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「妻に頼っている」と早死に!?人生後半戦を楽しむ生き方、弘兼憲史氏が伝授

2020年10月21日 06時00分更新

文● 弘兼憲史(ダイヤモンド・オンライン

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家事全般をひとりでこなせない男は生き残れないと考えていたほうがいい(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「人生100年時代」という言葉が根付き、生涯現役が謳われている昨今。『島耕作』シリーズや『黄昏流星群』など数々のヒット作を生み出した漫画家・弘兼憲史氏も、70代の現在が人生で一番楽しいと感じているといいます。とはいえ、実際は体力的にも精神的にも制約が出てくる人生後半戦を、どうすれば楽しく過ごせるようになるのでしょうか。そこで今回は、弘兼氏の最新エッセイ『弘兼流 やめる!生き方』(青春出版社)から、人生後半戦を楽しく過ごすための生き方を紹介します。

夫から離婚を切り出すケースが増えている

 ここ数年、夫から切り出す熟年離婚が増えているといいます。その多くは50代後半~60代前半で、子育てが終わったタイミングや、60歳になって職場環境が変わったきっかけなどで離婚を切り出すようです。背景には、共働きが増えて、男も家事をこなせるようになったことや、妻も仕事を持っていて経済的に自立できるようになったことが影響しているのかもしれません。

 少し前までは、「熟年離婚」「定年離婚」と言えば、妻から切り出すケースがほとんどでした。60歳で定年を迎えて送迎会で会社を送り出され、花束を抱えて家に帰ったら、妻から離婚届を差し出されたという話は、団塊世代では「本当にあった怖い話」でした。

 家では定年を祝ってくれるはずで、「これからは苦労をかけた妻と二人で、旅行でも楽しみながらのんびり暮らそう」などと思いながら帰宅したら、妻のほうは、「これで気兼ねなく、やっと自由になれる。これからは自分の人生を生きていこう」という気持ちを固めていて、「これ、お願いします」と言いながら離婚届を差し出されるわけです。

 それが最近では、男から離婚を切り出すことも増えてきたというのですから、時代はずいぶん変わってきたものです。夫から離婚を切り出す理由には、「妻に対する不満が募った」「自分の夢を追いかけたい」といったことがあげられています。

 こうした不満の裏で進行しがちなのが、不倫ということになります。とくに多いのは、長年一緒に仕事をしている年下の女性と不倫の関係になり、「定年になったら一緒に趣味を楽しみながら暮らそう」などと約束していて、まず離婚してひとりになるというパターンです。起業したい、趣味の世界を追求したいといった自分の夢に賛同してくれない妻と離婚するケースも、裏に女性が存在していることが多いかもしれません。

「妻に頼っている」と早死にする!?

 しかし、夫から切り出す熟年離婚の場合は、離婚後の生活が予定通りいかなくなって後悔するケースが多いといいます。いざ他の女性と暮らしてみたら、たった1年で相手が出ていってしまったとか、夢を追いかけるつもりだったのにすぐに挫折してしまったとか、ひとり暮らしになって最初は自由を謳歌していたのだけど、孤独にさいなまれて病気になってしまったという男がけっこう多いのです。仕事ではコストカットのプロとして働いているのに、家計を管理できなくて生活が困窮する「家計難民」が多いという笑い話もあります。

 なぜこういう男が多いのかというと、結局のところ、妻に依存しながら生活していることに気がついていないからです。家事や育児を分担しているつもりでも、あくまでも補助的に関わっていただけということに気づいていないんですね。そのことにひとり暮らしをしてみて初めて気がつくわけですが、時すでに遅し。離婚後に、食生活が乱れて早死にする男が多いのは、自分で栄養管理をしてこなかった証拠と言えるでしょう。

 だから、家事全般をひとりでこなせない男は生き残れないと考えていたほうがいい。何も離婚だけの話ではありません。突然、妻と死別する可能性だってあります。できるだけ早いうちから、男も食事や生活環境の管理能力を意識して身につけるようにしたほうがいいのです。

 団塊世代で増えた、妻から切り出す熟年離婚も、今の50代で増えている男から切り出す熟年離婚にしても、はたまたテレワークで一緒にいる時間が長くなって増えたという「コロナ離婚」にしても、離婚後に解放されて自由な人生を謳歌するのはたいてい女性のほう。それに対して、生きがいを失ったり、寿命を縮めてしまったりと悲惨な末路を辿るのはだいたい男です。

 目の前の現実に対応する能力が高いのは、やはり女性。誰にも依存しないひとり暮らしを維持する能力も、圧倒的に女性のほうが高い。だからこそ、妻をアテにしない、妻に頼らない生き方を、少しでも早く始めたほうがいいのです。

親の老後の世話を抱え込まない

 自分が子どもの立場でも、親とは「頼らない」「頼られない」という依存し合わない関係を維持したいものです。起業する時に親から出資してもらうとか、子どもの教育費を親に出してもらうということはやめたほうがいい。親の資産をあてにしている間は自立できません。

 50代になると、自分の親が入院したり、介護を必要とするようになったりして、支援する立場になることも多くなります。親の介護は本当に難しい問題で、人それぞれ状況が違いますから、「こうしたほうがいい」と一様に語ることはできません。

 ただ、一つ確実に言えるのは、自分や家族を犠牲にするのは最小限に抑えてほしいということです。介護を家族でやれるのならそれがベストですが、兄弟姉妹の数も少なくなっている今の時代では、あまり現実的ではないでしょう。特定の人に過度に負担が行くことにもなります。

 どんなに大切な存在である親でも、あなたやあなたのパートナーの貴重な人生を犠牲にしてしまうのはやり切れない。それが原因で介護離婚に至ってしまうことも珍しくありません。あなたを産んだ親だって、そんな人生を望んでいないでしょう。

 また、身内が介護者だと、介護される側もワガママになって、関係が険悪になりかねません。そういう意味でも、任せられるところはどんどん介護のプロに任せるべきでしょう。

「いい子ども」である前にすべきこととは

 ちなみに、介護をするために仕事をやめてしまう介護離職は、年間10万人にも及んでいます。離職する人は、そうせざるを得なくなったのでしょうが、辞める前にもう一度視野を広げて、何か方法はないか考えてみてほしいと思います。支援制度がある企業も多いですし、介護サービスをうまく利用しながら働く方法があるかもしれません。

 介護のために仕事をやめてしまうと、経済基盤もなくなってしまいます。有給休暇や介護休暇をうまく使って、ケアマネジャーと相談しながら何とか仕事をやめずに乗り越えたという人もいます。

 会社に相談したら、親の介護を2週間以上する場合に給与の3分の2程度がもらえて通算93日まで仕事を休める「介護休業」という制度を勧められ、介護が大変になる時期を見越しながらそれを3分割して乗り切ったという話も聞いたことがあります。

 とにかく、自分ひとりで抱えないこと。親の犠牲となってつぶれてしまう前に、親戚、友人、ご近所さん、会社、自治体など、まず相談できる相手を見つけることが、現状解決の糸口をつかむきっかけになるはずです。

 自分を産んで育ててくれた親の存在は何にも代えがたい大切なものではありますが、とくに60歳からの人生では、親のために「いい子ども」であろうと無理をするのではなく、できるだけ自分のために限りある時間を使ってほしいと思うのです。

>>次回は10月28日(水)公開予定です。

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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