります。

 例えば、新たに実施された「高等教育の修学支援新制度」では、「授業料・入学金の減免」と「給付型」の奨学金がセットになっていて、国公立大学の学生であれば最大約162万円、私立大学の学生なら最大約187万円もの支援を受けられます。

「収入激減」「学費が払えない」…家計急変世帯への緊急対策とは

 また、大学進学を希望しているけどコロナ禍で家庭の収入が激減し、進学しても「大学に通い続けられるかが不安」という高校生も増えているのではないでしょうか。

 これまでも学生の親の死亡、病気、事故や、自然災害などで「家計が急変」した場合の支援制度はありましたが、それが、新型コロナウイルス感染症の影響で、さらに拡充されました。

「家計急変世帯への緊急対応」では、例えば親が仕事を失って収入がなくなってしまったなど家計が急変したら、すぐに申請して給付型奨学金の支給を受けられるようになりました。申請は「随時受け付け」、支援は「随時実施」となったのです。

 家計が急変してから3カ月以内に申し込めば、認定後に「申請のあった月から支援開始」です。しかも、家計急変の支援対象となるかどうかの判定は、家庭の「前年の所得」ではなく、「急変後の所得」で判定されます。家計が急変したら「すぐに支援を受けられる」ように給付型奨学金も拡充されたのです。

新制度で支援を受けるのに大切なのは「自己申告」

 こういった「家計急変世帯への緊急対応」などの支援を受けるには、大学に進学した後に、学生が自ら「それらの支援策を利用できるかどうか」を進学先の学校に問い合わせる必要があります。つまり、「自己申告」が「いままで以上に大切になった」ということです。

 例えば、「学生支援緊急給付金」は、原則的には家庭から自立してアルバイトで学費や生活費をまかなっている学生が対象ですが、自宅生でも家庭から学費などの援助を受けない場合は、学生支援緊急給付金の対象となりえます。この場合も、自己申告が必要です。どんな学生が新たな支援の対象となるのかは、最終的には大学が学生からの自己申告にもとづいて判断します。

 また、「家計急変世帯への緊急対応」で給付型を申し込む学生に対しては、「急変後の所得」を基準とします。そのため、高校生のときに「家計の所得基準から希望する奨学金を借りられなかった」という学生も、大学入学後に新たに申し込めば支援対象になる可能生があります。自分が通う大学に自己申告して、支援対象となるかどうかを確認することが大切です。

奨学金は「早く動いた人」ほど有利に活用できる

 奨学金制度が大きく変わり、「お金のことで大学進学をあきらめる」必要がなくなったことがわかったかと思います。

 あわせて、いま、高校3年でこれから進学を考えている人が、大学4年間で必要となるお金を準備するなら、やはり従来の奨学金制度をきちんと理解し、有効活用することが大切です。

 従来の奨学金を上手に活用するには、何よりも「きちんと準備する」ことが重要。多くの高校生やその親は、「まだ志望校も決まっていない」といったことから、奨学金について真剣に考えるのをつい「後回し」にしてしまうことがあるようです。

 ところが、「志望校が決まっていなくても」、「進学するかどうかも決まっていなくても」、申し込めるのが奨学金です。しかも、申し込んだ内容は、大学に進学後に手続きをする段階で、辞退したり、金額や返還方式を変更したりすることが可能です。

 例えば、経済的に安心して大学に進学するために、ぜひとも活用したい給付型奨学金(返還しなくてよいタイプ)や貸与型奨学金の第一種(無利子で返還できるタイプ)は、高校生で申し込めるチャンスは毎年4月~6月、自分(お子さん)が通っている高校を通じて申し込む第1回「予約採用」だけです。

 つまり、ほとんどの高校生が志望校も固まっていないときに、給付型や貸与型の第一種など「有利な奨学金」の申し込みが始まり、そして締め切られてしまうのです。進学前にお金の心配を少しでも軽くしておくには、高校生のときからめに準備して、自分にとって有利な奨学金を受けられるように動くことがとても重要なのです。

希望が通らなくても他にたくさんの選択肢がある

 奨学金を考えるとき、多くの場合、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の奨学金を借りることになります。JASSOでは、給付型を受けられる学生の人数=枠を拡大していますが、申し込んだ人が全員、給付型を受けられるわけではありません。

 JASSOの給付型を申し込んだのに条件を満たさず受けられなかった、給付型を受けても大学生活にかかる授業料や生活費には足ないという場合、多くの人は貸与型の第一種、もしくは第二種(返還時に利子がつくタイプ)を借りることになります。

 そんなときは、「JASSO以外の給付型」に申し込むことも検討してみましょう。じつは、大学独自で用意しているものや企業、地方自治体、財団、任意団体など、さまざまな組織・機関・団体などが「返さなくていい」給付型を用意しています。

 こうした、JASSO以外の給付型を申し込むときに注意したいのが、申し込みの時期です。高校3年の9月~10月頃に申し込むなど意外に締め切りのタイミングが早いものもあるからです。これらの奨学金は申し込んで採用されても、後から辞退できるものが多いので、「志望校が決まっていない」段階でも申し込みをしておきましょう。

 もし、JASSOの給付型や貸与型を受けられるようになって、あわせてJASSO以外の給付型も受けられるようになったら、返還義務のある貸与型のほうを取りやめたり、減額したりもできます。

 奨学金制度は、従来のものに加えて新たな制度や支援策も続々登場しており、「お金がないから大学進学をあきらめる」必要はない時代になってきています。とはいえ、詳しい内容を知らずに借りてしまったり、借り方を間違えると、返還時に利子だけで100万円近くかかってしまうことも。安心して学べる資金づくりを行うためにも、どんな制度があるのか、どんな仕組みになっているのかをきちんと知っておく必要があるのです。

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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