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荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ” 第685回

富士フイルムの「X-T4」を持って港区と豊島区の路地裏猫を撮影

2020年10月28日 10時00分更新

文● 荻窪圭/猫写真家 編集●ASCII

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奥にスッと伸びる狭い生活道路にちょこんと座るキジトラのややハチワレ。それが妙に似合うのでモニタを開いてローアングルで撮影。2020年10月 富士フイルム X-T4

 毎年この時期は、入手したての新型iPhoneを使って猫を撮る回になるのだけど、今回はありません。なぜなら、狙ってるのが11月発売の「iPhone 12 Pro Max」だから。iPhone 12 Pro Maxは広角カメラのセンサーサイズが大きくてなおかつ望遠カメラがiPhone 12 Proよりちょっと望遠気味なので、猫を撮るならそっちだよねってことで、購入は来月になるのだ。

 なので、期待していた方には申し訳ないが、普通に秋に出会った路上猫の回である。街をふらっと歩いていて、偶然路上とか駐車場とか、そんなところで出会うのが楽しいのだ。カメラは春に出た富士フイルムの「X-T4」。使い勝手とボディー内手ぶれ補正が気に入って使ってる。

 冒頭写真は東京都港区という超都会エリア。港区とはいえ、商業エリアからちょっと奥に入ると古い住宅街が残っている。今は高級住宅街だけど古くからあるエリア(それこそ江戸の内だった場所)は古くから住んでる人も多く、猫なんてその辺をふらふらしてるもんだ、と思ってるのかどうか知らないけど、路地の猫にも比較的おおらかなのである。たぶん。

 で、この辺りの地域猫(よくみると耳がカットされているので、去勢されているのだと分かる)綺麗なキジシロ(キジトラ+シロ)と出会ったのだ。お、猫の後ろに抜ける古い路地感がたまらん、と思ってレンズを明るい単焦点に付け替えて撮ったのが冒頭写真なのだ。ちょっと古びた家々の侘びた感じに猫が似合う。

 しばらくじっと見つめあうも、逃げるそぶりもなく、人に慣れてるのかなと思ったら、単にタイミングを測っていただけのようで、道路の反対側をこちらを気にしながら去っていったのだった。その時のちょっとカメラを気にしてる顔が良かったので撮影。

ちょっとこっちを気にしてる首の傾げ方がたまらんのであった。動く猫を追う時はファインダーを覗きながら。ちょっと不審者っぽいけど通報はされなかったようです。2020年10月 富士フイルム X-T4

 実はこの路地、もう1匹猫がいたのである。白黒のハチワレ。道路の反対側にちょこんと座っていて、さっきの猫とは逆方向にトコトコと歩いていったのだった。

同じ路地で反対側にちょこんと座ってたハチワレ。目元の黒い毛が凛々しい。2020年10月 富士フイルム X-T4

つつつっと歩いていったのでそれをファインダーで追いながら撮影。人を怖がらず、でも不用意に近寄らず、という猫らしい猫でした。2020年10月 富士フイルム X-T4

 続いて豊島区。ちょっと気になってた神社があったので、ふらふらとカメラを持って散歩に行ったのである。その参拝した帰り、くたびれた商店街がある旧道を歩いていると駐車場の片隅に猫がちょこんと座ってた。その駐車場脇の道路がカーブしながら下っていく様子が実にいいので、そっちをメインに。猫がいい感じの背景に収まっていてなおかつ場所を特定しづらい背景だったりするととてもうれしいのだ。

カーブしながら下っていく道の入り口に猫がめちゃ似合う。猫がいなければ気づかなかったかも。道路の反対側からしゃがんで撮影。2020年10月 富士フイルム X-T4

 この猫、こっちが2m近づくと1m遠ざかる。警戒してるけど期待もしてるという顔。きっと、近所の人にはすごく慣れているのだろう。そっとフェンスの脇に回ると、それで安心感があるのか近くでじっとこちらを見てる。

左上が少し緑色なのは緑のフェンスが被っているため。望遠でギリギリまで寄って撮影。よくみると毛並みも良くて汚れてない。2020年10月 富士フイルム X-T4

 実に良い顔をした猫である。毛並みもいいし、あまり汚れてない。耳がカットされてないので特に地域猫ってわけでもなさそうで、どっかに飼われてるのかもしれない。最近は室内飼いが当たり前で、外へ出すにしても飼い猫と分かるよう首輪なりなんなりをつけてるものだけど、古い街だと猫は放し飼いが普通だった時代のままな人もいるようで、飼われてるのかそうじゃないのかなんとも判別が難しい。

 ともあれ、きょとんとした顔がなんとも愛らしいのである。緑のフェンスが邪魔だったので少し横から撮ろうと移動したら、猫も釣られてぴょんと塀に飛び乗ってくれた。でもこれ以上近づこうとすると(まあ近づけないのだけど)、逃げるのである。微妙な猫ごころですな。

運よく、ぺろっと舌で鼻を舐める瞬間を捉えられた。塀の上に飛び乗って顔だけ覗かせている。2020年10月 富士フイルム X-T4

 秋はグッと陽が短くなるので油断するとあっという間に暗くなっちゃうのだけど、ちょうど猫が路地に顔を出すのもそんな時間なので、最近の高感度に強いデジタル一眼は大変ありがたい。

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筆者紹介─荻窪圭

 
著者近影 荻窪圭

老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/

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