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中国で訪日観光熱が再燃!目的は爆買いから「癒やし」へ

2020年07月16日 06時00分更新

文● 筑前サンミゲル(ダイヤモンド・オンライン

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「いつになったら日本へ行けるのか?」
中国国内で訪日希望者が急増

街中でこのような光景が再び見られるのはいつになることやら Photo by San Miguel Chikuzen(以下同)

 中国は、経済活動本格化のアピールを強めている。中国各都市への強力なロックダウンが解除された反動で高額消費が急拡大したが、それも一段落したようだ。

 経済活動は再開されつつある中で、旅行会社に対する「いつ日本へ行けるようになるのか?」という問い合わせが増えているという。

 日本同様に海外旅行は解禁されていないばかりか、中国政府は旅行会社による国内旅行も許可しておらず、多くの旅行会社の経営状態が逼迫 (ひっぱく)している。

 著者が定期的に取材する中国大連の旅行会社では、大連市内限定の観光業も認められていない(他市では市内・省内限定で観光業が部分解禁されている都市もある)。しかし、そもそも大連在住者が居住する市内観光や旅行を旅行会社へ依頼することはほとんどないので、市内限定で旅行業が解禁されても意味がないと話す。

 前出の旅行会社は、日本との関係を生かして7月から物販事業を始めた。そうしないと倒産してしまうと危機感を漂わせる。

訪日の目的は
公権力の圧力から解放される「癒やし」

 訪日を熱望する中国人には大きく分けて2パターンある。1つは以前の爆買いに近いものだ。化粧品や日常的に服用するサプリメント、目薬、歯磨き粉から調味料まで日本製品を愛好する人たちだ。彼らが自分で使用するものを日本で買いたいと希望している。

 多くのものは中国の高級スーパーマーケットや専門店で販売されているが、仮に同じものであっても日本で自分の目で選んで買いたいと希望する人が多いことが興味深い。

 もう1つのパターンは――ここ最近の傾向であるが――日本で癒やされたい、つまり、癒やしを求めて日本旅行をしたい人たちだ。彼らは富裕層に多く、それほど活発に買い物をするわけではない。ただ1人で東京を探索したり、地方を旅したりする。

 日本は地政学的、文化、習慣的にも閉塞感があり、今回の新型コロナでも働いた独自の同調圧力がある。日本に住む日本人はそれをストレスに感じたり、それが原因で、会社や家庭での人間関係に疲れてしまう人も少なくない。

 中国は中国で、日本とは違った種類のストレスを抱える。人間関係でのストレスも当然あるが、それ以上に政府や中国公安などの公権力からの強制力や圧力、理不尽なあらがえない決定に、多かれ少なかれストレスを感じているようだ。

中国で「癒やし」ブームが拡大
旅の目的も買い物から体験にシフト

「中国駐東京観光代表処」(日本政府観光局に相当)の王偉首席代表は、メディアでのインタビュー中で、日本語の「癒やし」という言葉から「治愈系」という言葉が誕生し、ブームになっていると話す。

 中国人が治愈系(癒やし)を感じるものは、多岐にわたる。中国での日常生活であまり使わなくなった紙幣を手にしたときや紙の名刺を受け取ったとき、電車の自動券売機、地下鉄の車内、日本語の語感、温水洗浄便座、 レストランの皿、スーパーやコンビニエンスストア、舗装されたアスファルトの歩道まで、あらゆるものに癒やしを感じるのだという。

 日本人の癒やしとは、大自然や動物と接したり、戯れるなどしたりをイメージするだろうが、中国人が感じる癒やしとは、非日常的な体験に近い。

 王偉氏は、癒やしブームは当面続くと考えており、中国人の旅の目的そのものが買い物中心から体験型へ大きくシフトしているのだと語る。

 中国で、PM2.5をはじめ大気汚染が大きな社会問題になった頃から、きれいな空気を吸うことを意味する「洗肺」という言葉が生まれ、きれいな空気を吸うために日本へ旅するという中国人も増えている。洗肺ついでに観光やショッピングを楽しむというように、以前とは目的が逆転しているわけだ。

「中国には日本のように自然と共生共存という文化はありません。また、文化大革命の後遺症で、地方や農村・田舎には悪いイメージを持っている人も一定数いて、東京や大阪などへという中央志向が根強くあります。一般の中国人が日本の地方観光や豊かな自然探索などを楽しむようになるには、まだまだ時間が必要かもしれませんね」(大連の旅行会社 )

日本の店頭に並ぶ紙おむつと粉ミルクは日本産が多数

 日本に訪日客を受け入れるインバウンドの観光業再開はしばらく先になりそうだが、2月上旬から止まっていた日本から中国へのEMS(国際スピード郵便)が7月1日から再開した。

 川崎市在住の中国人女性は早速、吉林省に住む親族への贈り物にEMSを利用したという。送ったものは、「P&G」の赤ちゃん用の紙おむつと「明治」の粉ミルク。ともに中国人に絶大な信頼を得ているブランドだ。

 日本で売られている紙おむつと粉ミルクには、赤ちゃん向けという以外にも共通点がある。それは原産国が日本、日本で生産されていることだ。P&Gの紙おむつは、中国生産版も販売されているが、あまり信用されていないのか、高くても日本産を求める。

 日本製品愛好者らはしばらく訪日できない分、信頼できる日本在住者からの国際発送で補う日がしばらく続きそうだ。

(筑前サンミゲル/5時から作家塾(R))

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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