このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

「予測不可能な世界のためのデジタル基盤を提供する」ヴイエムウェアの広範な新発表

vSphere with Tanzu、VMware SASEなど「VMworld 2020」主要発表まとめ

2020年10月12日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 米ヴイエムウェアが9月29日~10月1日に開催した年次イベント「VMworld 2020」。17回目となる今年は初めてのオンライン開催となり、ヴイエムウェアによるとグローバルで15万名以上が参加登録、実際に10万名以上が参加(視聴)したという。

 例年のVMworldと同様に、今年も同イベントでは多数の新製品や機能強化が発表された。ヴイエムウェア CEO、パット・ゲルシンガー氏の基調講演などにおけるコメントとともに、主要な新発表をまとめてみたい。

基調講演では、マルチクラウド、アプリのモダナイズ、クラウドネットワーキング、デジタルワークスペース、内在するセキュリティという構成要素により「予測不可能な世界のためのデジタル基盤を提供する」というメッセージを掲げた

米ヴイエムウェア CEOのパット・ゲルシンガー(Pat Gelsinger)氏

「vSphere with Tanzu」やAWS対応などエンタープライズ向けKubernetesを加速

 まずは昨年のVMworldで発表された、エンタープライズ向けKubernetes製品ブランドの「VMware Tanzu」における製品ポートフォリオの強化だ。「Tanzuは、Kubernetesをエンタープライズで『利用しやすくする』ための製品ポートフォリオだ」と、ゲルシンガー氏は説明する。

 「たとえばいま、企業のCIOを集めて『Kubernetesは将来の企業IT基盤になるでしょうか?』と尋ねれば、ほとんどのCIOは『イエス』と答えるはずだ。しかし『それでは、自社のIT環境でKubernetesを使っている方は?』と質問すると、ほとんど手が挙がらないだろう。つまり、Kubernetesの将来性に対するコンセンサスはあるが、まだ能力が足りない。具体的にはスケーラビリティのある形でデリバリする能力がない」(ゲルシンガー氏)

 そこで、VMwareの仮想化環境とKubernetes環境を統合し、シンプルかつ管理性が高く、スケーラビリティも持った形で提供するのが、Tanzuポートフォリオということになる。

 ヴイエムウェアでは、VMworld会期前の9月15日に「VMware vSphere with Tanzu」を発表している。それに先立つ今年3月からは「VMware Cloud Foundation(VCF)」環境にKubernetesを統合した「VCF with Tanzu」を提供してきたが、新たに単体のvSphereベースで構成されたvSphere with Tanzuも追加することで、利用者の選択肢を拡大している。

「VCF with Tanzu」に加えて新たに「vSphere with Tanzu」も提供開始。より「導入しやすいKubernetes環境」に近づいた

 NSX-Tによる仮想ネットワーク/セキュリティ、vSANによる仮想ストレージ環境を統合しているVCF with Tanzuとは異なり、vSphere with TanzuではvSphereが備える分散仮想スイッチ(vDS)、vSphereで利用するファイル/ブロックストレージをそのまま利用できる。また「Open vSwitch (OVS) 」をデータプレーンに活用するかたちで開発されているKubernetesクラスタ向けのネットワーク/セキュリティ技術「Project Antrea」にも対応する。

vSphere with Tanzuの模式図(公式ブログより)。IT管理者からはvCenter経由で管理できる一方、開発者にはKubernetes APIが提供され、両者の“橋渡し”ができる

 また、TanzuポートフォリオにはPivotal、Bitnamiなどの買収で得たアプリケーション開発領域のテクノロジーも含まれる。ヴイエムウェアでは広範なポートフォリオの組み合わせをシンプル化するために、目的に応じた組み合わせを4つのTanzuエディション(Tanzu Basic/Standard/Advanced/Enterprise)にパッケージ化している。vSphere+Kubernetes(TKG)の統合環境ならばBasic、オンプレミス/パブリッククラウド(マルチクラウド)/エッジ環境に分散するKubernetes環境の統合管理ならばStandard、開発/DevOps環境の展開まで必要であればAdvancedやEnterprise、といった具合だ。

導入目的に合わせた4つの「Tanzuエディション」が用意された

 今回のVMworldにおいては新たに、Amazon Web Services(AWS)クラウド上の「VMware Cloud on AWS(VMC on AWS)」におけるTanzuサポート、「Google Cloud VMware Engine」および「OracleOracle Cloud VMware Solution」におけるプレビューサポートが発表されている。さらに、「Microsoft Azure VMware Solution」においても近々プレビューサポートを開始する予定だ。もちろんこれらのTanzu/Kubernetes環境も、統合されたコントロールプレーンを通じて一元管理が可能である。

 なおゲルシンガー氏はメディアインタビューの中で、「今回のVMworldには間に合わなかったが、Tanzuポートフォリオの一部として、将来的にコンテナセキュリティの機能も提供することをお約束する」と語った。同社では今年5月、Kubernetes上のアプリケーション向けセキュリティを開発するOctarine(オクタリン)を買収しており、今後そのテクノロジーがTanzuに組み込まれるものと予想される。

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

ピックアップ