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きちんとした子育ては逆効果、「全米最優秀女子高生」の母が解説

2021年01月01日 06時00分更新

文● ボーク重子(ダイヤモンド・オンライン

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Photo:PIXTA

子育て後に女性の人生は2つに分かれてしまう――新刊『子育て後に「何もない私」にならない30のルール』の著者・ボーク重子さんはそう言います。女性が輝く時代と言われながらも、未婚・既婚・専業主婦・ワーキングマザー・パート・フルタイムなど、女性たちはそれぞれの立場で生きづらさを抱えています。なかでも仕事と両立しながら、完璧な子育てをしなくてはいけないというプレッシャーが日本の女性にはあります。全米の女子高校生が知性や才能、リーダーシップを競う大学奨学金コンクール「全米最優秀女子高生」で優勝したスカイ・ボークさんの母であるボークさんは「やらない子育て」が女性を解放し、かつ子どもの非認知能力も高めると語ります。

子育て=「子どものお世話係」
ではない?

 多くの女性の人生設計にライフコーチとして携わり、また子育て本の著者としても活動する私のところには「どうしたらきちんと子育てできるようになるでしょうか?」という声が多数届きます。

 そこでいつも私はみなさんの期待に反して「きちんとした子育てはやめましょう」と正反対のことをお伝えするようにしています。

 料理は全て手作りで栄養のバランスを考えなくてはいけない、よその家にも恥ずかしくないキャラ弁を作らなくてはいけない、子どもの服にはシミもシワもなく、髪も毎朝きれいに結んでおく、先生や親の言うことをよく聞く子どもになるようにしつけもちゃんとする、夫や子どものためにも家の中はいつも整理整頓が行き届いた状態にしなければいけない――など、子どもの「お世話係」のママとして完璧であることは、本当に大きな負担になります。

 多様化、グローバル化など変化の激しい時代に私たちは生きています。その時代を生きる子どもは失敗を恐れず、自ら挑戦し、やりたいことを見つけ、自分らしく生きていくことが求められています。

 でも「きちんとした子育て」はある2つのことを奪い、そんな子どもを育てることを邪魔してしまいます。

母親の自己肯定感の低さは
子どもに伝染する

「きちんとした子育て」が奪うのは母親の自己肯定感です。

 自己肯定感とは自分をありのままに受け入れ、価値を認め、愛し、大切にする力のこと。健康な自己肯定感を持っている人は自ら人生を切り開いていく主体性を持ち、自分の軸で決断をして問題解決することができます。

 また自分の長所も短所も受け入れていることで、他者に対しても寛容で共感力と社会性に優れます。批判や反対意見も建設的に受け止めることができますから、コミュニケーション能力にも優れています。これはグローバル化、多様化が進む社会で必須の力ではないでしょうか。

 だから子育てにおいて最も重要なことは、子どもの自己肯定感を育むことにあります。

 ここで問題になるのが「きちんとした子育て」です。なぜなら「きちんとした子育て」はまず母親の自己肯定感を奪い、それが結局子どもも自己肯定感をうまく育めないという結果に陥ってしまうからです。

「きちんと」にはやってもやっても終わりがない恐ろしいほどの作業があります。その1つ1つに完璧を求めます。やればやるほど全てを完璧にはこなせなくなり、そんな自分に失望します。

 普段から頑張りすぎているので、ついイライラしてしまい時に家族に当たったりする。そして、またそんな自分に罪悪感と劣等感を感じてしまう。

 自分自身で「私はダメなママだ。こんなママでごめん。どうして私は○○ちゃんのママのようになれないのだろう」とネガティブになり、きちんとやろうとすればするほど自己肯定感はどんどん下がっていきます。

 そして、もっと問題なのはその自己肯定感の低さが子どもにも伝染してしまうことです。自分を肯定せず、価値を認めず、大切にしなければ、子どもに対しても同様に接するでしょう。そして声かけも自然と「なんでできないの」「ダメね」「がっかりよ」とネガティブなものになっていきます。

 そうして子どもの自己肯定感も下がっていくという、負の連鎖を生んでしまうのです。

「きちんとした子育て」では
自分で考える子は育たない

 もう一つ失うのは、子供が自分で考えて行動する機会です。

 母親が「きちんとした子育て」をやらないと、必然的に子どもが自分でやることも増えていきます。もし「子育て=子どものお世話」という意識のままでいると「やってあげられなくて申し訳ない」と罪悪感を感じることになってしまいます。でも「やらない子育て」で全然いいんです。

 子どもは自分で様々なことができるようになると、「できる」という自己効力感が育まれ、かつ「ママを手伝ってる」という自己有用感も生まれます。「自分でやる」という主体性も育まれますし、「やらない子育て」はいいこと尽くしです。

 他にもやりたくない時もやるという自制心や、自分でできないならどうすればいいか考える思考力も育まれます。ママがやらないことで、子どもの生きる力を育めるという素晴らしい二次的効果があるのです。

「やらない子育て」を実践するための
2つの方法

「やらない子育て」が目指すのは「幸せで自立/自律した子ども」を育てることです。そのために親と子双方の自己肯定感を高めて、母親が「自立/自律すると幸せになる」のロールモデルになることが必要です。

(1)「やって当たり前」ではなく、自分を褒める

「やらない子育て」とは文字通り「やらない」のです。何をやらないか? それは「お世話」です。「きちんと」で想像する子育ての作業は「お世話」的な作業であることが多いと思いませんか?今こそ「子育て=お世話」という考え方を変える時です。

 お世話の部分はいわば代わりや手抜きがきく部分です。料理は手作りの代わりに市販のものにすればいいし、自分でやらなくても家事代行で間に合います。夫にもっと家事育児に参加してもらうのもいいでしょう。使えるものは使い、手を抜けるところは徹底して手を抜く。

「やらない子育て」には子どもの生きる力を高める二次的効果があるのだから、そこで罪悪感を感じなくていいのです。そして、「やらない」自分を褒める。子どもが生きる力を育む機会を作ることができる自分を、最低限のやることを精一杯でやっている自分を褒めることです。

 家事育児は「やってもらって当たり前」という意識があるからか、「ありがとう」と感謝されることが少ない仕事です。やってもやっても感謝されなければ自己肯定感は下がっていきます。「自分ってなんなのだろう」という具合に。

 だから、まずは自分で自分を褒めましょう。やって当たり前、できて当たり前、なんてことはありません。母親になり妻になり慣れないことをやっているあなたはすごいのです。だからどんな小さなことでもやったら自分を褒める。

「いやいや、母親の仕事は子どものお世話じゃないの?」と思われるかもしれません。確かに1人で何もできない乳幼児期には母親が子どものお世話に集中することが必須です。ですが、対話ができるようになってくる3歳頃になったら「やらない子育て」にシフトしましょう。

(2)「自分の時間」をあらかじめブロックする

 自分で考え、自分の正解を見つけ、主体性を持って進み、失敗したら立ち上がり、自らの人生を切り開いていく――どんな親も子どもがそう育っていってほしいと思っているのではないでしょうか。

 そのためには母親自身が「自立した人生」を送るロールモデルにならなければなりません。だから、親であるあなたも自分の時間を作って、自分はどう生きたいのか、何をやりたいのか、に向き合いましょう。

 私は夜10時半以降は「ママにはママの人生があるの。だからここからは重子の時間」と娘が小さい頃から言っていました。その時間を自分の生き方を模索したり、キャリアアップのための勉強をする時間として使ったのです。

 おやつはいつだって市販だったし、夕飯は15分クッキング、失敗もいっぱいしたし、挫折もありました。時に髪を振り乱しての日々でしたが、娘はそんな完璧とは程遠い母親としての私の生き方を見て育ちました。娘のスカイは自分の意志で「全米最優秀女子高生」という奨学金コンテストに応募し、優勝しました。

 子どもに主体性を持ってもらうには、まず親自身が主体性を持つ。そのためにはしっかり「自分の時間」をブロックすることです。

母親は「子どものお世話係」に
なってはいけない

『子育て後に「何もない私」にならない30のルール 』 著者:ボーク重子 2020年12月11日発売 定価(本体1400 円+税)

 それは、母親が自分らしく幸せに、自らの人生を切り開いていく、自分軸を持った人生を歩く背中を見せることでもあります。親が自分の時間にやっていることを見て、子どもは親の生き様を学び、それが子どもの生き方のロールモデルとなっていきます。

 子どもは言われたからやるのではありません。見て真似するのです。そして子どもには見て真似する存在が必要です。

 お世話は究極を言えば、誰でもできます。母親じゃなくてもいいのです。でも背中を見せる子育ては親にしかできません。

「やらない子育て」は母親の自己肯定感を上げ、子どもの生きる力を育んでいきます。変化の激しい人生100年時代を生きていく子どもに必要な力を育むためにも、ぜひ試してみてくださいね。

 きっと全然違った自分の、そして子どもの姿が見えてくることでしょう。

(ICF会員ライフコーチ ボーク重子)

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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