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北朝鮮10月のマスゲーム公演へ向けて練習開始、YouTubeで世界配信も?

2020年07月09日 06時00分更新

文● 筑前サンミゲル(ダイヤモンド・オンライン

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北朝鮮がコロナで鎖国
経由国中国の感染状況を様子見か

10万人規模で演じられるマスゲーム。背後のスタンド1枚1枚を子どもたちが担当する

 海外の北朝鮮専門メディア「NK NEWS」は6月25日、「北朝鮮が10月のマスゲーム開催へ向けて準備を始めた」と報じた(※1)。同ニュースは信憑性があるソースとして研究者や学者の間で定評があるサイトだ。

※1 Preparations underway for October mass games, North Korean media says

 北朝鮮は、1月22日、新型コロナウイルス感染対策で外国人観光客受け入れを全面停止。それも22日の発表後、即日実施という異例のスピードだった。2月1日までには国境を接する中ロとの国際列車、空路の運行も完全停止し鎖国状態へ入った。

 6月中にビジネス往来限定で国境封鎖を解除との情報もあったが、現時点でビジネス往来も再開させていない。

 コロナ禍前時点で、北朝鮮訪問者のおよそ95パーセントが中国を経由している。国連制裁が強化される前は、マレーシアからのチャーター便など、中国以外からの直便が運行されることもあった。しかし、現在は中国経由での訪朝が主な入国ルートとなる。そのため、国境封鎖を解除するか否かについては北朝鮮一国では判断できず、経由地中国の感染状況や国境次第といえるだろう。

コロナで対中貿易に大打撃
外貨獲得手段としてマスゲームの活用も視野に?

 過去最高に強化されている国連制裁下で、北朝鮮の外貨不足は深刻さを増している。加えて新型コロナウイルスの影響で貿易全体の9割強を占める対中国貿易も、中国税関統計によると、2020年1月から4月は前年比66.6パーセント減となっている。引き続き中朝国境は封鎖されているため、今後も減少傾向が続くことは濃厚だ。

 北朝鮮は減り続ける外貨を人民元で補充する動きを見せており、中朝国境では小舟を使った水上現金渡しも行われていると伝えられている(『朝日新聞』6月28日付)。

 それ以外にも、安定して外貨を稼ぐため国連制裁へ抵触しないものへ注力しようとしているようだ。その1つが観光業であり、最大の集金イベントがマスゲームとなっている。

 北朝鮮は昨年、マスゲームを史上初となる5カ月間を超えるロングランで公演した。史上初はそれだけではない。これまでは、マスゲーム観覧は観光客が自由に選べるオプション選択だったが、滞在中最低1回は観覧する強制観覧としたのだ。これにより、観光客の9割を占める中国人客からのさらなる集金に成功している。

10月に友好国の要人向け
マスゲーム公演実施の可能性 

感染対策が継続される平壌市内でマスゲームの練習が始まっているのだろうか?

 北朝鮮への駐在経験もある中国人貿易商は、「マスゲームの練習は半年かかる」と北朝鮮当局者から説明を受けたという。しかし、取引企業先である北朝鮮人からは、「一昨年、昨年の練習期間は3カ月間くらいだったと聞いた」と明かす。

 この話が事実なら、6月末から練習を始めると10月上旬には間に合うことになる。前出の中国人貿易商は、「観光客向けではなく、中国や北朝鮮の友好国の要人向けに、10月10日の『朝鮮労働党創建記念日』など祝日公演をするのではないか」との見立てを示す。

 特に今年は創建75周年の節目の年のため、コロナ禍でも盛大に体制維持を誇示したいと考えているのではないだろうか。朝鮮労働党創建記念日は、9月9日の建国記念日と共に、北朝鮮にとって重要な日に位置づけられる。

 北朝鮮は、9月9日の建国記念日に招待した要人向けにマスゲーム開催を考えている可能性もある。本来マスゲームは1時間半かけて一つの物語として構成されているが、時間を短縮させた特別版などにすれば、練習期間も短くできるのではないだろうか。

無観客や動画配信の可能性も?

 また、現在のプロ野球のような無観客開催の可能性も捨てきれない。日本人の感覚からすると、もったいないと思うかもしれない。しかし、北朝鮮にとってマスゲームは、本来、思想統制や指導者への忠誠心を養うための国内教育を目的としているものだ。国民の私権がほとんどない北朝鮮は、仮に練習で子どもたちを何時間拘束しようと人件費もかからなければ、補償も必要ない。かかるのは電気代くらいだろう。

 もしかしたら、最近、体制アピールに活用しているYouTubeでマスゲームを全世界へ流したりするのかもしれない。それなら無観客で、稼ぐ外貨はゼロでも北朝鮮にとっては大きなうまみがあるのではないだろうか。

(筑前サンミゲル/5時から作家塾®)

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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