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トヨタコネクティッドが、御茶ノ水の新拠点で作っていくもの

axle御茶ノ水にオフィスをオープン

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新しいオフィスビル「axle御茶ノ水」がオープン

新しいオフィスビル「axle御茶ノ水」がオープン

 御茶ノ水エリアに5月、東和不動産が運営する新しいオフィスビル「axle御茶ノ水」がオープンした。

 東和不動産はトヨタグループの不動産会社。取締役社長の鵜飼 正男氏は、「axleは、両輪を結ぶ車軸の意味。出会いや交流から、いろいろな物事が回っていく。この『つながって』『回る』というテーマから名付けた」と話す。

 鵜飼 正男氏が話すaxle御茶ノ水の特徴は3つ。トヨタグループと他企業との接点を作り出す拠点であること、御茶ノ水という好アクセスエリアに位置すること、トヨタ自動車の寮を改装したリノベーション物件であり、スタートアップ企業が使いやすいシェアオフィスやワークスペースを低料金で提供することだ。

東和不動産 取締役社長の鵜飼 正男氏

トヨタコネクティッドが考える
with/afterコロナ戦略

 同じくトヨタグループで、コネクティッド領域事業を担うトヨタコネクティッドは、新オフィスをとなる「Global Leadership Innovation Place」をaxle御茶ノ水に設置。同社は名古屋に本社を構えるため、axle御茶ノ水のオフィスは、東京の拠点としてを利用する計画だ。

 axle御茶ノ水に新オフィスを設置した狙いを、常務取締役 伊藤 誠氏は「axle御茶ノ水を拠点にさまざまな企業とつながり、コネクティッドという視点から新しい世の中を切り開いていきたい」と話す。

 トヨタコネクティッドは2000年にガズーメディアサービスとして創立。その後、他企業との連携や業務提携をしつつ、デジタルメディアサービス、トヨタメディアサービスと社名を変更し、2017年に現社名となった。

 車の基本性能に「つながる」を加えることを社の使命とし、2006年にはマツダ、2007年にはスバルと、トヨタの競合となる自動車製造業者にもシステムを提供している。

axle御茶ノ水は、トヨタ自動車の社員寮を改装したリノベーション物件だ

 だが、2019年末から発生しているコロナウイルス感染症の影響について、伊藤 誠氏は、「車で外に出かけにくい時勢が続いていることに加え、新しく車を買うことは控えるという人も多い。ビジネスにとっては、大きなダメージというのが正直なところ」と話す。

 一方では、「『コネクティッド』に視点を移すと、ビッグデータを活用する新たなビジネスへ向き合う機会でもある。コロナウイルスの影響による外出自粛期間に取得できたデータは、これから新しいビジネスを生むかもしれない」とも話す。

 具体的には、「コロナウイルスの影響で、より活発に動くようになった業種に物流が挙げられるが、現状、トヨタコネクティッドでは、物流をサポートするシステムが少ない。常々課題と考えていたが、注力していく必要があることを、今回、切実に思った」と、物流業界で活用されるシステムへの参入に熱意を見せた。

エンタメ、飲食にも意欲的

 伊藤 誠氏は、with/afterコロナ時代のビジネススタイルについて「在宅、リモートが増えたことで、当たり前だったことが、当たり前ではなくなった。でも、『意外といけるな』という感触も得た。例えば、人と会って話をすることは、ビジネスでは基本的にリアルが必須と思っていた。でも、オンラインでは区切りがつけやすく、効率的に時間を使えるメリットがある」と話す。

トヨタコネクティッド 常務取締役 伊藤 誠氏(写真左)と、axle御茶ノ水のオープニングイベントで司会を務めた、INDUSTRIAL-X 代表取締役社長の八子 知礼氏(写真右)

 axle御茶ノ水では、オフィスを利用するスタートアップ企業と積極的に交流する狙いもあるといい、「MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)、IoT、コネクティッドと呼ばれる事業領域でビジネスを展開する企業とは、積極的に関わっていきたい」と話しつつも、「飲食やエンターテインメントの領域にも興味があ理、そこには大きな可能性があると感じている。私たちは、データを集めて、整理するというプラットフォーム側のビジネスが得意な企業。アイディアや技術のある人たちと組んだビジネスを展開することで、最大のシナジーを出せると思う。まずは、axle御茶ノ水を拠点にいろいろな企業の担当者とつながって、さまざまな可能性を探っていきたい」と語った。

axle御茶ノ水の可能性

 また同社は、2020年4月に「スマートシティー構想を視野に入れた協業」としてNTTデータとの業務提携を開始している。

 この提携には、両者の技術とリソースを組み合わせ、国内外でのモビリティーサービス事業への対応力、活用力を高める狙いがあるとしており、トヨタコネクティッドが新たなステージに向かって進み始めたことは明確だ。

 トヨタコネクティッドの起源とも言えるガズーメディアサービスが、カーナビやGPSと連携する車載向けのコネクティッドシステム「G-BOOK」の提供をはじめたのは2002年。当時はIoTやコネクティッドという言葉もなく、「ユビキタス」や「マルチメディア」といった言葉が使われていたと伊藤 誠氏は話す。

 そこから18年ほどが経過し、NTTデータとの提携、axle御茶ノ水の新拠点オープンと、同社にとって大きなニュースが立て続けに起こった。数年後、もしかすると数ヶ月後には、コロナ時代に向けた新たなサービスがこの拠点から生まれるのかもしれない。

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