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Photo:PIXTA |
元日から
国際郵便の制度が刷新
ほとんど話題になっていないが、今年元日から国際郵便の制度が大きく変わった。これまで手書きの送り状でも受け付けていた国際郵便(EMSや航空便、SAL便、船便)が、事前にオンライン申請する「通関電子データ送信義務化」に変わったのだ。
簡単に説明するとデジタル化することでセキュリティー向上を目的としている。この制度は、万国郵便連合(UPU)加盟国が承認したもので、承認国である日本もそれを実行したということになる。
なぜ1月1日からだったのかと言えば、1日から米国が通関電子データされていない国際貨物を一切受け取らずそのまま送り返すというオペレーションを始めているからだ。日本は残念ながら米国に引きずられる形での実施とみられる。これは米国内法「STOP Act」という法律に基づくものだ。
米国に引きずられての実施だった影響か、新制度での国際郵便を利用してみると不便な点が複数あった。
そもそも手書きで国際郵便を発送していたのは、主に個人で海外在住の家族や友人へ荷物を送付するようなケースが多かったと思われる。
事前オンライン申請をするために
必要な手順とは?
新制度で事前オンライン申請をするためには、まず、「国際郵便マイページサービス」へ登録する必要がある。
利用登録後、送り主情報や送付先のアドレス帳を作成して実際の申請という流れとなる。
電子通関申請は、パソコンとスマートフォンのどちらからでも申請できる。パソコンで利用登録すればスマホでもログインできる。しかし、現時点では、パソコン版で作成した送り主情報や送付先のアドレス帳がスマホ版と共有されないようだ。不便すぎる……。
プリントアウトする必要はあるものの、効率はパソコンのほうが圧倒的によいためパソコン版で事前申請を始めると、パソコン版でプリントアウトする送り状を入れる専用パウチ(送り状袋)が必要と表示されている。最寄りの郵便局に専用パウチが用意されていないことが多いので、請求してほしいとの一文が。
専用パウチ請求ボタンを押すと、届くまで5営業日かかるとある……。無料で最高50枚まで送ってくれるのはありがたいサービスだが、時間がかかりすぎる。
国際郵便を依頼する郵便局へ電話して専用パウチがあるかどうかを確認すると、無慈悲にも「ない」との回答だった。急いで送る必要があったので、1週間も待っていられず専用パウチが不要なスマホ版でリトライすることに。
新制度では
内容物の英語表記も必要に
新しい制度では、世界共通で内容物を英語で申請する必要がある。たとえば、サプリメント、カレールー、インスタントみそ汁などを英語で記載しなければいけない。
パソコン版には、内容品の英語訳がリンクされていて、近い商品を探してコピペできるが、スマホ版は確認できる限りリンクがなく、パソコンと連動させてGメールを介してシェアした。
品名、単価、重量、個数を入力して事前申請し、そのまま郵便局に設置されているメルカリ等でも利用される「ゆうプリタッチ」でプリントアウトできる。
プリントアウトされた長い送り状に4カ所サインして窓口へ提出して完了となる。それにしても、送り状の文字が小さい。スマホだからといって、こんなに小さくする必要はないのではないか、というくらい小さい。
郵便局担当者に聞くと、郵便局としては、事前に行う通関電子データ制度は、字が読めないなどの確認の手間が減るので非常に助かるとのことだ。では、「パソコン版とスマホ版のどちらが仕事しやすいか?」も尋ねると、スマホ版は文字が小さく確認しづらいので、自分たちとしてはパソコン版のほうが短時間で対応できると教えてくれた。
ついでに、届くのに1週間もかかる専用パウチについても聞いたら、専用パウチは局内には置いていないが、送り状を入れる透明の袋はあるので、それは提供しているとのこと。透明で送り状が読めれば別に専用袋でなくても問題ないらしい。それもサイトに記載しておいてほしい……。
中国向けの航空便では
「ピンイン」にも注意
筆者は今回、中国向けの航空便を利用したのだが、不便だなと感じたのは、送付先の住所や氏名を英語で書く必要がある。送付先が中国なら漢字で書いたほうが簡単で短く済むのであるが、中国語の発音をローマ字表記した「ピンイン」で記載する必要がある。ピンインは発音を元にローマ字表記したものなので、読めば中国人は理解できる。
しかし、ピンインのルールを学んでいない日本人が正確に書くのは大変かもしれない。よく聞くのは、中国の現場でスタッフとの会話の中で中国語を覚えた人などは、会話はできてもピンインを正しく書くのは難しいということ。たとえば、「星」は「Xing」だが、発音的には「Shin」に聞こえ「Shin」と書きそうだが、「Shin」はピンインには存在しない。調べるのが手間になる。
手書きの送り状のときは、漢字を書いて上に英語を書けば送れていたので、それほど、気を使う必要はなかったが、「Xing」と「Xin」で漢字が変わってしまうので、しっかりと調べて書かなければいけない。
荷物は、コロナ禍で航空便の大幅減の影響もあり、通常5日ほどで到着する中国沿岸都市へ2週間ほどかかったが、無事に届いたようだ。
現時点では、パソコン版とスマホ版のマイページが一部連動していないなど不便な問題があるので、今後の改善に期待したい。
(筑前サンミゲル/5時から作家塾®)
※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら
