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大家と入居希望者が直接交渉、「お部屋探し」の文化を変えるサイトとは

2020年07月02日 06時00分更新

文● ジャイアント佐藤(ダイヤモンド・オンライン

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Photo:PIXTA

 想像している時は楽しいが実行に移すと大変なもの、その一つが部屋探しではないだろうか。

 特にペット多頭飼いの方、外国人の方、お仕事探し中の方、シングルマザーの方など、一定の条件のある方にとって、部屋探しは困難になることが多い。

 ペット禁止の物件は依然として多く、飼えても「1匹だけ」などと制限がついている場合がほとんどだ。また筆者の知り合いの外国人たちは「ほぼ全員」、日本での部屋探しに大変な苦労をしていた。いくら日本語を話せても、いろいろ理由をつけられ断られてしまうのだ。

 また部屋を探す側が求める条件も厳しすぎて、なかなか新居が決まらない場合も多い。

 もう少し部屋探しは楽しいものにならないのだろうか?また大家さんにとっても、将来の住人候補とのやり取りはもっと気楽にならないものだろうか?

 今回はそんな部屋探しの現状を覆しそうな勢いのあるサービスを発見したので、紹介したい。株式会社ウチコミが提供する、賃貸物件の大家さんと入居者をマッチングする部屋探しWEBサービス「ウチコミ!」だ。

部屋探しの主導権は大家さんと入居者に

社員の誕生日はケーキで祝うという大友さん。マスクこそどちらかといえばコワモテだが、中身は思いやりであふれた心優しきリーダーだ

「大切なのは消費者が主導権を持っていることです。不動産業者から見て消費者とは部屋を探す方、そして部屋を貸す大家さん双方です」と同社代表取締役社長の大友健右さんは語る。

 インターネットが普及して世の中は飛躍的に便利になった。人々がネットショップで買い物をすることや、SNSなどを通してコミュニケーションを取り合うことは今や当たり前だ。新型コロナの影響で飲み会さえもオンライン上で行う人が増えた。

 そしてこの時代に人々が求めるものは、提供者側の都合で作られたものではない。主導権を持つのは消費者なのだ。

「しかし残念ながら、不動産業界には昔ながらの『文化』が根強くあり、それが消費者の方にとっての利便性を阻んでいます。本来は部屋を探す方と大家さんが主役であるべきなのに……」(大友さん)

 社会人になって10年以上不動産業界で働いていた大友さんは、2010年に行動を起こした。

「業界の中にいてはイノベーションは起こせない!」

 大手不動産会社を退職してリフォーム会社を立ち上げた。そして2012年、大友さんの思いの詰まった「ウチコミ!」を誕生させたのだ。

デジタル化は手段であり目的ではない

 世の中には便利なお部屋探しポータルサイトが多数存在する。探したい人はそこに予算や希望するエリア、築年数、間取りなどを入れて検索をすると、条件に合った物件が出てくる。

 家でも通勤電車の中でも部屋探しができるのは大変便利だが、検索して見つけた部屋の大家さんと直接コミュニケーションできたという人は少ないのではないだろうか?

 要因はポータルサイトが「不動産業者のための営業ツール」になってしまっているからだ。部屋を探す人と大家さんをつなげるツールではないのだ。実際にポータルサイトで部屋を検索して問い合わせをしてみるといい。

 昼間なら数分後にはその物件を掲載する複数の不動産仲介店からガンガン電話が来て、自社窓口への来店を促されることだろう。

 ワクワクしながら不動産店を訪れても、該当物件をポータルサイトに載せている不動産業者は複数おり、該当物件は熾烈な早いもの勝ち競争の中にいる。契約はおろか、内見できる可能性さえ低い。

 そして訪れた不動産店は、不動産業者だけに流通しているデータベースからお客さんの条件を元に『ポータルサイトに載っていた物件の代わりとなる物件』を探していくのだが、そこに大きな問題がある。「条件をデジタル化してしまうことによる機会消失」だ。

「ペット不可としている大家さんは、『ペットがダメ』なわけではない場合が多いのです。根本は『部屋を汚されることが怖い』ということなのです。1匹でも10匹でも変わりません。そこは大家さんと借りたい方がしっかりコミュニケーションを取ることにより解決できる場合も多いのです」(大友さん)

 不動産業者が使うデータベースには「ペット相談」というチェックボックスがあるだけだ。その項目で、大家さんから物件を引き受けた不動産業者が「機械的に」選別をしてしまうのだ。当然ながら、「ペット相談」というチェックボックスにチェックがつかなかった物件は、永遠にペット可物件を求めるお客さんに紹介されることはない。

 実際に方々の不動産店から「貸す部屋がない」と断られた、犬を6匹飼う方が「ウチコミ!」にある大家さんと直接チャット機能を使ってコミュニケーションを取り、現在住んでいる部屋の写真を送信したところ、すんなりと決まったという。大家さんは「こんなにきれいに使ってもらえるなら犬が6匹いようと全く問題ない」と判断したのだ。

「消費者の方の感情はアナログなんです。そこをインターネットという手段を使ってつないでいくのが我々のサービスです」(大友さん)

「大家さんからのオファー」で生まれるメリット

「ウチコミ!」ではチャット画面で大家さんと直接やり取りできる

「ウチコミ!」のサービスの中でも特徴的なのが、「お部屋リクエスト」というサービスだ。これは部屋を探す人があらかじめエリアや家賃などの条件を登録しておくと、大家さんから「うちの物件に住みませんか?」とオファーが来るというものだ。

 登録内容には自由記載できる欄があり、引っ越しにあたっての思いをその人の言葉で書くことが可能だ。

 それを見た大家さんはいろいろな提案ができる。探す人の条件が駅から徒歩10分以内でも「うちは徒歩12分ですがきれいな海が見える道があるんです」といった具合に、魅力をアピールできるのだ。結果、探す方も納得のいく部屋探しが可能となる。

 また大家さんにとっても、入居者が退去する前に次の入居者を探すことが可能となるため、長期間の空室を防ぐことができる。

 部屋を探す人と大家さんが直接やり取りできると、仲介手数料無料などといった当たり前のこと以外にも、双方にとってメリットはたくさんありそうだ。

 しかし、これでは従来の不動産業者が必要なくなってしまうのでは?

「どんな便利なサービスができても不動産業者はその道のプロです。しっかりと主役(部屋を探す人と大家さん)に寄り添える業者はやはり今後も必要です」(大友さん)

(ジャイアント佐藤/5時から作家塾(R))

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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