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“コンバージドデータベース”の強み、他社クラウドのDBサービスとの差異を強調

日本オラクル三澤社長、最新版「Oracle Database 21c」の特徴を語る

2021年02月15日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 日本オラクルは2021年2月12日、同社データベース最新版「Oracle Database 21c」の製品戦略に関する記者説明会を開催した。出席した日本オラクル社長の三澤智光氏は「思い入れが強い製品だけに直接話をしたい」と切り出し、多様なデータを統合的に扱える“コンバージドデータベース(統合型データベース)”としての同製品の優位性を説明。また、他社パブリッククラウドが目的別に提供する各種データベースサービスとの差異を強調した。

オラクルのデータベース最新版「Oracle Database 21c」の製品戦略を説明

日本オラクル 執行役社長の三澤智光氏、同社 常務執行役員 テクノロジー事業戦略統括の竹爪慎治氏

アプリ開発者やデータサイエンティストにも使いやすい統合DBを目指す

 Oracle Database 21cは、今年1月にリリースされたOracle DBの最新版。三澤氏は「あらゆるデータ、あらゆるワークロードに対応し、最高の生産性を実現した。エンタープライズクラスのパフォーマンスやスケーラビリティ、信頼性、セキュリティを実現する、新たな形のコンバージドDB」だと位置づける。現在はまず、Oracle CloudのDBサービスおよび自律型DB「Autonomous Database」として提供を開始しており、今後オンプレミスでも提供する予定だ。

 Oracle Database 21cが実現するコンバージドDBについて三澤氏は、かつてのスマートフォン登場時のインパクトになぞらえて説明する。それまでは携帯電話やPC、デジカメ、ボイスレコーダー、カーナビなど「目的別」のツールが存在したが、それぞれ操作性が異なり、コストもかかり、すべてを持ち運ぶのも大変だった。これらの機能がスマートフォンに統合されたことで、操作が統一されたうえにコストも下がり、持ち運びも容易になった。さらに、スマートフォン内で機能間のデータ連携も完結し、アップデートやバックアップが自動化された。

 「データファイルシステムも似たような環境にある。構造化データだけでなく非構造化データも取り扱うようにない、さまざまな目的別のファイルシステムが生まれた、しかし、これは不便さも生み出した。開発者や運用管理者は、それぞれのファイルシステムに応じた開発手法、運用管理方法、セキュリティ、データを用意しなくてはならなくなった。これを解決するために、目的別DBから“スマートDB”に移行することが必要になる。これをいち早く実装したのがOracle Database 21cである」(三澤氏)

 コンバージドDBへの統合によって、単一のインタフェースから運用管理が可能になり、開発性や拡張性、セキュリティなども共通化される。ただし、これはプラガブルDBのアーキテクチャにより実現されるため、全体が巨大化することもない。加えて、ここにAutonomousの機能を追加することで、自律化、自動化できると語る。

“第1世代”クラウドでは多様な目的別DBサービスが提供されているが、運用管理やアプリ開発の複雑さを招いていると指摘

 今回リリースされたOracle DB 21cでは216の新たな機能を追加し、アプリケーション開発者やアーキテクト、データサイエンティストなど多様なユーザーに使いやすい環境を提供すると同時に、DB管理者にはより管理しやすい環境も用意したと、三澤氏は説明する。

 たとえば開発者やアーキテクト向けには、ブロックチェーン技術を用いてデータが変更(改竄)されていないことを証明できるSQLテーブル「ブロックチェーンTable」、Oracle DB内部(ストアドプロシージャ)でのJavaScript実行機能、高いパフォーマンスを実現するネイティブJSONバイナリデータ型への対応、パーシステントメモリ(永続性メモリ)ストアといった新機能がある。またデータサイエンティスト向けには、各種機械学習アルゴリズムを強化しているほか、機械学習モデルの構築を簡素化する「Auto ML」の機能強化も行っている。DB管理者向けには、“地球規模”での分散データシステムを実現するシャーディングの大幅な強化を行った。

 「Oracle Database 21cにはあらゆるデータタイプが格納できるが、これに対して機械学習をかけることで、はるかに処理が効率化でき、よりよい結果を生み出すことができるようになる。またパーシステントメモリがDBにもたらす革新は大きい。今回の21cに実装された機能はその一部にすぎず、今後さらに強化されることになる」(三澤氏)

Oracle DB 21cで追加された主要な新機能

他社パブリッククラウドのDBサービスと比較した優位性を強調

 三澤氏は、Oracle DB 21cが他社DB製品、特にAmazon Web Services(AWS)などの競合パブリッククラウドが提供するDBサービスと異なるポイントとして4点を挙げた。

 まずは、あらゆるデータモデルを統合的に取り扱えるコンバージドDBという強みだ。Oracle DBは、リレーショナルDBの構造化データだけでなく、JSONやKey Value、グラフ、ファイルといった非構造化データを含む幅広いデータモデルを、一貫性のあるクエリとビューで取り扱うことができる。

 「AWSで目的別のデータファイルシステムを複数使ったり、これにオンプレミスのデータファイルシステムを組み合わせて使ったりしている場合には、複雑で、不便で、コストがかかる開発、運用が余儀なくされる。オラクルのコンバージドDBであれば、そうした問題を解決し、あらゆる人たちが目的に応じた洞察を得ることができる」(三澤氏)

 三澤氏は具体例として「顧客の購買行動分析」を取り上げた。目的別DBを使う場合、商品検索履歴、購入履歴、配送管理、顧客情報、売上分析といったDBが個別に存在するため、行動分析を行いたい場合は事前にDB間でETL処理を行ったうえで、データ連携を行う必要がある。一方でコンバージドDBであれば、統合されたDBとしてデータ連携もスムーズに行え、最低限の手間とコストで済む。「アプリケーションの観点から見れば、目的別DBはナンセンスだと考えている」(三澤氏)。

目的別DBで構成すると複雑で多用途での活用が不便になるものを、コンバージドDBにより簡素化できると説明

 特徴の2点目として、コンバージドDBの開発者と運用管理者に対するメリットも示す。

 「開発者はRDBMSでSQLを使うだけでなく、JSONであればMongo APIを、グラフであればSPARQLを、位置情報であればHiveQLをといったように、目的別DBごとにインタフェースを操らなければならない。運用管理者も、目的別DBの性能や可用性、拡張性、セキュリティ(の維持)を、それぞれに行わなくてはならず、煩雑な作業が強いられる。コンバージドデータベースであれば、開発者はSQLだけでさまざまなデータに透過的にアクセスでき、開発の仕事にだけ専念できる。また、運用管理者は、統一されたインターフェースで運用できる。その差は一目瞭然だ」(三澤氏)

目的別DBを扱うために開発者は多様な言語を利用しなければならず、ここでも複雑化が発生する。運用管理の手間もかかる

 3点目としては、Oracle Cloudのインフラが備える能力を挙げる。

 「現状は、さまざまな目的別DBがさまざまなパブリッククラウド上に実装されており、その結果、データ管理や運用の自動化が進まず、SLAも統一されたものになっていない。だがOracle Cloud Infrastructure(OCI)であれば、圧倒的に高速なネットワーク、完璧なテナント分離、フル暗号化ができるというメリットがある。このインフラと一体化したサービスを提供できるのがOracle DB 21cであり、いわば“Engineered Cloud”と言えるものだ。データ管理や運用の自動化(自律化)やSLAの統一ができ、ミッションクリティカル用途でも安心して利用できるDBサービスである」(三澤氏)

 最後の差異化ポイントとして、クラウドネイティブ環境における違いを挙げた。「現状では、データにACID特性が求められるようなアプリケーションをコンテナやマイクロサービスで実装するのは難しい。オラクルのコンバージドDBは、イベントドリブンなマイクロサービスアーキテクチャを使うことで、それを実現できる唯一のDBになる」(三澤氏)。

次世代インフラとクラウドネイティブ環境の違いについても強調した

 なおOracle DB 21cは現在、「Oracle Autonomous Database Free Tier」としても提供されている。この無償枠は、一定のリソース範囲内(最大2つのDBインスタンスなどの制限内)であれば、時間制限無しで永続的に利用できる“Always Free”のデータベースサービスだ。

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