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AI活用の新機能など「Oracle ERP/EPM/SCM Cloud」の最新アップデート発表

コロナ禍でも33%成長、オラクルSaaS製品が好調な背景を幹部に聞く

2020年09月30日 11時30分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 米Oracleは2020年9月29日(米国時間)、SaaSとして提供する「Oracle Fusion Cloud ERP」「同 Cloud EPM」「同 Cloud SCM」の最新アップデート(Fall Update)を発表した。「AI適用領域の拡大」「事業継続(BCP)のための機能」などが特徴となる。発表に合わせて、米OracleでSaaSマーケティング担当SVPを務めるユルゲン・リンダー氏に話を聞いた。

米OracleでERP製品マーケティング担当SVPを務めるユルゲン・リンダー(Juergen Lindner)氏。Oracle入社前はSAPに勤務していた

コロナ禍でもクラウド事業は好調、「変化の時代」に適した選択

 インタビュー冒頭、リンダー氏はまず「Oracleのクラウド事業は、新型コロナウイルスに関係なく好調だ」と述べた。9月初めに発表した最新四半期(2020年6~8月期、2021会計年度第1四半期)の業績では、Oracle ERP Cloudの売上は前年同期比で33%の増加となっている。

 好調さの背景には、オンプレミス製品の「Oracle E-Business Suite(EBS)」からの移行、他社からの乗り換えがあるという。たとえばドバイの港湾管理会社、DP Worldでは、世界44カ国で160ものERP製品をバラバラに導入していたが、これをOracle ERP Cloud/HCM Cloudに統合し、業務効率化とコスト削減を図ることにしたという。

 日本国内での採用事例としてNECの名前も挙げた。NECでは、中期経営計画の重点施策のひとつに「グローバルビジネスの拡大」を掲げている。その実現に向けてOracle ERP Cloudを導入し、同社が世界に持つ統括会社や拠点における案件と財務を統合した予実管理を行うことにしたという。

Oracle ERP CloudのWebサイト

 リンダー氏は、経済に対する新型コロナの影響について「旅行業、ホテル業などは苦しい時期となったが、フィットネスなど好調な業界もある」と述べる。たとえば米国のフィットネスマシンメーカー、ICON Health & Fitnessでは、“在宅フィットネス”製品の需要急増に伴ってOracle ERP Cloudを導入。製品の在庫管理やサプライチェーン計画などを整備したことで「3ケタ成長」を実現したという。また、グローバルにコントラクトロジスティクス事業を展開するDHL Supply Chainでも、従来から利用してきたE-Business Suiteのクラウド移行が完了していなかった2カ国において、ERP Cloudへの移行を行った。

 「われわれにとっても驚きだが、(コロナ禍においても)Go Liveの数が加速している」とリンダー氏は語る。その理由は、クラウドの「変化に対して柔軟に対応できる」特徴が評価されているからだという。「顧客のビジネス課題がシフトしている。クラウドは常に変化の速度を上回るスピードで進化しており、『変化の時代』における重要性は増している」(リンダー氏)。

Oracle Cloud IaaS/PaaSとのシームレスな連携が強み

 OracleのSaaS顧客はグローバルで7300社を超える。Oracleが選ばれる理由の1つとして、リンダー氏は「統制されたエンジニアリング」を挙げる。同社では10年を費やしてサービスの基盤を設計し、さらにHyperion、JD Edwardsなどの買収技術も統合する開発計画を進めてきた。ここがドイツSAPとの差別化ポイントだと強調する。

 「買収で取得した技術を単にプロビジョンするのではなく、まったく新しいプラットフォームに載せ、完全なスイートとしてFusion Application Suiteを開発した。あえて簡単なやり方を採らなかったので時間はかかったが、成熟したものになった」とリンダー氏は胸を張る。GartnerのCloud ERPマジッククアドラント(「Magic Quadrant for Cloud ERP for Product-Centric Enterprises」)では、2年連続でリーダーポジションに位置づけられている。

 また、インフラを自社のIaaS「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」に統一することで、「Oracle Autonomous Database」のような最新技術を活用できる点もアピールする。SAPはコモディティプラットフォームを選択し、プラットフォーム部分はAWSなどのハイパースケーラーに任せる戦略だ。リンダー氏は、Oracleも顧客に選択肢を提供するとしながらも「各社のIaaSはまったく同じというわけではない」と語り、OracleのSaaSとIaaSはシームレスに動くよう構築されていると強調した。こうした強みは、顧客データセンターに配置できるOracle Cloudの顧客専有リージョン「Oracle Dedicated Region Cloud@Customer」にも引き継がれる。

OracleのクラウドはSaaS、PaaS、IaaSすべてをシームレスに連携できる

 今回発表されたERP/EPM CloudのFall Updateでは、従来のタッチレス処理機能を拡大した「Intelligent Process Automation」「Intelligent Account Combination Defaulting」「Automated Tagging of Regulatory Reports」を発表した。これらのインテリジェントな自動化機能を利用することで、財務/会計部門における決算処理の効率化を図ることができるという。

 またユーザーの生産性向上という点では、SlackやMicrosoft Teams、SMSとの連携を強化している。

 予測的計画においてもAI活用を進めており、財務チームがリスクを迅速に評価し、ビジネス復旧プランのドキュメント化などを行うことでリスクに備える「Business Continuity Management」などが加わった。

 AI活用や変化への迅速な対応という方向性は、SCM Cloudにおいても同じだ。デジタルアシスタントとの会話型インタフェースを通じて、リアルタイムなサプライチェーン情報にアクセスできる「Oracle Logistics Digital Assistant」、サプライチェーン管理に組み込まれたAI/機械学習を用いて新製品導入(NPI)を最適化するレコメンデーションを行い、生産の中断にも対応できる「Oracle AI Planning Advisor」などが加わっている。

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