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心が折れやすい人が感じる「無力感」との向き合い方

2021年01月06日 06時00分更新

文● 植西 聰(ダイヤモンド・オンライン

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「無力感」を感じたときに大事なのは「自分を責めない」こと(写真はイメージです) Photo:PIXTA

昨年は新型コロナによる感染症の流行により、多くの人にとって試練の一年となりました。これからのウィズ・コロナ時代を生きていく現代人には、より「折れない心」が求められるでしょう。とはいえ、実際に明るい未来が見えない状況で生きていくのは簡単ではありません。そこで今回は、心理カウンセラー・植西聰さんの新刊『前を向く力を取り戻す 「折れない心」をつくる たった1つの習慣』(青春出版社)から、苦しい状況の中で生きていくときに、気持ちが少しラクになる考え方を紹介します。

「無力感」を感じたときに大事なのは「自分を責めない」こと

 心が折れやすい人は、そうでない人よりも「無力感」にさいなまれることが多いようです。無力感というのは、簡単にいうと、「自分は何もできない」、「自分には力がない」というふうに、気力が保てなくなってしまうような心の状態のことを言います。

 例えば、ある日突然、会社の上司から「業績が悪化したので、来月の給与は半分カットすることになった」と告げられたとしましょう。最初は「そんなこと急に言われても、困る」と怒りの感情が湧いてくるかもしれません。しかし、しばらくすると、「来月からどうやって生活していこうか」、「家賃の支払いはできるだろうか」と、今後が心配になって絶望的な気持ちになるでしょう。そして、「こんな状況になっても、自分は何もできない」と無力感にさいなまれるのです。

 人間関係においても、無力感にさいなまれる場面があります。例えば、長年の友人が家族とのトラブルで大変な状況に追い込まれていると知りました。「自分も何かサポートをしたい」と思っても、実際のところは何の役にも立てないことがわかって、「大事な人が困っているのに」と無力感に襲われてしまうのです。

 心の中が無力感でいっぱいになると、日々の生活に活力がなくなります。悪化すると、気持ちがずっと沈んだまま体が動かなくなって、本当に病気になってしまうこともあるので注意が必要です。

 無力感にさいなまれたときは、自分を責めないことが、とても大切です。そして、どんな小さなことでもいいので、その日、自分ができたことを数えてみるといいでしょう。

「今日も朝起きて会社に行った」
「一日分の家事を終えることができた」

 そして、「つらいけど、何とか頑張れたね」、「人を助けようとしたのは立派なこと」というふうに、自分を励ましてあげることを心がけてほしいと思います。

他人への批判や怒りは結果的に自分を苦しめる

 私たちの生活には、生きていく上で課せられたルールがあらゆるところにあります。その最たる例が法律です。

 例えば、社会人になったら、税金を納める義務があります。たいていの人はそのルールを守って、きちんと税金を納めていますが、中には何らかの理由で何年も納めていない人もいます。そういう人がニュースで取り上げられたりすると、「悪い人だ」、「収入は多いはずなのに」などと批判が繰り広げられます。「ルールを破る人がいると、きちんと守っている人には迷惑だ」という正義感から批判する人が多いのでしょう。

 しかし、心の中では「自分はきちんとルールを守っているのに、あの人は平気でルールを破っている」というのが許せなくて、イライラしてしまうという心理もあると思います。誰かを見るたびにイライラしてしまいがちな人は、無意識に「あの人は悪い」、「あれは間違っている」とジャッジしてしまう傾向が強いといえます。

「悪いことをする人が許せない」という思いは理解できますし、悪いことをする人よりもいいことをする人のほうが正しいのも確かです。しかし、ジャッジばかりしていると、心の中に「怒り」や「恨み」といったマイナスの感情がたまっていき、結果的に自分を苦しめることにつながります。

 人間に感情がある限り、人や物事をジャッジせずに生きていくのは簡単ではありません。しかし、「ジャッジは、ほどほどにしよう」という意識を持つことはできるはずです。

 第一、他人のことでいちいち自分の感情を乱すなんて、感情の無駄使いです。世の中は、いいことと悪いことが混ざり合っているものです。イライラやモヤモヤがふくらんだときは、「いい」「悪い」でジャッジしていないか、チェックしてみましょう。

変化していく世の中を受け入れていくために

「世の中はどんどん悪くなっている」と思い込んで、心が折れそうになっている人がいます。そういう人にとって、変化は悪い意味を持ちます。

 実際に、変化には予想できないリスクが伴います。「変わる前より状況が悪くなってしまった」という可能性もゼロではありません。そして、人間には「失敗や後悔をしたくない」という気持ちから自分を守る心理が働くため、どうしても変化することを怖く感じるのです。

 しかし、世の中を見渡すと、一見、よくない変化のように感じたものが、実際にやってみるといい結果をもたらしたということがよくあります。例えば、感染症の影響で外出ができなくなり、社会全体が大きく変わったことについても、色々な見方ができます。

「会社に毎日出社しなくてすむようになったら、通勤時間の分を好きなことに使えるので新しい趣味が増えた」
「人が外出を控えたことで、街中の空気がきれいになり、海や川の水質もよくなった」
「ランチ代や、仕事の後の飲み会に使っていた分の出費が減って、貯金が増えた」
「苦手な上司と顔を合わせることがなくなり、しっかり睡眠が取れるようになった。そうしたら、体調までよくなった」

 こんなふうに変化のプラス面に注目することで、心の状態もよくなります。「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることができるのは、変化できる者である」。これは19世紀を代表する科学者であるチャールズ・ダーウィンが残したとされる言葉です。

 私たちの日常も、これと同じだと思います。時代はどんどん変わっています。この事実を受け入れて、自分の生活をよりよく変化させていけばいいのです。したがって、「この変化は未来の幸せにつながっている」と受け止めることが大切になります。

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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