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幅広いデータソースや「DataSpider Servista」と連携、メタデータの自動収集とシンプルな操作を実現

セゾン情報、データカタログ新製品「HULFT DataCatalog」を発売

2020年11月27日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 セゾン情報システムズは2020年11月26日、新製品となるデータカタログ製品「HULFT DataCatalog 1.0」を12月24日より提供開始すると発表した。メタデータを自動収集する機能で企業内に存在する各種データの状況を可視化し、検索可能なカタログにすることで、企業内におけるデータ活用を促進する。「DataSpider Servista」との連携による、リネージュ(データの来歴)情報の自動収集機能も備える。

 同日の記者発表会では、簡単な操作性、DataSpider Servistaとの連携、細かなデータアクセス権限設定、国内サポート、スモールスタート可能な価格設定といった同製品の特徴が、デモンストレーションもまじえながら紹介された。

新製品「HULFT DataCatalog」のコンセプト。データソース/データレイク/データウェアハウス(DWH)/データマートに散在するデータをカタログに集約し、データの検索/理解を助ける。リネージュの提供によりデータの信頼性も担保できる

発表会に出席したセゾン情報システムズ マーケティング部 部長の野間英徳氏、同社 テクノベーションセンター 製品開発部 プロダクトマネージャーの吉崎智明氏

メタデータやリネージュの自動収集など、シンプルに使える製品

 HULFT DataCatalogは、企業内に存在するさまざまなデータを対象としてメタデータ(データを管理するための情報)を収集し、データの状況を一元的に把握できるデータカタログを構築する製品。データが存在するデータベース/テーブル名/カラム名といったテクニカルメタデータは自動収集することができ、さらに利用者がデータの説明文や品質評価といったメタデータを付与することもできる。

 データ利用者は、このメタデータを対象にカタログを検索、データを発見し、さらにコメントやリネージュの閲覧、データ内容のプレビューやダウンロードの機能を使って、データ活用をセルフサービス型で進めることができる。

 今回発売される初版(1.0)では、「Oracle Database」「Microsoft SQL Server」「MySQL」「PostgreSQL」「Amazon RDS」といったDBMSや、「Amazon S3」「Microsoft Azure Blob Storage」のクラウドストレージにあるデータのカタログ化(テクニカルメタデータの自動収集)に対応。また、DataSpiderとの連携によって「どんなデータソースから生成されたデータか」「どのように利用されているか」といったリネージュの情報も自動収集される。

HULFT DataCatalogのトップ画面、検索画面、データの詳細情報画面、リネージュ画面。シンプルで簡単に使えるデータカタログを目指した

 またそれぞれのデータに対して、メタデータの書き込み/参照やデータのプレビュー/ダウンロードの細かなアクセス権限設定もできるようになっている。これにより、たとえばエンドユーザーにデータの変更権限を与えないまま、セルフサービス型でのデータ活用を促すことが可能だ。

 HULFT DataCatalogは、Windows Server上で稼働するパッケージ製品として提供される。1CPUライセンス/10ユーザーライセンスを含む標準製品(必須ライセンス)の税抜価格は、永続ライセンス版が300万円で、年間保守費用が60万円。年間利用ライセンスと年間保守費用がセットになったターム版は年額210万円。CPUライセンスやユーザーライセンスは追加オプションが提供される。

HULFT DataCatalogの提供価格(いずれも税抜)

 セゾン情報システムズ マーケティング部 部長の野間英徳氏は、国産パッケージとして、国内サポート窓口の体制や高い品質のサポートが提供できること、スモールスタートが可能な価格体系、ユーザーフレンドリーな操作といった強みがあると説明。まずはHULFTを導入している1万社強の企業をターゲットとして販売を展開していきたいと語った。

データの分散や信頼性担保、規制準拠といった課題を解決するデータカタログ

 セゾン情報では2年ほど前から「Data Management Solution」ビジョンを掲げ、5つのカテゴリーでツール群を揃えていく方針を示してきた。野間氏は、今回のHULFT DataCatalogはその一環であり、具体的にはデータ状況の“Identification(見える化)”カテゴリーの製品にあたると説明する。

 「COVID-19(新型コロナウイルス感染症)により不確実性は増大し、データの重要性はますます増加している。しかし、企業内に膨大なデータはあるものの散在していて使えていない、またデータ自体は使えても整備されておらず整合性がない、あるいは使っていいデータなのかどうかわからない、といったことが生じている」(野間氏)

 こうした課題を解消し、企業内にあるデータをすばやく活用する、また既存システムにあるデータを活用するうえでは「データの見える化が必要だ」と野間氏は強調し、これがHULFT DataCatalogの開発背景になったと語る。

 セゾン情報システムズ テクノベーションセンター 製品開発部 プロダクトマネージャーの吉崎智明氏も、現在の企業データ基盤においては「オンプレミス/クラウド/サービスへのデータの分散」「多数のシステム間で連携されることによるデータの“姿形”の変化」「データに対する多様なニーズの発生」といった課題が生じていると指摘した。

現状の企業データ基盤におけるトレンドと課題

 吉崎氏は、HULFT DataCatalogでは、こうした課題を排除した「透明性のあるデータインフラ」を実現し、「信頼できるデータ」を用いた意思決定を支えることで、多くの人に「データを用いたアクション」を起こす機会を提供したいと語る。セルフサービス利用できる簡単な操作性、DataSpider Servistaとの連携、細かな権限設定という特徴から、社内のデータエンジニアをはじめビジネス部門のユーザー、“シチズンアナリスト”でのデータ活用ハードルも引き下げるものと期待していると語った。

HULFT DataCatalogのユースケース例。信頼できるデータに基づく経営計画策定、社内データの把握による機密情報/個人情報の管理厳格化、セルフサービスBIといった用途を挙げた。また部門間で、メタデータに使う用語の不統一を補正するビジネスグロッサリー(用語集)機能も備える

HULFT DataCatalogとDataSpider Servistaの連携イメージ。社内データをセルフサービスで探索/発見し、内容を理解したうえで、DataSpiderによるノンプログラミングでのデータ取得/変換を行ったうえで、外部BIツールでビジュアライズする

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