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鳥居一豊の「コンパクトスピーカーが好き!!」 第8回

音楽に生命が宿ったかのような音、存在感のある音の厚み

Sonus faber「LUMINA I」で聴く、ベートーベン/交響曲第9番「合唱」

2021年01月24日 13時00分更新

文● 鳥居一豊 編集●ASCII

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イタリアの工芸品のように美しいスピーカー

 世界中のさまざまな小型スピーカーを紹介していくこの連載。小型スピーカーといっても、ペアで10万円ほどかそれ以下の価格のモデルを中心に、上限でも10万円台までの比較的手の届く価格帯のスピーカーを対象にしているので、なかにはもっと美しいデザインの製品や調度品のような質感までも兼ね備えた製品が見たいと思っている人もいるかもしれない。

 これまでに紹介した製品もそれぞれに作りはしっかりとしているし、板と板の継ぎ目の見えない仕上げなど、実物を見れば価格以上の質感の高さを持っていた。だが、どうしてもデザインとしてはシンプルなものになっている。コスト的なことを考えると仕方のない面もある。

 とはいえ、音楽を聴いている間は必ず目の前にあり、そうでない時でも部屋の中の(おそらくは)一番良い場所に鎮座しているのがスピーカーだ。音質がいいのは当然として、見た目が美しい方が愛着も湧くし長く付き合っていけると思うはず。もちろん、ハイエンドクラスの高級スピーカーにはそうしたものがたくさんある。が、手の届かない価格では意味がない。筆者自身もスピーカーに限らずオーディオ機器のデザインの良さを重視するタイプなので、そんな製品があれば真っ先に紹介したいと思う。

 そこで、今回、自信を持ってデザインの美しさでおすすめできるモデルを選んだ。それが、ソナス・ファベールの「Lumina I」(実売価格 10万8900円/ペア)だ。

イタリアの工芸品のように美しいスピーカー

 ソナス・ファベールはイタリアのヴィチェンツァで1980年に創業されたメーカーで、社名は「音の工房」を意味する。創業者である、故フランコ・セルブリン氏による美しいデザインのスピーカーは瞬く間に日本でも大人気となった。イタリアの木工技術を駆使した工芸品のような作りと、エンクロージャーを革張りで仕上げるような音質とデザインが一体となった大胆なアプローチなど、実に個性豊かなスピーカーが揃っている。

 比較的手頃な価格の「Lumina I」も、同社の長年の伝統を受け継ぎ、美しいデザインと感性豊かな音を備えたモデルだ。「Lumina」の名称は、ラテン語で「光」を意味する言葉で、ここに「LUxury」(贅沢で甘美な音楽体験ができる音質)、「MInimal」(設置しやすいサイズ感と生活に溶け込むデザイン)、「NAtural」(自然な音)という意味も込められている。シリーズには、トールボーイ型の「Lumina III」、サラウンド再生のセンター用となる「Lumina Center」がラインアップされており、5.1chなどのサラウンドシステムも構成できるようになっている。そして、生産はビチェンツァの工房で手作業で組み立てられ、全国に出荷される「メイド・イン・イタリー」であるのも同社の上位モデルと同様だ。なお、付属品である保護用のサランネットはマグネットによる着脱式。着脱のための穴を空けたくないという美しさのこだわりは細かなところにも徹底されている。

 艶やかな塗装で質感豊かに仕上げられたバッフル面に対し、側面や天面は革張りのような仕上げを施され、独特なデザインとなっている。初期の製品であるMINIMAがバッフル面が革張りとなっていたことを思い出す。取材用にお借りしたのは、濃い茶色の木目「Wenge(ウェンゲ)」で、他に明るい木目の「Walnut(ウォールナット)」、光沢のある黒「Piano Black(ピアノブラック)」の3種の仕上げが用意されている。

[Lumina Iの主なスペック] ●形式:2ウェイ2スピーカー・バスレフ型●インピーダンス:4Ω●再生周波数帯域:65Hz〜24kHz●出力音圧レベル:84dB/W/m●サイズ:幅148×高さ280×奥行き220mm●質量:4.5kg

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