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コロナ渦の在宅勤務を支えるインターネットサービスを目指す

誰にでも使えるIPv6を目指したGMOインターネットとJPNEのチャレンジ

文●大谷イビサ 編集●ASCII 写真●曽根田元

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 日本ネットワークイネイブラー(JPNE)の「v6プラス」を採用することで、IPv6インターネットのユーザー層を広げてきたGMOインターネット。v6プラス採用のチャレンジやコロナ禍に向けた新しいサービスなどについて、同社の取締役副社長 伊藤 正氏とJPNE代表取締役社長 石田 慶樹氏の二人に聞いた。(以下、敬称略 インタビュアー アスキー編集部 大谷イビサ)

ISPとしての強みを模索していた中「v6プラス」チャレンジだった

-まずはGMOインターネットの現在の事業とJPNEとの関係について教えてください。

伊藤:GMOインターネットではおもにドメイン、ホスティング、クラウド、ISPの大きく4つの事業を展開しており、ISPサービスはJPNEのネットワークを経由して提供しています。

プロやエンジニアの方にフォーカスするサービスもありますが、弊社は「すべての人にインターネット」というコーポレートキャッチのもと、基本的には誰にでも使えるサービスの提供を目指しています。代表的な「お名前.com」がわかりやすいですが、初心者の方でもわかりやすく、使いやすくを意識してサービスを作っています。

GMOインターネット 取締役副社長 グループインフラ部門統括 兼 事業統括本部長 伊藤正氏

石田:2014年頃ですかね。以前お話ししたとおり、IPv6だけではなかなか売れなかったし、当時からPPPoEの限界は見えていたので、IPv4も使えるv6プラスを採用していただきました。とにかく簡単に使えるよう、ブロードバンドルーターにもv6プラスの仕組みを入れて、開通もスムーズに行えるようにいっしょに工夫を重ねました。

伊藤:1995年からスタートしているISP事業ですが、2000年以降のブロードバンドの波に乗り切れた感じではありませんでした。インターネットバブル以降、ISP事業を立て直そうと、2009年に「GMOとくとくBB」という新しいブランドを立ち上げました。

ISP事業は昔からやっていたとはいえ、ブロードバンド向けサービスは正直後発だったので、他の事業者に負けないサービス、売りやすいサービスを作る必要がありました。その点、「設定が大変」や、「Windowsのアップデートがかかると重くなる」といった当時のユーザーから上がっていたさまざまな課題をv6プラスで解消できると考えました。

石田:当時はわれわれもv6プラスの売り方を模索していた途中。いろいろなISPに営業をかけたのですが、既存のISP事業が重しになっていて、v6プラスのような新しいサービスを全面的に採用するという流れにはなかなかならなかったんです。そんな中で、今までの実績を問わずに、ゼロベースで検討していただいたのがGMOインターネットさんです。

日本ネットワークイネイブラー 代表取締役社長 石田 慶樹氏

-GMOインターネットとしては、やはりチャレンジだったんですね。

伊藤:技術的にも難しかったし、IPv4に比べてコストも若干高かったので、本当にこの選択は正しいのかは悩みました。

実際、開始当初は開通できないというトラブルもありました。たとえば、ルーターに設定を流し込むためには、お客さまの情報をいただく必要があるのですが、回線契約の名義人が自分ではなく、実は親だった、こうした場合は接続ができなくなります。また、IPv6は使えるけどIPv4が使えない場合、(IPv6対応サイトの)Yahoo!は見えるのに、ほかのサイトが見えないといったことも起こります。

こうしたさまざまなトラブルをJPNEさんと連携して乗り越えてきました。つながらない原因を一つ一つ調べて対処していった結果、エラーコードからどんな障害が起こっているのかを、こちら側で把握できるようになりました。今では開通日にあわせて、お客さまにすぐにインターネットをお使いいただくことが可能になっています。

-チャレンジを続けて、6年経ったいまどうなりましたか?

伊藤:おかげさまで、契約回線数は209万を突破しています。新規の申し込みでいうとFTTHが半分で、残りがモバイルルーター。FTTHサービスのうち、9割以上はv6プラス経由でIPv6を使ってもらっています。

石田:WiFiオフロードのためのFTTHの導入ラッシュの波にいっしょに乗れたという印象です。

お客さまは「IPv6ってなんかすごそう」でいいと思う

-GMOとくとくBBを提供するにあたって、IPv6は売りになったのでしょうか? やはり技術的には難しいと思うのですが。

伊藤:正直、お客さまにとっては、IPv6であるということはほとんど関係ないと思っています。IPv6みたいな技術を前面に打ち出してしまうと、ほとんどの人はわからないはず。だから「IPv4よりIPv6のほうがなんかすごそう」というイメージでよいと思っていて、むしろ技術的なところはアピールしていません。使ってもらってどんな体験ができるのかを強く打ち出すようにしています。

-ISPとしてはそれでいいという考え方ですね。

伊藤:はい。お客さまの関心は、きちんとつながり、安くて、速いということ。もちろん技術に詳しいお客さまもいらっしゃいますが、われわれのお客さまの大半は技術的な裏付けよりも、つながることを価値と感じます。

石田:その点、IPoE方式であるv6プラスのメリットはやはりお客さまが直接設定を入れなくてよいということですね。

今までPPPoEルーターでは、お客さまがルーターの管理者としてログインして、設定する必要がありました。でも、v6プラスでは回線とサービスのひも付けが容易にできるので、お客さまが自ら手を動かさなくても、気がついたらインターネットにつながるという環境を実現できてます。

-以前、ブロードバンドルーターの設定ガイドを作っていた立場からすると、隔世の感があります。

石田:でも、本来FTTHってそうあるべきですよね。モバイルではこの仕組みをSIMでやっていますが、いままでのFTTHは回線というIDにあたるものがあったにも関わらず、回線とユーザーをひも付けることができませんでした。でも、v6プラスを使えば、IDと契約がわかればサービスがデリバリーできます。

しかもいまや端末はパソコンではなく、スマホです。もともとFTTHが伸びた要因の1つも、スマホでパケットを使いすぎるいわゆる「パケ死」が問題になってきて、有線にオフロードする必要があったから。FTTHとスマホ契約のバンドルがスタートしたのも、そういった事情ですよね。だから、スマホでWiFiをオンにすれば、インターネットにアクセスできるという容易さ、Webブラウザを開かずとも、すぐに使える仕組みが必要だったんです。

伊藤:昔のインターネット接続は、パソコンに明るい人しかできませんでした。でも、パソコンに詳しくなければ、インターネットを使えないというのはおかしいですよね。

-あと、ユーザーによっては、IPv6にすると「速くなる」という期待をする人もいると思うのですが、こちらはいかがですか? 基本はアドレスなので、速くなるわけではないのは理解していますが。

伊藤:技術的に速くなるとは言わないですね。IPv4のこういった問題を解消するから、ストレスがなくなりますという説明をしています。

石田:実際、IPv4だとPPPoEの網を終端するところでボトルネックが発生するのですが、v6プラスでは直接接続されるのでその課題は解消されます。ですから、GMOインターネットの説明の仕方は妥当だし、フェアだと思います。

GMO とくとくBBのサービスサイト

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