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モーダル小嶋のTOKYO男子めし 第23回

「黒トリュフソースのビーフハンバーグ定食」を食べる:

誰もが松屋でトリュフのハンバーグを食べたいわけじゃない

2020年10月29日 17時00分更新

文● モーダル小嶋 編集●ASCII

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「黒トリュフソースのビーフハンバーグ定食」
松屋
890円 (ライス・みそ汁・生野菜付)
https://www.matsuyafoods.co.jp/matsuya/news_lp/201027.html

「松屋でトリュフ」の意外な組み合わせ

 トリュフといえば高級食材として知られますが、黒トリュフと白トリュフがありまして、今回は黒トリュフ。主にフランス、スペイン、イタリアで生産されています。「truffe」という言葉自体は古代ギリシャから使われていたそうですが、現在の「トリュフ」が人気となるのは14世紀以後だそうです。

 高価なトリュフは、主に香り付けとして使われます。今では日本でもおなじみの存在ですが、漫画「美味しんぼ」では、フランス人がトリュフを絶賛しているのに、日本人(東西新聞社のみなさん)が「香りは独特だし、舌触りはジェリービーンズみたいだし」と言って激怒される、というシーンがありました。時代を感じますね。

 さて、牛めし・カレー・定食などを販売する「松屋」に「黒トリュフソースのビーフハンバーグ定食」が登場します。10月27日から発売されています。テスト販売で好評だったというメニューが全店で展開。税込890円。

 牛肉の旨味をしっかり味わえるという牛100%の粗挽きビーフハンバーグに黒トリュフソースをかけています。付け合わせは北海道産のポテト。黒トリュフソースと絡めればぜいたくな味わいが楽しめ、さらにボリューム満点とうたいます。ライス・みそ汁・生野菜付。

外見が松屋の定食です、という感じ

 ポテトサラダを付けた「黒トリュフソースのビーフハンバーグ定食ポテトサラダセット」は950円。単品の「黒トリュフソースのビーフハンバーグ」は690円です。

 いずれも持ち帰り可能。ただし持ち帰りにはみそ汁は付きません(別途60円)。

 発売を記念して、「黒トリュフソースのビーフハンバーグ定食」「黒トリュフソースのビーフハンバーグ定食ポテトサラダセット」は、11月10日午前10時までライス大盛無料サービスの対象メニューとなります。

ハンバーグに合わせてポテトサラダにしました(890円→950円となります)

ハンバーグは悪くないが、松屋でこれが食べたいかしら

 まず、ハンバーグはどうでしょうか。粗挽きであることは伝わりますが、もう少し肉汁があふれてもよい気がします。このあたりは調理の加減なので、店員さんのスキルによるところも……ないか。チェーンのメニューですからね。よくも悪くも普通です。

ハンバーグはまあまあの仕上がり

黒トリュフソース

 では、肝心の黒トリュフソースは? やや塩気の強い、クリームソースというべきものです。そして、確かにトリュフの香りはします。松屋だと考えると、意外な驚きはありますよね。

付け合わせのポテト

 付け合わせのポテトはハンバーグの下に敷いてあるようです。なので、ぱっと見は気づかないかもしれませんが、濃いソースのハンバーグに対する付け合わせとして、ホクホクでおいしいですね。

ハンバーグの下に敷いてあるような感じ、といえばいいですかね

 全体としての評価は……どうだろうな。ハンバーグとしては悪くないです。ただ、めちゃくちゃ高級だな〜と思わせるものもない。以前に出していた「シュクメルリ定食」のような、松屋ならでは! というスペシャル感にも欠けます。

 だから、890円(筆者が注文したポテトサラダセットは950円)をこれに払うのか、という問題は出てくると思います。トリュフも使っているから、890円。それ自体はわかる。ただ、松屋に来る人が、890円を払ってトリュフを食べたいか、という疑問は、どうしても。

ソースの味が濃いので、ごはんは進むんですけどね

 別に、松屋のメインの客層がどうだとか、消費者の声がどうだとか、安易に決めつけたいわけではない。一方で、素朴に、「松屋でトリュフのハンバーグを食べたいか?」と思ってしまう。

 たとえば、今では選べる小鉢で「お肉たっぷり牛鍋膳」が690円で売られています。個人差はあるにしても、松屋に行くとしたら、200円安いこちらのほうが、選ぶ楽しみとコスパで、ワクワクするのではないか?

 あるいは、肉をいっぱい食べたいなら、「選べる極旨ソースの牛ステーキ丼」のほうがいいと考える人もいるでしょう。

黒トリュフの香りのあとに、みそ汁ってむずかしい

 誰もが、松屋でトリュフのハンバーグを食べたいわけじゃない。もっと、松屋のノウハウを活かした味があるのではないか。「松屋でトリュフを食べられる!」という話題性があるのはわかりますが、このメニューがベストだったのかしら。

 無責任ながら、いっそ、1500円ぐらいにして、めちゃくちゃ上等なハンバーグにしてしまいました……というほうがおもしろかったのでは、と思っています。890円です。松屋にしてはちょっとぜいたくなのですけれど、そのぜいたくな付加価値が「トリュフの香り」というのは、弱いかなあと。

 価格に見合ったものかと言われると、すこしむずかしい。話題作りにはよいと思いますが、ここでしかないおいしさ、気楽に注文できるコスパ、そういうものがないような気がした……というのが、正直なところでした。現場からは以上です。


モーダル小嶋

 

1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。編集部では若手ともベテランともいえない微妙な位置。一人めし連載「モーダル小嶋のTOKYO男子めし」もよろしくお願い申し上げます。

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