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なぜ「超一流」は飛行機でコールボタンを極力押さないのか

2020年07月29日 06時00分更新

文● 清水裕美子(ダイヤモンド・オンライン

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機内でCAを呼ぶときに使うコールボタン。ファーストクラスではコールボタンの音が鳴ることがとても少ないのが特徴(写真はイメージです) Photo:PIXTA

外出自粛に在宅ワーク…人との距離が遠くなっている昨今ですが、そんな時こそ心を込めた「気くばり」ができる人は、仕事も人間関係もうまくいきます。実際、飛行機でファーストクラスを利用するような“超一流”たちは、ちょっとした会話やふるまいに細やかな「気くばり」がちりばめられていると元CAの清水裕美子さんはいいます。そこで前回に続き今回も、CAメディア代表取締役・清水さんの新刊『ファーストクラスCAの心をつかんだ マナーを超えた「気くばり」』(青春出版社)から、“超一流”の機内での過ごし方や、“仕事ができるCA”が心がけているコツを紹介します。

“超一流”がコールボタンを押さない理由とは

 機内でCAを呼ぶときに使うコールボタン。ファーストクラスではコールボタンの音が鳴ることがとても少ないのが特徴です。CAが挨拶に伺ったときや、何かを渡しに行ったときなど“ついで”に頼んでくださることがほとんどだからです。

 なかには、「必要なときにはコールボタンで呼ぶから、それ以外は気にしなくて大丈夫ですよ」と気をつかってくださるお客様もいらっしゃいますが、そのような場合もたびたびコールボタンで呼ばれるのではなく、一度にまとめて伝えてくださいます。

 超一流の方は、気まぐれではなく計画性を持って過ごされているからこそ、一度にまとめて頼んだり、「○時になったらお食事をお願いします」というように先のことを前もって伝えることができるともいえます。

「相手のタイミングも考える」という気くばりができる

 これは、何か頼みたいものがあるときでも、自分のタイミングだけではなくCAのタイミングも考えてくださっているからだといえます。自分自身が時間を大切にオーガナイズ(計画化)された過ごし方をしているからこそ、自然と他人の行動を乱すことにも後ろめたさを感じていらっしゃるのでしょう。

 このような配慮は、まさにマナーを超えた気くばりといえます。CAにとっては、必要なものをまとめて伝えてくださったり、事前に教えてくださることで、準備もできますし効率性が上がります。また、忙しいときに起こりがちな「頼まれ物忘れ」やケアレスミスが起こりにくくなるというメリットもあります。そしてそのようにして生まれた時間で、「何かほかにお客様にして差し上げられることはないか」とプラスアルファのことを考える余裕が生まれます。

「自分の都合しか考えない」はクレームを生みやすくなる

 自分の都合だけではなく、相手の都合も考えること。これはCAの仕事でもとても重要なことです。そもそもCAは、お客様がコールボタンを押す前にそのニーズを察してこちらからアプローチできるのが理想です。

 そのため、CAは日頃から、1列1列、一番右のお客様から一番左のお客様まで、お1人お1人と目を合わせるような意識で、お客様のニーズを汲み取りながらゆっくり機内を巡回するように心がけています。

 しかし、搭乗中や機内食準備などで忙しいとき、羽田─伊丹便などサービス時間が短い短距離路線では、つい早足で黙々と歩いてしまうようなこともあります。私が新人の頃、お客様にジュースを頼まれたのでギャレー(機内のキッチン)に向かって歩いていると、ほかのお客様に毛布を頼まれ、さらにほかのお客様に新聞を頼まれ……とエンドレスで頼まれ物が続き、なかなか目的地であるギャレーにたどり着けないという経験をよくしました。メモは取っているもののあせっているので字が汚く、訳がわからなくなってしまうこともありました。

 そんなときには、「いけない」と思いつつも誰にも何も頼まれないように、お客様と目を合わせずに急ぎ足で歩いてしまっていたこともあります。頼もうとしてもCAが忙しそうにしていて呼び止められないと、お客様はコールボタンを押されます。そのため、客室ではコールボタンが鳴り響き、CAはコールボタンに対応することで業務が中断され、さらに忙しくなっていきます。

 つまり、「自分は今忙しいから」という自分の都合で急ぎ足で歩いてしまうのは、お客様のタイミングを気にかける余裕がない状態といえます。このような状態は、「CAの感じが悪い」「ずっと待っているのにCAが来ない」といったクレームを生んでしまいやすく、その対応によってさらに作業性が下がってしまいます。

“仕事のできるCA”は機内をゆっくり歩く

 しかしあるとき、仕事のできる先輩は、忙しいフライトでも落ち着いて笑顔を絶やさずゆったり歩いていることに気づきました。何でゆったりしているのに仕事が終わるのだろうと不思議に思っていたのですが、1回通路を歩くあいだにお客様のニーズをすべて汲み取ってしまえば、そのときは時間がかかるかもしれませんが、その後途中で呼び止められることやコールボタンで呼ばれることがなくなるので、結果的に効率よく業務をこなすことができるのです。

 お客様としてもタイムリーにCAがニーズを汲み取ってくれるので、クレームも起こりにくくなるという好循環が生まれます。

相手の「作業性」を考えられる人は一目置かれる

 極力コールボタンを押さず、サービスする側の事情も考えて頼み事をする。これもマナーを超えた気くばりです。相手の都合を考えることは、一見自分が我慢しなければならないように思えますが、相手の作業性が上がることで、結果的に自分もやりやすくなることにつながります。

 職場でも自分が思いついたタイミングで五月雨式に相手に頼むのではなく、頼み事を優先順位順に箇条書きにしたメモを渡したり、相手の仕事を中断させないタイミングを選ぶことで、相手の作業性を上げることができます。そして相手のタイミングにも気くばりができる人は、全体を見ることができている人として一目置かれるはずです。

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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