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米こうじを使った甘酒を「調味料」代わりにする、熱中症・夏バテ防止策

2020年08月05日 06時00分更新

文● 高橋 誠(ダイヤモンド・オンライン

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甘酒は冬のイメージが強いが、俳句では夏の季語。熱中症、夏バテに効く成分を豊富に含む Photo:PIXTA

ウィズコロナ時代、初めての夏。マスクの装着が欠かせなくなったいま、より熱中症予防、夏バテ防止策を講じる必要がある。そこですすめたいのが、天然発酵甘味料「糀(こうじ)甘酒」だ。そもそも甘酒は、俳句では夏の季語。熱中症、夏バテに効く成分を豊富に含む。特に麹甘酒はアルコール0%なので、子どもから高齢者まで安心して飲める。折しも、8月5日は「発酵の日」。これをきっかけに、糀甘酒を取り入れた食生活をスタートしてみてはいかがだろうか。日本の発酵調味料研究の第一人者、東京農業大学応用生物科学部醸造科学科の前橋健二教授に、糀甘酒を取り入れて、暑い夏を乗り切る秘策や健康的な食事方法などについて聞いた。(医療・健康コミュニケーター 高橋 誠)

夏は「糀甘酒」の季節
江戸庶民も愛した「飲む点滴」

 私たちの生活を一変させたウィズコロナ時代。ストレスが募れば、免疫も下がる。この夏は、例年以上に熱中症、夏バテに気を付けたい。

 そこで、ますます脚光を浴びているのが「糀甘酒」。栄養価が高く、疲労回復、熱中症対策、夏バテ防止に即効性がある。巣ごもり二日酔いに効果のあるビタミンB群、胎児の先天性異常予防のために不可欠な葉酸のほか、持久力や筋力アップ、降圧効果、便通改善、抗酸化効果などに有用な成分の宝庫である。「飲む点滴」と呼ばれるほどの発酵食品の雄だ。

 こうじ博士、前橋教授は、糀甘酒の無限の健康パワーを次のように語る。

「糀甘酒には350種類もの体に良い栄養成分が含まれることがわかっています。しかし、こうじの発酵食品なので、まだ科学で解明されていない未知の有益な成分が秘められているかもしれません。俳句の世界では、甘酒は夏の季語。甘酒売りが町を闊歩(かっぽ)するほどの人気商売として庶民に浸透した江戸時代、甘酒は夏の飲み物だったのです。江戸時代の庶民は、甘酒を飲むとカラダの底から元気が湧いてくるので、夏バテ対策になることを知っていたのでしょう」

 確かに、冷蔵庫もエアコンもない時代の夏は、今以上に食中毒や熱中症に悩まされていた。そんな庶民の知恵が、糀甘酒であったのだ。

甘酒には2種類がある
オススメは米こうじから作る糀甘酒

 そもそも甘酒には、酒粕から作る酒粕甘酒と、米こうじから作る糀甘酒の2種類がある。風味や成分なども異なるが、どちらも栄養が豊富に含まれている。

 一番の違いは、砂糖が含まれているか否か。酒粕甘酒は砂糖を加えることで甘味を出すが、糀甘酒は発酵の過程で自然と甘みが加わる。当然、砂糖は不使用だ。

 しかも糀甘酒の作り方は簡単。米こうじに炊いたご飯と水を混ぜて発酵させるだけ。アルコールも0%。苦手な方も多いお酒臭さもない。

 なので、日常での汎用性や使い勝手という面から見ても、糀甘酒の方をお勧めしたい。

「糀甘酒は100%天然もの。バランスよく成分が含まれています。そのまま飲めて、料理にも使える、万能の調味料。何よりもおいしい。おいしいと感じるのは、カラダに良いという食品からのシグナルです。おいしく食べることが心身ともに健康への第一歩です」と目を輝かせる前橋教授。

 豊かな食生活を支えるみそ、しょうゆなどの発酵調味料、特に糀甘酒の可能性は無限大であり、数えきれないほどの長所にあふれている。糀甘酒は、この夏、手軽に始められる免疫力アップ法ともいえよう。

砂糖を糀甘酒に置き換え
糖質80%ダウン

 コロナ巣ごもりで太ってしまった人にも、糀甘酒はお勧めだ。毎朝のコーヒーやヨーグルトに使う砂糖を糀甘酒に代えたら、砂糖と比較して糖質を80%カットできる。

「少量でも毎日の食生活に取り入れれば、糖質カットが実現され、ダイエットにも効果的。糀甘酒は、砂糖よりもすぐにカラダに吸収され、エネルギーになります。ただし、血糖値が高めの方、動脈硬化が進んでいる方、生活習慣病の方々は、ゴクゴク飲むのではなく、甘味料、調味料として料理に使い、少しずつ摂取するといいでしょう」と語る前橋教授。自身も手作りの糀甘酒を愛飲しており、健康を享受している。

 味噌汁に加えれば減塩対策になる。納豆に加えれば発酵効果は倍になる。ヨーグルトやかき氷のシロップ、カレーライスのルーの甘さ調整など、さまざまな食品にプラスして、まずは大さじ1杯から料理に使い、1日コップ1杯150ミリリットルを目安に、カンタン糀甘酒生活をスタートしてみたい。

免疫細胞の7割が腸内に集中
100兆の腸内細菌をイキイキとさせるこうじ菌

 腸内環境は、善玉菌のエサとなるオリゴ糖、食物繊維を豊富に含んだ糀甘酒などの発酵食品を摂取することで整う。糀甘酒を飲むことによって、善玉菌が増え、腸の環境を良くすることで悪玉菌の増殖を防ぐ。発がんリスク抑制も期待できるかもしれない。

「腸には体内に存在する免疫細胞の7割が集中しており、腸内にはおよそ1000種類、100兆個の腸内細菌が存在しています。腸内で善玉菌が悪玉菌より優位になると、免疫機能が上がります。美容と健康を促進するには、腸をキレイにすることが大切です。糀甘酒に含まれるこうじ菌は、腸内の善玉菌を大活躍させる、腸内環境のサポーターです。しかし残念ですが、腸内に定着してはくれません。なので毎日摂取する必要があります」(前橋教授)

 みそ、しょうゆ、糀甘酒など、数多くの発酵食品のおいしさはこうじ菌によってつくり出されている。こうじ菌はお酒にも欠かせない縁の下の力持ちだ。古来より日常的に発酵食品を食べてきた日本人には、日本人独特の腸内細菌が住み着いている。こうじ菌によって腸内細菌を活性化させ、お腹の調子を整え、免疫力をアップさせる糀甘酒効果に注目したい。

ニューノーマル
「With糀甘酒」

砂糖の代わりに糀甘酒を使うという提案『砂糖の代わりに糀甘酒を使うという提案』(アスコム刊)前橋健二・あまこようこ著、128ページ

 免疫力は生活の乱れやストレスですぐに下がってしまう。下げないためには、「十分な睡眠」「適度な運動」「バランスの良い食事」が大切である。

 バランスの良い食事の調味料の1つとして、万能発酵調味料「糀甘酒」を取り入れる食生活をお勧めしたい。

 世界を脅かす強敵、新型コロナウイルス。未知のウイルスには未知の成分ではないが、伝統食品でもある糀甘酒に秘められた未知なる有益な成分にも期待しながら、この夏の熱中症対策、夏バテ防止を目指すのはいかがだろうか。

 発酵食品の魅力と奥深さを代表する糀甘酒で免疫力をアップする生活を、コロナがもたらしたニューノーマルの1つとしたい。

◎前橋健二(まえはし・けんじ)
東京農業大学応用生物科学部醸造科学科教授。日本の調味料研究の第一人者。長野県出身。1998年、東京農業大学大学院農学研究科農芸化学専攻博士後期課程単位取得満期退学。1999年に農芸化学博士となり、2016年10月より現職。グルタミン酸(うまみ成分)生産菌を発見し、世界に先駆けアミノ酸発酵の基盤を築いた故・鵜高重三名古屋大学名誉教授から薫陶を受け、「分子レベルでの味の解明」から研究をスタート。米国で味覚遺伝子を学び、発酵調味料、味物質の解析や味覚のしくみを多方面から科学的にアプローチしている。「世界一受けたい授業」(日本テレビ系)をはじめとしたメディア出演も多数

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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