「ston」のライバルの存在や「BREATHER」社名の由来まで新事実が続々!

“かっこいい”だけでは説得できないプロダクトデザインの世界─「ston」デザイナー太⼑川英輔&御神村友樹CTOインタビュー

文●村野晃一/編集 ASCII

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NOSIGNER代表の太刀川英輔氏。※オンラインインタビューのため、一部画像が粗い箇所があります。

 ブリージングデバイス「ston(ストン)」が、公益社団法人日本インダストリアルデザイナー協会(以下JIDA)による「JIDAデザインミュージアムセレクションVol.22」の選定製品に選出された。以前、ブリーザー社の御神村友樹CTOへのインタビューを通じ、ston開発の裏側をご紹介したが、優れたインダストリアルデザインを表彰する同アワードの受賞を機に、ここで再度、stonの優れたデザイン性の内情に迫ってみたい。

 今回お話を伺ったのは、stonのデザインを手掛けた、デザインストラテジストであり、デザイン組織NOSIGNER代表の太刀川英輔氏。太刀川氏のデザインに対するスタンスやこだわり、ston開発時のさらに突っ込んだ話などを、御神村友樹CTOも交えてたっぷりお聞かせいただいた。

 プロダクト開発の裏話としてだけでなく、領域を超え、デザインを通じて社会課題と向き合うという太刀川氏のスタンスやその思考法は、製造業やクリエイティブに携わるすべての人にとって、様々な場面でヒントになるだろう。

NOSIGNER代表
太刀川英輔

https://nosigner.com/
NOSIGNER代表・デザインストラテジスト・進化思考家・慶應義塾大学特別招聘准教授。未来に残す価値のあるデザインと自然から学ぶ創造性教育を推進するデザイン活動家。デザインプロジェクトの実践だけでなく、「進化思考」という教育法を提唱し様々なセクターに変革者を育てている。

BREATHER CTO
御神村友樹(獣医師)

 1988年生まれ。東京大学卒業。大手消費財メーカーで研究開発員として病態モデル開発(in vivo)、研究職採用業務等を担当した後、BREATHER株式会社の設立に参画。神奈川出身。

「未来に必要じゃないものをつくりたくない」というデザイナー

──まずはじめに、NOSIGNERの活動と太刀川さんのプロフィールを簡単に教えてください。

太刀川 NOSIGNERは、広い意味でのデザイナー事務所ですが、インダストリアルデザイン、ブランディング、空間設計、建築設計、サービスデザイン、制作のデザインなど、コンセプトも決めるし形も決めるというような、デザインを総合的に手掛けるデザイン事務所なんです。

 いまでこそ会社っぽくなっていますけど、元々部活みたいな感じではじまって……というか、今でいうとバンクシーみたいな感じ、と言ったら伝わりやすいですかね。匿名のデザイン集団としてはじまったんです。そこから事業が広がっていって、政策からエネルギーのイノベーションまで、今はかなり広い範囲のコンサルティングを手がけたりする事務所になっています。

 NOSIGNERの理念として、「未来に必要じゃないものをつくりたくない」ということがあって、社会課題にひもづくようなデザインを多く手掛けているのが特徴ですね。防災であるとか次世代エネルギーとか。逆に、ものすごく古いもの、たとえば創業300年以上会社の社章などのリブランディングや、伝統産業など、古い文化を未来につなぐためのデザインも行っています。

 可及的速やかに解決しなければいけない未来の課題を、クリエイティブに解決できるか、というようなことをテーマにして活動していて、デザインって、そういうことに使える”ツール”だと考えているんです。

──太刀川さんがデザイナーを目指すきっかけになったことというのはあるんですか?

太刀川 僕はもともと建築を勉強してたんです。国立競技場を設計した隈研吾さんと、もうひとり、建築家でありプロダクトデザイナーでもあり大学院のときの先生だった黒川雅之さん、このお二人が僕の師匠と言っていいと思いますけど、建築家っていうのは、“建物の形”を設計する仕事ですけど、それと同時に、“人と建物の関わり”とか、“建物を通して人と街との関わり”などを設計する仕事なんです。肝心なのは、建物そのものがかっこいいかどうかということよりも、どういう関係性が生まれたかということのほうが大事で。

 そうした関係を築くことが建築の本質だとしたら、どこまでが建築の仕事なのか?と迷ってしまった時期があったんですね。そこから大学院を休学して、グラフィックやプロダクトデザインについて独学しはじめたんです。

 そんなとき、東京大学の先端科学技術研究センターの広報グラフィックをやらせてもらう機会があって、いつのまにかそこのデザインディレクターになって、いろんなことを手掛けるようになっていって。徳島県の家具の木工のプロデューサーをやったりとか。

 この徳島の木工みたいな地場産業が大変なことになっていて、ここ2,30年で産業として8割減の状態だというような過酷な状況が、日本のあらゆるところの地場産業で起こっていて。それをなんとかデザインでリバイブしていくことができないかみたいなことにチャレンジしはじめて。

 サイエンスコミュニケーションとか地場産業とか地域活性のような、社会的な意義とデザインを紐づけて考えるというのが、デザイナーとしてはじめたころからずーっとテーマになってたんです。

──デザインを志すところから、“かっこいい”ことよりも、まず“課題解決”をとらえる感じで入ったということなんでしょうか?

太刀川 逆ですね。めちゃくちゃかっこいいものを作りたいんだけど、それだけじゃ作らせてくれない。かっこいいだけじゃ説得できないんです。エンジニアリング上どうなんですかとか、形状どうですかとか、ブランディングやマーケティング上どうなんですか、あるいは社会的な観点で価値がありますかということが次々出てきて。形をかっこよくすることを専門にすると、アクセスできる領域がめちゃくちゃ狭くなるんです。狭くなることによって、結果的にかっこいいものを作ることも実現できない。

 そこから、“かっこいいことは機能することだ”ということを証明するというのが、僕のデザインに対するスタンスになったんです。それは、デザインと機能の整合性を取る、というのではなくて、アウフヘーベンとかシナジーといったものの方が近いかもしれませんね。両方妥協せずに、高い次元で取れる点があるはずだというスタンスで、1+1じゃなくて、掛け算的に良いものができあがるイメージです。

「BREATHER」という新しいジャンルの製品をデザインしよう

──そんな太刀川さんがstonのデザインを手掛けることになりました。

太刀川 最初にお話をいただいたときに、「現代人には、もっと健康的な休憩の仕方あるでしょ」という問いがあって、それを実現するのってすごい意義があると思ったんですね。それって、僕だけじゃ社会実装できないし、この人たちがやるっていうなら乗る価値があるんじゃないかなと思って。

御神村 太刀川さんに参加していただく前に、ある程度、プロジェクトのコンセプトは決まっていて、デザイナーを探していたんです。それこそいろんな方たちが候補にあがってきて、その中に太刀川さんのお名前もあった。結局、「かっこいいのはもちろんだけど、その裏の意味まで作りたい」となったとき、そこまで一緒に作ってくれる人って誰だろう?ということで、太刀川さんにお願いすることにしたんです。

BREATHER CTO御神村友樹氏。

太刀川 そんなわけで、僕らが関わる前から“ひと休みをアップデートできる”モノを作る、というコンセプトは決まっていました。でも、どういうことが実現できたら、“ひと休みをアップデートできる”ことになるのかとか、デジタルデバイスとしてそれが実現できるのかとか、僕らのところに話が来た時には、まだいろんなことがふわっとして。

 体験価値をどういうふうにブランドとして設計していこうかとか、いろんな議論のなかで、新しい体験なのだから新しいポジションを考えようという話になって、そこで提案させてもらったのが「BREATHER」という名前だったんです。

──「BREATHER」って、社名の? まず社名からだったんですか?

太刀川 結果的にそれは社名になって、ロゴも作らせていただきましたが、最初は、のちに作られるデバイスでの体験の総称が「BREATHER」だったんです。

 吸い込みも軽いものにして、どちらかというと“深呼吸”という方向に体験を寄せていって。そういうポジショニングに商品カテゴリー全体を作っていったほうがいいんじゃないかと。「BREATHER」という位置づけの中に、僕らが開発しようとしているものと、ほかの人が作ろうとしているものも入れていこうという概念が整理されていって。

 そこから、吸い込み系のプロダクトにどんな可能性があるのか試しだしたんです。ペン型だったり、首に掛けて使うホイッスル型、スマホに挿して吸う型だったり。いろいろ試した中で、最終的に残って、まずこれをやろうとなったのが、石の形をしたデバイスだったんです。

対抗馬「maal」の逸脱から生まれた「ston」

──stonのデザインに関して特にこだわった部分はどこでしょう?

太刀川 stonに関して言うと、「人工のものって、もっと私たちの肌感覚に近づけられるのではないか?」という挑戦ですね。世の中には、素敵なITのデバイスっていくらでもあるじゃないですか。でも、そいうものとは一線を画す、より自然の存在に近いようなものを作るというのが僕なりのチャレンジとしてあって。目指していたのは深呼吸に近い体験をするためのデバイスで、深呼吸自体は自然の行為なので、それを何かのデバイスがアシストするってときに、そのデバイスの形はより自然なものに近いべきだっていうふうに思ったんですね。そこに“石”っていうメタファーを発見したことによって上手くいったというのもあるし、ポケットに忍び込ませていい感じというのも、この形であればうまく世界観として作れるのではないかと。

──石の形には、どうやってたどり着いたんですか?

 最初に、スティック型とかいろんな形を試していて、その中に一瞬、UFOみたいな円形を考えたことがあって。円形って意外とあるかも?と考えた時に、円形があるんだったら石型があるはずだと思って石型も作ったんですよね。変異と適応を繰り返す中で、ちょっと逸脱してみたことによって、石型にもなりえると気づけた。

 でも、かなり攻めたデザインだったので、それが決まってからが大変で。この形ありきで進めたので(笑)。光り方とか、どう作ったらパーティングラインが消えるとか製造と喧々諤々しながら、御神村さんにはその間に立っていただきながらいろいろ大変な状況を一緒に戦っていただきました。

御神村 正直、あそこがプロジェクトのティッピング・ポイントだったんですよ。円形のものには「maal」という名前が付いていたんですけど、最後まで決められなくて、maal対stonで多数決を取ったんです。stonのほうがかっこいいのは分かり切っていたんですけど、攻めすぎてて「これが本当に作れるかな」っていう意見があって。

太刀川 最近のインダストリアルデザインでは、作り方が変わってきていて。モノを作り出す前に、ほとんど写真に近いレンダリングが出せるので、それを3Dプリンターで出力して、これならこんな体験ができるんじゃないかというとこまで出来ていたので、ガワが完全に決まってたんです。もちろん、こっちもシロートじゃないですから、実現可能性を加味したうえでの提案なんです。理論的にはこれでできるはずだと。とはいえ、実際にそれが存在しているわけではないので、理想と現実の溝はそこから埋めていかなきゃならないので。

──以前、御神村さんにお話を伺った際には、stonの開発時には、普通はやらないようなチャレンジをいくつもやってきて大変だったというお話がありました。

太刀川 確かにめちゃくちゃ大変でした。デザインを決めたといっても、設計図を渡してその通りに作ってもらったとか、そういうものじゃないんです。形を設計し、中の機構の設計についても、エンジニアのチームと一緒に「このバッテリーをこっちに移したらどうか」とか「ここを何ミリ下げたらどうですか」とかこちらからどんどん工場側にフィードバックしながら現在のものに磨いていったというような作り方だったんです。

御神村 ちょっと補足させていただくと、これは弊社CEOの菅沼の持論ですが、製品設計というものには2つの意味があって。ひとつは“機能設計”。機能展開とも言いますが、これはこんなことができるデバイスですという意味付けを設計することです。

 もうひとつが、“構造設計”と言って、これは製品をまず部品の塊として見る。こんなデバイスだったら、バッテリーがここで、この部品はこの位置でと組み立てて、そのあとでそこに意味を持たせるというやり方です。

 stonの場合は、構造設計を一切やらずに機能設計、つまり「意味」から入っていったんです。構造的なことは考えずに「意味」を考えていって、あとから頑張って構造を考えたので、えらく大変だったんです(笑)。

太刀川 こちらでも3Dの設計はできるので、まずラピッドなプロトタイプはこちらの3Dプリンタで出しつつ、構造設計の途中までパラレルで一緒に作っていって。構造設計の部分では、どういうものなら作れるという、製造側のいろんな都合が出てくる。その都合をいろいろ伺いながらやりとりをしつつ、これだったらできるんじゃないかとか。

全員がデザインにほれ込んだという共通の土台があることがパワーに

──「そう言われてもねえ」とか、工場の人に言われたりしないんですか?

太刀川 もちろん言われましたけど、たぶん、このチームの熱意が向こうにちゃんと伝わったということが大きいと思うんです。このプロジェクトの製造には、本当に多種多様なメーカーが関わっていて、彼らも日本市場のオープンイノベーションと新しい市場開発の気概みたいなものを感じて、最大限がんばってくれた。そういうオーラを感じとった工場側も、普通は嫌がりそうな工程だったけど引き受けたくれたと思うんですよね。

──凄く浪花節っぽい感じがありますね(笑)。

太刀川 実際、結構浪花節だったと思います。単にこうしてください、という伝達だけだと、本当に物事を最適化することってできないじゃないですか。結果を限界まで引きあげようと思ったら、やっぱり限界まで本領発揮してもらわないといけない。でも、「本気出せよ」って言えばしてくれるものじゃないですし、相手のことをちゃんと理解しないと本領発揮はしてもらえないですよ。

──そうした現場の熱量が加わって、想定以上のものができあがったりすることもあるものなんですか?

太刀川 stonがまさにそうだったと思います。stonは、最後の最後まで、下の部分にパーティングライン(合わせ目の線)が入るか入らないかで揺れてたと思うんですよね。

 stonのような楕円っぽい形をプレスで作ると、真ん中に線を持ってこない限り、絶対逆アールになる場所が発生するんですよ。プレス一発ではできないことが分かった。じゃあ、どうやって作る? プレスをかけたうえで絞る? 削り出す方法はない? みたいなやりとりを喧々諤々するなかで、工場側が、「逆アールまで絞ってあげるよ」って言ってくれて。「まじで? できるの、そんなこと?」「できる! 俺らなら」みたいなやり取りがあったりしましたね(笑)。

御神村 1にも2にも、いったんデバイス単体での採算度外視というところにいきつくんですけど、それを下支えしたのは、あくまでもデザインなんですね。関わったメンバーの全員がデザインにほれ込んでたという共通の認識があって。なんとかそれを実現するんだって意思統一できてたというのが大きいですね。

 関わる人たちに、共通の土台があることって、パワーになるなってホントに実感しました。ただ「やってくれ」と言って動けるものではないので、彼らのモチベーションがどこまで上がっていくかが重要なんですよね。

太刀川 世界中どこの人でも、いいものづくりにこだわりがある人って、難しチャレンジがくると燃えるんですよね。stonの場合、こんな形のデバイスってそうはないので、彼らのなかで、何か、たぎるものがあって火がついたんじゃないですかね(笑)。

僕はデザインでジャズみたいなことをしたいんだと思う

──太刀川さんにとって“デザイン”って何ですか?

太刀川 これ言うと気持ち悪いと思われるかもしれませんけど、もう“デザイン”が趣味なんですよね。今、本を書いているんですけど、生物の進化とデザインはこんなに似てるよっていう内容なんですが、これこそ僕の趣味の集大成みたいな本ですね。

 「人の創造性ってどうしたら花開くか」というのが僕のライフテーマにあって、アイデアをめっちゃ出せるようになる方法とかを編み出していろんな人に教えてるんです。普通のデザイナーはあんまりそんなことしないので、そういう意味では、これが僕の趣味なのかもしれないですけど、アイデアの出し方とか創造性の構造を探求するマニアみたいな、創造性マニアみたいなところがあって。その創造性に、自然現象のなかで一番似てると思ってるのが生物の進化なんですよね。詳しくは4月に「進化思考」という本を出すので読んでみて下さい(笑)。

 デザイナーも趣味ではじめたようなものなので、はじめた当初は学生だから食えるわけないんだけど、グラフィックデザインやプロダクトデザインが好きだったので独学していたら、ふんわりクライアントが増えてったみたいな感じで今に至っているので。締め切りに追われるのは嫌いなんですけど、それ以外においては、“デザイン”は趣味ですね、僕にとっては。

──ほかに趣味みたいなことはないんですか?

太刀川 今は子育ても、ある意味、趣味になってます。今、1歳半なんですが、もう可愛すぎる。子育て楽しいです(笑)。子供ができたときに、僕の友人に「産後クライシス」って本は絶対読めと言われて読んだんです。女性の愛情曲線というのがあって、男女がお付き合いを始めたところから上がり続けて、結婚したところで下がり始めるんですよ。で、出産から激減するんですが、これはまあ統計上そうなんだから仕方ないんです。でも、そこから信頼回復できない男性と信頼回復できる男性のグループに分かれるんですね。ここで信頼回復できないとそこからずっと下降線になってしまうんです。なので、もう育児に超フルコミットしてます。骨盤ケアだったり、マミーキャンプとか産後ケア施設なんかにも一緒に行ったりしましたね。それだけの投資価値はあると思いますよ。そういう意味では、stonのデザインも一緒で、最後は気合と根性と愛なんですよ(笑)。

──音楽のジャンルでは、ピアノジャズがお好きだと伺いました。ジャズの即興性と自身のデザインに共通するところがあったりしますか?

太刀川 さっきの話に戻りますけど、生物の進化って変異と適応の繰り返しで起こるんですよ。変わる仕組みと適応してフィットする仕組みですね。

 変わる仕組みがなければ、クリエイティビティって生まれない。それまでの音楽って、基本的には“適応”の圧がすごい強くて、このスコアに書かれてることしかやっちゃいけない、というものだったんですけど、ジャズはそうではなくて、コードくらいの緩い“適応”の圧はあるんだけど、その中でお前やってみろというのがジャズで。

 変わり続ける仕組みをどういうふうに取り込めるか、そこに偶発が生まれるんですよね。たとえばノーベル化学賞の受賞者を調べていくと、偶然から発見したって人がめちゃくちゃいっぱいいる。普通の常識ではありえないってことを、実験を繰り返すうちに偶然やってしまったから、それが生まれてるわけです。本当に創造的なものを作るには、ある種、ちょっと狂わなきゃいけないってとこがあると思うんです。ちょっと狂うのと、その狂ってるのをどう制御するのかということのバランスが大事で。いろんな音楽があるけど、ジャズにはそれがある気がします。それが自分のデザイン的なものに影響を与えているのかどうかはちょっとわからないですけど。

 でも、僕はデザインでジャズみたいなことをしたいんだと思います。いろんなプロジェクトで、「まさかそういうふうにいけると思ってなかったでしょ?」みたいなセッションを、クライアントとの間では望んでますし。

 別にそこで僕がリードプレイヤーになってやろうってつもりもないですし、stonに関して言えば、御神村さんたちがやってることが、ある種リズムっぽいものとしてあって、そこに僕が「こういうふうにもなりえるよ」っていうようなことを投げかけていって、だんだんと物の形になっていって。

 そうやって、一緒に物を作っていくっていう意味では、言われてみれば、音楽じゃないけどバンドのセッションっぽいかもしれません。stonチームは、まさにそんなセッションみたいな感じでしたね。

ものづくりにおいてデザイナーと技術者はピッチャーとキャッチャーの関係

御神村 stonの開発って、世界観との共鳴がすごく大事だったと思うんですよね。太刀川さんの生き方とか価値観自体が、私たちが目指す世界観と重なったのが大きくて、コンセプトから入ってもらえたのがすごく意味があることだと思ってました。

 ものづくりって、ものすごく細かいマイクロのレベルで意思決定することがたくさんあるんですけど、そこで迷ったときに、一番上段で、「何を目指してるんだっけ?」というところが全員で共有できていたのがすごく大きくて。さっきのジャズセッションみたいな話って、すごく共感するところがありますね。

御神村 もうひとつ、モノを作る側の立場で考えてみると、デザイナーと技術者って、ピッチャーとキャッチャーみたいなところもあるなと思いますね。キャッチャーからサインを出してリードするってだけじゃなくて、ときにはピッチャーが投げたい球を思いっきり投げてもらっても受けられるキャッチャーがいて初めてバッテリーというのは力を発揮するんだと思うんです。stonに関しては、チカラのあるエースの太刀川さんに投げていただけて、それをキャッチする側の私個人の思いとしては、いい球を受けられて幸せでした(笑)。

太刀川 個人の思いとしては、僕としてもいいコラボレーションだったな、またこのチームで一緒にやりたいなと思ってます(笑)。stonのさらなる発展も含めて、今後もいろんなことをディスカッションしていけたらいいですね。

(提供:BREATHER)

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