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アスキー編集部、在宅ワークはじめました 第31回

メダカが泳ぐ日本の原風景を再現

メダカの学校は、家の中。アクアリウムはじめました

2020年07月07日 17時00分更新

文● 貝塚/ASCII

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2020年現在、メダカが生息する川は残念ながらかなり減少している

いまは昔、メダカの学校

 「メダカの学校は川の中 そっと覗いて見てごらん そっと覗いて見てごらん」という歌を皆さんはご存知だろうか。

 川を覗くと、メダカがいる。それは学校であり、メダカたちは、お遊戯をしているのである。そういう内容の歌だ。普通に考えると、学校ではお遊戯はしないような気もするが、この際、その点はどちらでもいいことである。

 この歌がリリースされたのは1952年らしい。いまから70年近く前は、その辺の川を覗けばメダカがいたのだろう。のどかでいい時代だったに違いない。

メダカを飼ってみたい

 問題は2020年現在、メダカが生息する川は残念ながらかなり減少しており、メダカそのものも「絶滅危惧II類」と呼ばれて、「近い将来、自然界には存在しなくなる可能性が危ぶまれる」存在となっている。

 メダカといえば、いかにも日本的であるというか、日本人にとってはかなり親しみを覚える魚の中のひとつだと思うが、彼らが絶滅するかもしれないとは悲しいことである。

 ある日、近所の熱帯魚店を外から眺めていると、窓際から近い水槽にめちゃくちゃな数のメダカが泳いでいるのが目に入った。信じられないくらいの数である。これで絶滅危惧種ってどういうこと?(とも思ったが、絶滅危惧種でも飼育が禁止されているわけではないらしい)

 外出自粛要請は解かれていて、新規感染者数も減少傾向にあったものの、うーん、入るのはどうかな、と思った。でもかなり興味を惹かれて、結局立ち寄った。客は数人しかいなかった。

 ヒメダカ、白メダカ、黒メダカ、青メダカなど種類も豊富で、よく見ないと違いはわからないが、パッと見た感じ、なんとなく体色と名前が合っていた。

黒メダカは体色が黒っぽい。ヒメダカは薄いオレンジ色、青メダカはうっすらと青味がかっていた

 白メダカが一番綺麗だったので白メダカを飼いたいと思った。しかし生命なので適当な気分で飼って死なせたらかわいそうだ。

 近くにいた店員さんに、「メダカを飼いたいんですが何を用意すればいいんですか?」と聞くと、「魚を飼育する設備って大体決まっていて、水槽、ろ過用のフィルター、床砂、水温計、ヒーター、カルキ抜きは基本的に買ってください。あと水草を入れてあげるといいです」と教えてくれた。

 さらに「メダカは比較的飼育が容易な魚であり、水温管理もシビアではないので、ヒーターは冬になって水温が下がりすぎるようなら用意すればいい」「フィルターは水をろ過して不純物を取り除き、水質の悪化を防ぐものであるが、水質の悪化に注意して、少ない数で飼えばなしでも一応いける」ということも教えてくれた。

アクアリウムはじめました

 そこから数日いろいろ調べたり、飼えそうかどうか考えてみて、結局メダカを買いに行くことにした。

 メダカの価格は種類によっても異なるが、1匹60円から100円ほどで販売されていた。水槽は1000円くらいの丸いシェイプのものを用意。砂は300円くらい。水温計は400円くらい。カルキ抜きも400円くらいだった。これらに加えて、エサと、水替え用のポンプ、水替え用の網も買った。あと、小さい岩と苔の生えた流木、小さな水草も買った。岩や水草はいずれも100円しないほどの価格だった。メダカは水とともに袋に入れられていた。

 アクアリウムはお金がかかるというイメージを持つ人も多いかもしれない。たしかに、熱帯魚店には1匹で何万円もする魚もいたし、水草とかもたくさん買うと高いから、大きな水槽に水草がしげっている、いわゆるアクアリウムと言って想像するようなものを目指すと、それなりの出費になるかもしれない。電気代もかかるだろうし。

 しかしメダカを飼う分には、高額というほどではない。初期投資は合計で2500円くらいだったと思う。ランニングコストとしてかかるのも、エサ、カルキ抜き、ヒーターを導入した場合のささいな電気代くらいのもので、エサ、カルキ抜きは一度買えばかなりの量が入っているので、ひんぱんに買うものでもない。

 ちなみにカルキ抜きに一応触れておくと、魚にとって有害な水道水の塩素を中和し、魚が生息できる水質にするための薬剤である。

ホームセンターで買ってきた木で簡易な棚を作り、その上にメダカの水槽を置いている

 水槽を洗い、砂を敷き詰め、流木、岩をレイアウトし、バケツの水にカルキ抜きを投入。さっそく水槽に水を注いで、メダカを入れたくなるところだが、慌ててはいけない。

 「水合わせ」という作業が必要なのだ。まずは水槽にカルキ抜きをした水を注ぎ、その中に、袋に入れたままのメダカを入れる。急激な水温の変化を防ぎ、生体へのショックを防ぐためだ。

 その状態でしばらく放置し、少しずつ袋の中に水槽の水を入れていく。すこし水を入れたら10分待機。これを5回ほど繰り返し、ようやくメダカを直接水槽に入れる。この作業に1時間30分くらいかかった。

 メダカたちは生き生きと水槽の中を泳ぎ、こちらが近づくと機敏に反応していた。覗き込むと、エサをくれると思うのか、水面に上がってくる。まさしく、みんなでお遊戯をしている状態であり、メダカの学校である。1950年代にはメダカの学校は川の中にあったが、2020年、メダカの学校は家の中にあるのだ。

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