スマートフォンとUSB Type-Cケーブルでつなぐことで、スマホアプリをノートパソコン上のWindows環境みたいに扱えるMirabook(ミラブック)と呼ばれる製品が発表された。もちろんこの手の目新しいガジェットには目がない筆者はいつものヨドバシ.comで速攻で衝動予約してしまった。
人がビジネスに使う情報機器の進化は1981年にThe IBM PCが発表になって以来、長らくパソコンがその中心的な存在だった。ビジネスでのパソコンの活用が生産性の向上に効果的だと理解した社会は、いつでもどこでも情報活用することがより良い活用効果の拡大だと考え、パソコンワールドはモバイル系の軽量でバッテリー駆動のラップトップPCの世界に推移していった。
同時にこの四半世紀、音声通話の機器として生まれた電話機から発展拡大してきた携帯電話と、データ共有、活用という世界でパソコンと携帯電話はコラボワークする時代となった。機器の利便性と携帯性をコアに別々に発展してきた2つの機器は、最終的に情報共有というう新しい世界で出会うこととなった。
一方、別のステージでは、現在のラップトップPCとスマートフォン、いずれもその登場初期には、仕事用と私用の切り分けの話題で大いに盛り上がった時代もあった。当時の先進的な企業では、公私2台のパソコン、公私2台の携帯電話を持つことは至極当然のことでもあった。
時代が変化し、セキュリティ機能の発展や、社員や企業の意識変革、そして働き方改革。加えて今回の新型コロナ禍の影響によるテレワークへの対応は、過去長く言い続けられてきたこれらの話題にほぼ終止符を打つことになった。
フランス生まれのMirabookは今やすべてのビジネスピープルが、パソコンと並行して24時間365日活用しているスマートフォンを、データ共有だけではなく、アプリケーションや通信機能をも共有して、そのコラボレーションの機能で、日常のビジネスにおける生産性の最大化を実現可能にする商品だ。
100%同じではないが、ハイパフォーマンスでデータ処理系のアプリケーションが豊富なパソコンと通信機能がネイティブで備わっている携帯電話やスマホとのコラボレーションは、携帯電話にデータ通信機能の備わった1990年代から様々な製品がすでに登場してきている。
Windows 95が世に出た1990年代に登場した、携帯電話とケーブル接続する簡易ディスプレイーを内蔵したミニキーボード端末である昭和なポケットボードもその代表機種だ。当時と現代ではその機能に大きな差はあるが、目的は携帯電話の通信機能とアプリ(当時はメールがメイン)の合理的な活用とより効率的なユーザーインターフェースの活用だ。
スマホが主流になってからもこの手の"他力活用クライアント"はいろいろ登場したが、その普及はいまいちだった。スマホのパワー不足や、アプリの機種依存性、接続インターフェースの標準化の遅れや最終形が見えないことも理由だったのかもしれない。
スマホユーザーの間でもデータのクライアント管理がかなり一般的になり、USB Type-Cが標準的な汎用インターフェースとなり、スマホ側のCPUパワーやグラフィックパワーが飛躍的に向上したことが、Mirabookのような他力活用のクライアント再登場の足場を固めたといえるだろう。
さて今回、筆者の購入したMirabookは精悍なブラックアルミニウムの外装。薄い本体のソリッドなイメージはスタイリッシュでなかなか好感度が高い。唯一違和感のあるのは、液晶画面を開いた本体右側、カーソルキーのすぐ下に配置されColor Touch(カラータッチ)と名付けられたUSB Type-Cのリトラクタブルケーブルユニットだ。しかしこの特徴的なユニットの存在が一般的なラップトップPCとMirabookとの唯一の外観上の差異なのだ。
同梱物はMirabook本体と、専用ACアダプター、Type-C USBケーブルそして取説の4点だ。ACアダプターは15V/3A~20V/2.25Aに対応するものであれば市販のType-Cケーブルの付属するACアダプターでも対応は可能だ。
Mirabookの画面仕様は、13.3インチフルHD(1920x1080ドット)、IPS液晶、ハードウェア的な対応スマホは、DisplayPort over USB Type-C対応のAndroid OS、Windows対応製品だ(iPhone版は開発中)。ただしMirabookのフルスクリーンをWindowsパソコンイメージで活用するには、スマホ側でHUAWEI EMUI、Samsung Dex、Microsoft Continuumなどのソフトウエアが要件となる。
Mirabook本体側のIOポートはUSB Type-C×1、USB Type Aポート×2、HDMIポート×1、microSDカードスロット、3.5mmオーディオ端子、スピーカーだ。microSDカードスロットは昨今のChromebookなどでも採用されることが多いが、microSDカードのほぼ全体がスロットに収納され、表面的には出っ張りが最小で望ましい仕様だ。microSDカード内のファイルはアプリから管理可能となっている。
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