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i9-10885HにGeForce RTX2060だけじゃなかった

ENVY15 実機レビュー = SSDまでも超高速なクリエイターズPCだった!!

2020年07月10日 12時00分更新

文● 写真:みやのプロ(@E_Minazou)+ 編集● ASCII

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 HPは6月29日に大量の新型PCを発表した。中でもZBookとENVY15は、ベイパーチャンバーを使った冷却システムを搭載し、薄型ボディながら高性能のCPU/GPUを回している。

7月下旬発売予定で予想価格は税込で約19万8000円から

クリエイター向けのスペックと
新デザインのボディで登場

 数年前にはENVY15のクラムシェルモデルもあったが、直近では、ENVYというと13型とx360つまりYOGA型の13、そして15型はx360のみだった。インテルモデルはi7-10510UにフルHD液晶、テンキー内蔵のキーボードという、モバイル系ノートPCであった。

 今回のENVY15は全く新しいデザインで、狭額縁ディスプレイに、キーボードにはテンキーがなくなり、全体がアルミボディとなっている。

 「クリエイターPC」として、CPUはTDP45WのHプロセッサーを搭載し、GPUにはGeForceのRTXも選択可能と、モバイルとしては最強のスペックを目指している。x360とはまったく違うコンセプトのマシンとなったわけだ。

天板の「川」型HPロゴは鏡面仕上げです。。

CPUは最高8コアのCore i9、GPUはRTX2060を搭載

 実際に選択できるCPUは、6コアの「i7-10750H」と8コアの「i9-10885H」というラインアップになっている。第10世代のコアi-Hとしては、i7の8コア10875Hや、オーバークロック可能なi9-10980HKも存在するが、ここはゲーマーではなくクリエイター向けとして落ち着いた、でも最高速度を目指した選択だ。

中央上部の「黒板」にみえる中にベイパーチャンバーによる冷媒が封入されている。

 メインメモリは16GBまたは32GBとおごっている(スロットは2つ)。ストレージも512GB~1TBに加えて2TBも選択できるのはクリエイター向けとしてまじめな作りだ。

メインメモリーはダブルスロットで余裕ですね。

スクエアなデザインが高級感を醸しております。。

 GPUは「GeForce GTX1660Ti」または「RTX2060」をともにMax-Qで、VRAMは6GBを搭載している。ここも、あえてGTX1050からRTX2080SUPERまでの中で「真ん中」の選択で、最新3Dゲームより、クリエイティブアプリが十分動けばいいという設計である。

SSDもダブルスロットで試用機は1TB×2の贅沢仕様です。

 ディスプレイは15.6インチで2種類の選択肢がある。フルHDは光沢でタッチ対応の300nit、4KはOLEDでタッチ対応の400nit。色域はDCI-P3を100%カバーし、コントラスト比は10万対1もある。この、高品質の4Kディスプレイもクリエイティブワークを意識した選択だ。

底面もとてもスッキリとしたデザインですね。

 試用したOLEDはもちろん極彩発色で、最高輝度にした場合、他社の500Nitノートまではいかないが、十分明るく、輝度80%以下で使いたいレベルである。「HP Display Control」というアプリが載っていて、用途や色域をユーザーが指定できるのも、クリエイターへの配慮が感じられる。

「HP Display Control」でOLEDの色相を変更できる。

400NitのOLEDはとてもキレイです!!

USBはType-A/Type-Cともに2つにHDMIも内蔵
ボディはちょっと重め

 インターフェイスは、まずUSBのタイプA×2を搭載。うち1つは電源オフでの充電機能を搭載している。タイプC×2のほうはThunderbolt3で、PowerDelivery、DisplayPort1.4、電源オフでの充電出力が可能だ。加えて、HDMI2.0、ヘッドホン・マイクコンボ端子、マイクロSDカードスロットも内蔵する。

本体背面(写真下)にはENVYとプリントされている。

 タイプAとタイプCがともに2つあるのは一番便利な設定で、モバイルを目指してタイプCのみ搭載した軽量ノートより安心で便利である。カメラおじさんとしては、カードスロットはマイクロではない、通常サイズのSDカードスロットにしてほしかった。

本体向かって右面(写真上)にはタイプAとともに、排気口があり、そこそこの熱気を排出してくる。

 Windows Helloは指紋認証で搭載。キーボードの手前、カーソルキーの左側に指紋センサーがあるという、珍しい配置である。無線LANは最新のWi-Fi6、Bluetoothは5.0を搭載だ。

 本体サイズは358×237×18ミリ、重量は2.15キロ。NECの「LAVIE VEGA」は、Hプロセッサーを搭載して、GPUはないが、359.8×243.9×18.3ミリだから、ENVYのほうが幅で1.8ミリ、奥行きで6.9ミリ小さい。重さは1.9キロだから、ENVYのほうが250グラム重い。

 デルの最新旗艦モバイル「XPS15」は、i7-10875HにGTX 1650Tiと、ENVY15に近いスペックだが、345×230×18ミリだから、ENVYよりXPSのほうが横幅で13ミリ、奥行きで7ミリ小さく、重量も2.05キロと100グラム軽い。頻繁に持ち歩くマシンではないかもしれないが、ENVY15は、もう少しダイエットできそうだ。

 ちなみに厚みなのだが、スペックでは18ミリとあるが、底面のゴム足がそこそこ厚みがある。18というのは本体の部分で、後部の足の部分では実測で24ミリあるのは、ボディデザインがスマートなだけに、ちょっと残念である。

底面後部のゴム足が肉厚(?)で、合計本体厚は24ミリになる。

 バッテリーで駆動する公称時間(MobileMark2014)はフルHD液晶搭載モデルで15時間、4KOLEDでは6時間30分と、けっこう大きな差が出ている。

メインキーは左寄りだが
キータッチは高級感あり

メインキーが若干左寄りになっています。

 キーボードはもちろんテンキーレスで、15型なので余裕がある配列である。横幅は292ミリあるが、リターンキーの右側に機能キーが縦に並ぶ独特のレイアウトである。電源ボタンがBSの上にあるのはちょっと不安だが、右下カーソルキーが凸型配置なのはとてもいい。

リターンキーの右に機能キーがあるためですね。。

 タッチパッドはマシンのセンターにあるのだが、右側の機能キーのために、キーボードのホームポジションに手を置くと、タッチパッドが右にずれるのはちょっと気持ちが悪い。

手前右に指紋センサーと凸配置のカーソルキー

 キーストロークは深めで、タイピングの感触はとてもいい。ガラス面のタッチパッドも表面がスムースでクリックのストロークも適度できもちいいが、クリック音は大きめなので改善してほしいところだ。おじさんとしては英語配列も選べるとありがたいので設定よろしくお願いしますね。

BSの上に電源キーはやめていただきたいです。。。

ベンチマークテストでは速度はゲーミングノートの部類
SSDが超高速すぎですーー

 おなじみの速度計測の結果だが、CinebenchはR15が1699、R20が3821で、8コアとしてしっかり回っている。ちなみにXPS15のi7-10750H(6コア)搭載モデルでは1294と2926だったので、30%増しの速度である。ゲーミングノートのAERO15は、最上位のi9-10980HKを搭載して1782と3905だったので、その95%出ていることになる。

さすが8コアの威力ですね。

 ブーストの設定は「HP Command Center」というアプリの「パフォーマンスコントロール」という機能で可能で、初期設定、パフォーマンスモード、冷却モード、静音モードのそれぞれで、自動と手動が指定できる。

ここで、速度優先か静音にするか、指定できます。

 今回のベンチマークはパフォーマンスモードの手動で最大にして計測しているが、冷却ファンが最大回転すると、風切り音がするのはいたしかたないが、若干、金属音が混じるのが気になった。ちなみに排気は後部だけでなく、本体右側面にも排出されるので、右側が密なところでは使わないほうがいいだろう。。。

黒地に金色数字の部分がベイパーチャンバーです。。

 さて、3DMarkでは、TimeSpyで6275、FireStrikeで14543、PortRoyaleで3394と、こちらもRTX2060がきちんと回っている。ちなみにXPS15はGTX1650Tiを積んでいるが、3823と9009だったので、ENVY15のほうが60%以上速い。AERO15はRTX2080SUPERを搭載して、7874、18332、4721だったので、ENVY15よりさらに25~39%速い。

 逆に、ENVY15はハイエンドゲーミングノートの、CPU速度で95%、3Dでは75%の実力を持つということになる。クリエイターPCとしては速すぎるくらいだ。

 試用機は2TBモデルで、SSDの速度をCrystalDiskMark7で計測したが、マルチシーケンシャルの読み出しが3358、書き込みも3312というぶっ飛びの速さだった。ユーティリティーで見てみると、1TBのSSDドライブ2台をRAID0で設置してあった。最強セッティングの威力である。

 バッテリーの持ちは、パフォーマンスコントロールは初期設定、バッテリーは最も高いパフォーマンスで、OLEDを最高輝度にしてBBenchで実行したが、2時間45分稼働した。バッテリー容量は81Whで、XPS15では同条件で3時間38分動作した。

 試しにENVY15のOLEDの輝度を50%にすると、3時間50分動作した。XPS15は4K+解像度の液晶なので、やはりOLEDの消費電力が持続時間を左右するのである。

 充電のほうは、同条件で50%まで36分、70%まで52分、90%まで80分と高速であった。専用端子に接続する200W出力のACアダプターの威力である。XPS15はタイプC端子で130Wなので、2倍の時間がかかっている。

BANG&OLUFSENのスピーカーユニット

底面の斜め切りの部分から音が出ます。

スマートデザインの爆速クリエイターノート

できればこのデザインでブラックも見てみたいですね。。

 ENVY15はHPのプレミアムラインらしいボディデザインに、8コアCPUとRTXを搭載し、クリエイターに向けた爆速ノートだ。CPU,GPUの速度はもちろん、SSDもノートPCとしては最高クラスの速度で、大量の写真や重い動画の編集も高速にこなすことができる。

 テレワークへの急激な進行をうけて、15型ノートPCは、各社、ハイスペックな方向への展開がさらに進行している。おじさんとしては、純黒で英語キーボードで3対2画面を望むところだが、ENVY15は、ハイエンドのノン・ゲーミングノートの最先端かつお手本のようなPCなのである。

キーボードバックライトは明、暗、OFFの3段階です。

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