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誰にも話せない「心の毒」をデトックス!「オンライン坊主BAR」とは?

2020年10月22日 06時00分更新

文● 藤崎雅子(ダイヤモンド・オンライン

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「オンライン坊主BAR」公式サイトから、日本全国の個性的な寺院・僧侶を選んでアクセスする

オンラインの出会いで
お寺をもっと身近な存在に

 異色のオンラインBARが開店した。その名も「オンライン坊主BAR」。日本全国の寺院とオンラインでつながり、僧侶とのトークや人生相談、密教占星術や精進料理教室などの体験も楽しめるというサービスだ。寺社文化の振興と地域活性化を目指し、寺院や神社の宿泊施設「宿坊」を扱うポータルサイトの運営などを行う株式会社和空の企画により今秋スタートし、現在、全国各地の個性的な8寺院が参加している。

 なぜ寺院がこのような取り組みを行うのか。利用者にとってオンライン坊主BARの魅力はどこにあるのか。同サービス上で「BAR 普賢院」を開いた、曹洞宗 大澗山 福蔵寺別院 普賢院の菊池雄大住職に話を聞いた。

 普賢院はマグロ漁で知られる青森県大間町にある禅寺だ。1日1組限定の宿坊を運営し、「まぐろのおいしいお寺」として知られている。同院の菊池住職は、オンライン坊主BARの企画を知り、「お寺を身近に感じていただく良い機会になる」と参加を即決した。その背景には、菊池住職が目指す“人に寄り添える”僧侶像がある。 

「BAR 普賢院」を開店した菊池住職。人口減少の激しい地域における、布施収入に頼らない寺院のあり方を模索している

 菊池住職は学生時代に東日本大震災を経験。現地でボランティア活動を行うなかで、自身も家族をなくした僧侶が被災者の話にひたすら耳を傾けて回る姿を目にした。

「自分も失意の底にありながら、なぜこのように人の悲しみに寄り添うことができるのか。自分もこのようなありがたい存在になりたい」

 その思いから僧侶への道を一歩踏み出し、10年間の修行を経て、2018年から地元で23年間廃寺となっていた普賢院の再生に取り組んできた。

 宿坊では菊池住職がつきっきりで宿泊客の要望に合わせた対応を行っている。そのため、観光目的のほか、人生相談をしにやってくる人も少なくない。1人で訪れた自殺志願者の話に8時間半ひたすら耳を傾け、送り出したことも。彼はその後3年連続、元気な姿で宿坊を訪れているという。

 そうした菊池住職の「聞く」姿勢が、オンライン坊主BARにも貫かれている。

「悩み事がある方との会話の8割は、お話を聞くことに徹しています。残りの1割で仏教の話を織り交ぜ、もう1割で私の考えを提示し、最終的な決断や選択はお客様にしていただくということを心掛けています」(菊池住職)

 もちろん、特別な悩み事がなくてもオンライン坊主BARの利用は可能だ。宗派や宗教に関係なく誰にでも門戸を開いている。

「墓や葬儀に関する素朴な疑問があるときや第三者の意見を聞いてみたいときのほか、当地への訪問にあたって地域の情報を仕入れたいとき、単なる興味本位で話してみたいときなど、気軽に利用していただきたいと思います。こうした機会に僧侶の友人が1人できたら、人生がちょっと面白くなるのではないでしょうか」(菊池住職)

密教占星術鑑定や
精進料理教室をするお寺も

 他のオンライン坊主BARも、個性豊かだ。

「天空のお寺BAR 清水大師寺」(島根県大田市)では、住職が福祉施設で社会福祉士として働いていた経験を生かしてさまざまな相談に対応するほか、密教占星術鑑定やカードリーディングによってより良く生きるための支援を行っている。

「テラットリア 正暦寺」(京都府綾部市)を開くのは「学び」をテーマとしているお寺。若い頃は飲食業を目指していたという料理上手の住職による、精進料理教室も定期的に開催される。

「二尊院 えんとき茶屋」(山口県長門市)は、もつれた縁(えん)の糸を解(と)き、改めて結び直す「えんとき」に取り組んでいる。非日常の話題に興味のある人には、「坊守のスピリチュアル体験談」「修行中の秘話」「楊貴妃伝説」「仏像談義」といった住職・坊守の話が好評だ。

 利用者は、オンライン坊主BAR公式サイトで各寺院の紹介文や写真をチェックし、好みの寺院・僧侶を選んでオンライン入店チケットを購入。あとは当日、指定のURLから僧侶とオンラインでつながるだけだ。1回45分間の料金は、1人でお寺を独占する場合5500円、相席の場合は3300円など様々だ(税込)。

 先祖代々の菩提寺があるという人も、このサービスを使えば相談しやすい寺院・僧侶を見つけることができるかもしれない。気軽に試してみてはどうだろうか。

(藤崎雅子/5時から作家塾(R))

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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