Autoジョブ名人の開発ロードマップも披露

RPAの導入スピードはクラウド超え ユーザックが最新動向と新製品を披露

文●大谷イビサ 編集●ASCII

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 2021年3月18日、RPA製品「Autoジョブ名人」を手がけるユーザックシステムは年次イベント「USAC Solution Fair~明日の飛躍のために~」をオンライン開催した。イベントでは、RPAの最新動向のほか、ユーザー事例、ユーザックシステムの新製品情報などが披露され、国内でのRPAの浸透を感じさせた。

「すでに起こった未来」を念頭にお客さまを支援していく

 冒頭、挨拶に立ったユーザックシステム代表取締役社長の石井伸郎氏は、昨年リアル開催の予定だったイベントが急遽オンライン配信した結果、首都圏に限らず、全国からの参加者が増えたことを振り返った。その上で、「Webを使ったテレワークやWebを使った社員や取引先との情報交換がここまで拡がると1年半前に多くの人が想像したでしょうか?」と問いかける。10年前に創業したZoomのサービスがコロナ禍をきっかけに爆発的に普及したのは、やはり小さな変化が長らく続いてきたからにほかならない。

ユーザックシステム 代表取締役社長 石井伸郎氏

 こうした進化について石井氏は、ピーター・ドラッガー氏の著書にある「すでに起こった未来」というフレーズと関連付けて説明する。「すでに起こった未来」は未来は突然やってくるものではなく、小さな変化が積み重なってある日未来になっているという現象を指している。「こうしたそのすでに起こった未来に気づいた人たちが、未来への決断をし、イノベーションを起こし、サービスを提供し、社会の変化に貢献していく」と石井氏は語る。

 RPAや物流、EDIなどのパッケージシステムを手がけるユーザックシステムは、今年の7月で設立50周年を迎える。大阪の中堅中小企業のIT導入支援や物流のシステム化を支援する企業として50年前に設立された同社は、顧客の声を受けた受託開発からパッケージソフトへ大きくシフトしている。「私たちはすでに起こった未来をつねに念頭に置き、お客さまに喜んでもらうソフトウェアやサービスの開発に尽力していく。また、50年間培ってきた泥臭い、人間くさいサポートもしっかりしていく」と語った。

RPAの導入スピードはクラウドを超え、スマホに迫る

 続いて登壇したMM総研 研究副主任の高橋樹生氏は「RPA国内利用実態と展望 ~ニューノーマル時代をRPA×先端ITで勝ち抜く~」と題した講演を行なった。

MM総研 研究副主任 高橋樹生氏

 まず高橋氏は、新型コロナウイルスの影響で緊急避難的なIT投資が加速し、テレワークを前提にしたコミュニケーションやコラボレーションの高度化といった分野が成長してきたと指摘。コロナ禍での在宅勤務が常態化したほか、働き方改革、労働力の変動費化、2025年の崖と言われるDX移行への圧力などの要因により、パッケージ・クラウドなどのソフトウェアへの投資は今後ますます伸びていくという。ユーザー部門はITツールに触れる機会がさらに増え、ITの民主化も進むとトレンドを説明した。

 こうした流れの中で、RPAはユーザー部門が効果を感じやすく、情報システム部門とのコミュニケーションのきっかけにもなるため「ユーザーフレンドリーなRPAは、企業にデジタル活用の素地を作る」という。MM総研の調査では、2021年の時点で年商50億円以上の約4割がRPAを導入しており、年商1000億円以上の企業だと導入率はすでに半数を突破している。一方で、年商50億円以下は11%にとどまるものの、そろそろ拡大期に差し掛かっており、2021年度末までには今の倍の23%に拡大する予定だという。

RPAはスマホ並みの普及スピード

 このRPAの導入率を他のテクノロジー製品と時系列で比べると、クラウドサービスの普及スピードを抜き、2009年から一気にPCに迫る普及率を達成したスマホに迫るという。また、満足度が非常に高いのもRPAの特徴で、年商50億円以上の企業で調べたところ58%は満足しており、不満は5%しか上がらなかったという。高橋氏は「どのテクノロジーや製品もだいたい2割くらいは不満と答えるのに、RPAの不満の少なさは珍しい。『業務が楽になった』という声は多い」と語る。利用用途も、帳簿や紙、Webサイトなどの転記やデータの統合といった定型業務から非定型業務へと活用のフィールドは拡がっている。

 しかし、RPAを全社導入するには大きく人の課題、組織・プロセスの課題、予算の課題という3つの課題が存在しており、特に「従業員の理解」という課題は大きい。これに対して、高橋氏はユーザーインタビューや調査を元に、RPA導入を推進する部門の創設を提案する。開発や運用にユーザー部門を巻き込んだり、リーダーを育成したり、ロボットのファンを作ることで全社導入が進んだ例も多く、特に旗振り役としての情シスは重要になると指摘した。

 最後、高橋氏は「RPAの浸透度合いは、今後の企業の付加価値尺度になりうる」と指摘する。つまり、RPAが浸透して、人による手作業がどんどん自動化されることで、デジタル感度や親和性が高まり、いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)が浸透していくというわけだ。「まずは好き嫌いせず、使ってみることが重要」と高橋氏はまとめる。

スクリプトストアやUI刷新などが予定されるAutoジョブ名人の最新動向

 イベントではその後、RPA・物流・EDIをテーマとしたユーザー事例、Autoジョブ名人のユーザーによるパネルディスカッションが行なわれた後、常務取締役の小ノ島尚博氏からユーザックシステムの新製品情報が披露された。

 同社はRPA、受発注、物流ソリューション「名人シリーズ」を展開しており、このうちデスクトップ型のRPAツールがAutoジョブ名人になる。Autoジョブ名人は一覧性の高いスクリプト編集画面、安定したタグ認識を支援するタグ解析ビューア、きめ細かなスケジュール実行機能などを搭載。メール業務の自動化に特化した「Autoメール名人」や各種AI-OCR・手書き認識ツールと連携することで、アナログ情報のデジタル化を支援する。RPAの検討から開発、稼働までをサポートするカスタマーサクセスプランも高い評価を得ているという。

 新しい取り組みとしては、まず開発の短縮を実現する「スクリプトストア」が新たに開設される。4月からはWebEDI用のテンプレートが販売される予定で、業界標準のWebEDIを利用している企業のダウンロード業務を短期間で自動化できる。1スクリプトは約5万円を予定している。

 6月予定の新バージョンのVer 4.1では、いよいよブラウザとしてEdgeに対応。さらに2021年秋にリリース予定の5.0ではユーザーインターフェイスが刷新。今までのリスト型の開発モードが「詳細開発モード」となり、新たにフロー型の「簡易開発モード」が用意されるという。2022年にはスクリプトや実行指示、スケジュール実行、ログなどをクラウドから集中管理できるサービスも予定されている。今後もさまざまな機能強化が期待できそうだ。

今秋のバージョンアップでは、フロー型の簡易開発モードが搭載される

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