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Windows Info 第252回

ソフトウェア開発者以外にも便利なツールが含まれるWindows SDK/WDKをインストールする

2020年11月29日 10時00分更新

文● 塩田紳二 編集● ASCII

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 前回、Filtreg.exeというWindows SDKに含まれるツールを紹介したが(「WindowsサーチのIndexerで使われるIFilterを調べる」)、そこで今回はWindowsのSDKなどのインストール方法について解説する。本来は、ソフトウェアを開発する場合に使うものだが、Windowsやアプリケーションを調べるのに都合のいいツールが含まれているなど、開発者以外でも利用価値がある。

SDKに含まれる「USB View」は、接続しているUSBデバイスの情報を表示できる便利なツールだ

Windows SDK、WDKとは一体何?

 Windows SDK(Software Development Kit)は、Windows用のアプリケーションを開発するときに必要になるファイルや情報をまとめたものだ。ここには、ソフトウェアのデバッグやテストに利用できるツールが含まれている。一時は「Windows Kit」という名前だったが、最近はSDKに戻ったようである。SDKという一般名詞が定着しているので、変な名称だとかえってみんなが混乱するからかもしれない。

 これに対してWDK(Windows Driver Kit)は、デバイスドライバーに開発に必要なものをまとめたものだ。かつては、DDK(Driver Development Kit)と呼ばれていたこともある。Windows Vistaの頃は、Microsoftと秘密保持契約(non-disclosure agreement。NDAと呼ばれることが多い)を交わさないと利用できないこともあったが、Windows 10ではNDAなしに利用できる。秘密にするほどのことでもなかったのであろう。

 SDKとWDKが分かれているのは、利用する開発者が大きく異なるためだ。一般のアプリケーション開発者であれば、SDKのみで十分だが、デバイスドライバーの開発者は両方をインストールする必要がある。

 どちらも、ダウンロードしてWindows 10にインストールできるが、注意する必要があるのは現行版とプレビュー版がある点。プレビュー版は、Windows Insider Programで配布されているWindows 10のプレビュー版に合わせたもので、現行版と比べると新機能などに関連したファイルが含まれている。

 Windows 10のプレビュー版を使っていて、現行版でないことを承知して使う分にはかまわないが、プレビュー中の.NET Frameworkなどが求められるケースもあり、通常のWindows 10にインストールすると厄介な事態が発生することもあるのだ。

 Windows SDKの標準のインストール先は、

C:\Program Files (x86)\Windows Kits\10

となる。もちろん、インストール時に他の場所を指定することも可能だ。また、WDKも同じ場所に入る。これは、WDKが必要とするプログラムなどがSDK側に含まれているからだ。

SDKのダウンロードとインストール

 SDKは、以下の場所からダウンロードできる。

●Windows 10 SDK - Windows アプリ開発
 https://developer.microsoft.com/ja-jp/windows/downloads/windows-10-sdk/

Windows 10のSDKは、ダウンロード専用ページがある。このページの下に過去のSDKのアーカイブへのリンクもある

 ここにはインストーラーとISOの2つがある。前者はインストーラーがダウンロードしながら進行するもの。後者は必要なファイルすべてが入ったISOイメージである。なお、ISOイメージは、圧縮ファイル形式(cabファイル)で格納されているため、これをダウンロードして必要なときにマウントして使うというわけにはいかない。

 Windows 10用のSDKのインストーラーは、ウィザード形式で、通常は、ただボタンを押していくだけである。

SDKのインストーラーは、ウィザード形式になっているので、ボタンを押していけばインストールは完了する。最初のページでインストール先を選ぶことも可能だが、事情がなければ変更しないほうがよい

 ただし、SDKのツールのみインストールしたいというのであれば、4ページ目の「Select the features you want to install」で、開発用のライブラリなどを外すことができる。

インストーラーの4ページ目では、インストールするコンポーネントを選択できる。デフォルトでは、すべてが選択済み。リスト後半の「~Apps」のところが各アプリケーションに必要なヘッダーやライブラリなどに対応している

 しかし、Windowsの仕組みなどを見る場合には、C/C++用のヘッダファイルなどは参照することが多いので、全部インストールすることをおすすめする。全部インストールしても2.6GB程度である。

 現行バージョンのSDKは、Windows 10 Ver.2004とVer.20H2に対応している。Ver.20H2には、新規のAPIが含まれていないので、Ver.2004と同時にリリースされたSDKがそのまま利用できる。過去にSDKを導入していた場合、インストーラーは、アップデート部分のみをダウンロードする。なので、何も気にしないで起動してしまってかまわない。

過去のバージョンのSDKがインストールされていたときに最新版のSDKのインストーラーを起動すると、このような画面が出て、最新版にアップデートしてくれる

 このため、インストーラーは、SDKバージョン(対応するWindows10のビルド番号が使われている)ごとに違うのだが、ダウンロードするファイルはすべて「winsdksetup.exe」なので注意が必要。ダウンロードするときに、対応するWindows 10バージョンなどを付けておくとあとで区別しやすい。

 なお、過去のバージョン用のSDKは、以下のURLにある。

●Windows SDK アーカイブ - Windows アプリ開発
 https://developer.microsoft.com/ja-jp/windows/downloads/sdk-archive/

 ただし、Windows10 以前のSDK(上記ページには、Windows7以後のSDKがある)をインストールする場合には、C++のランタイムをインストールする必要があるなど、単純には入れられない。

WDKのダウンロードとインストール

 つづいてWDKは、以下のページ内にインストーラーのダウンロードリンクがある。現行バージョンは、WDK for Windows 10 バージョン2004であり、そのダウンロードリンクが「手順2:WDK for Windows10バージョン2004のインストール」という見出しの下にある。

●Windows Driver Kit (WDK) のダウンロード
 https://docs.microsoft.com/ja-jp/windows-hardware/drivers/download-the-wdk

WDKは、本文に挙げたURLで開くページの「手順2:WDK for Windows10バージョン2004のインストール」にあるリンクからダウンロードできる

 SDKと同じく、これをダウンロードしてインストールする。前述のようにSDKのインストールが前提なので、していない場合には警告が出る(強行することも可能ではある)。

 古いWDKをインストールしたい場合には、以下のページからダウンロードできる。ただし、古いSDKが必要になる場合もある。

●WDK の以前のバージョンとその他のダウンロード
 https://docs.microsoft.com/ja-jp/windows-hardware/drivers/other-wdk-downloads

 SDK/WDKにはいろいろと役に立つツールがある。1つ1つ紹介していくと大変なので、今後も機会を見て、そのときのテーマにあったツールを紹介していくことにしたい。

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