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魅惑の軽スポーツ「ホンダ・S660」で遊ぼう 第11回

ホンダ・S660に翼を授ける! GTウイングってどれだけ効くの?

2020年07月05日 12時00分更新

文● 栗原祥光(@yosh_kurihara) 編集●ASCII

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男の子の憧れ「GTウイング」をS660に装着!

 個人的に「GTウイングを取り付けたクルマはカッコイイ」と思っています。ですが、S660には標準状態だとGTウイング、つまり羽根がありません。筆者は「スポーツカーのスタイリングは羽根をつけてこそ完成する」と思い込んでいますので、S660に翼を授けてみました。

VOLTEX製カーボンウイングを装着した筆者のS660

 今やレーシングカーでは当たり前のように取り付けられている羽根。その役割は空気の力(ダウンフォース)によって、高速走行時に車体を安定させる効果があるのです。ですが一般車で羽根を付けているクルマは、今やかなりの少数派です。きっとメーカーは、一般道の走行スピードで羽根は不要と考えているのでしょう。さらに近年のネットで見かける「彼氏に乗ってほしくないクルマ5選」のような記事には、痛車と並んで羽根の文字が。その記事中の女子大生によると「空でも飛ぶのww」と草を生やしていたり。

 ですが、羽根付きスポーツカーはロマンです。スピード違反するような速度で公道を走ることはなくても、洗車機で洗えなくなっても、見た目として羽根が欲しいのです。そして一般道では不要であっても、高速道路では必要性を感じます。鈴鹿サーキットへ行く道中、名古屋港にかかる名港トリトンという橋で、強い海風により車体がフラフラと……。羽根は安全運転するための必要経費となりました。

 そんなわけで、S660の羽根は各社各様あります。その中で筆者が選んだのは、鈴鹿サーキット近くに拠点を置くエアロパーツメーカー「VOLTEX」の商品です!

スワンネック形状を採る「VOLTEX type12 SN」(16万8000円税別)

 VOLTEXはサーキット1周をいかに早く走るかを競う「タイムアタック」では知られたブランド。風洞実験や実戦で培ったノウハウは、日本の走り屋はもちろんのこと、レーシングの分野、さらに今や海外からも熱い視線が送られています。

 購入したのはカーボンウイング「S660 Type12 SN」というモデル。確か東京オートサロン2018というカスタムカーのイベント取材中、鈴鹿にあるホンダ系チューニングショップ「トップフューエル」ブースで見かけ一目惚れ。説明員に詳細を尋ね、翌日に行きつけのショップで注文しました。

ウイングは底面の空気の流れが重要とのこと

 独特なウイングエンドプレート形状を採るVOLTEXのTYPE 12。カタログによると「アンダーパワーの車に対して低ドラックのGTウイングを」とのことで、軽自動車であるS660にピッタリ。さらにTYPE12は、スーパー耐久といったレースの現場でも使われている形状で、いわば実戦アイテム。見掛け倒しではない、ガチ勢の羽根なのです。ネック形状は今やレーシングカーではおなじみのスワンネック。ウイングというのは上面より下面の空気が重要だそうで、スワンネックは空気の流れが綺麗なのだとか。

 注文は行きつけのスーパーオートバックスで、価格は16万8000円(税込)に別途工賃。なんやかんやで20万円に満たなかったと思います。取り付ける際、ボンネットに穴を開けるなどの加工が必要でした。

車高が低いため、SUV車からはこのように見えるらしい。ウイング側のステー取り付け部分もカーボンという点にも注目したい

 取り付けると、明らかに車体が安定。40km/hから感じます。高速道路による長距離走行では絶大なる効果を発揮し、運転がとてもラクになります。もちろん横風の影響はかなり低減され、名港トリトンも怖くありません(高所恐怖症ですが)。何より見た目が凄い! さらにルームミラーから後方を見ると、嫌でも「羽根」が見えます。

 一方、得るものあれば失うものもあるもので、「S660らしいフットワークの軽さ」みたいなものは減った気がしますし、燃費もリッター1kmほど悪化しました。乗り心地もリアからの突き上げが強くなりますので、減衰力を調整した方が望ましいでしょう。

もっともウイングを寝かせた状態

2番目にウイングを寝かせた状態。筆者はこの状態で使っている

3番目にウイングを寝かせた状態。どうやらこれがデフォルトのようだ

もっともウイングを立たせた状態。コーナーで安定するようだが、ドラッグも凄いようだ

 4段階の角度調整ができるのも、このGTウイングの魅力。リア側のネジを緩めて、フロント側のビスを抜き差しすることで調整ができます。デフォルトでは4段階のうち3番目に角度がつくセッティングになっています。見た目的にはステー部分とツライチになるのでカッコいいのですが、ちょっと強すぎな感も。一番弱いセッティングにすると、走りはいいものの見た目がイマイチ。ということで、結果的に2番目のセッティングにしています。

一般車にGTウイングを付ける意味

 よく「リアエンジンのクルマに羽根をつけて意味あるの?」みたいな事を言われますが、ホンダアクセスのS660 Modulo Xの開発者によると「S660の空力特性はフロント側に寄っている」そうで、S660 Modulo Xの場合、フロント側の空力特性にあわせてリアの可変ウイングにガーニーフラップを取り付けて空力バランスを合わせたとのこと。その意味で「S660のリアに何かしらの空力デバイスを取り付けるのは正解」な気がします。

ホンダアクセスが発表したS2000 20周年記念パーツ装着車

S2000用トランクスポイラー。ダッグテール形状を採る

トランクスポイラーを横から見ると、結構な角度がついていることがわかる

 また、先ごろ発売を開始したS2000の20周年アイテムにS2000 TYPE SのようなGTウイングがなかった理由について尋ねると「ウイング形状のものは一般的にダウンフォースが高くなる傾向にありますが、ダウンフォースが高くなってくると、クルマは安定感が増すかわりに、軽快感がなくなり、動的コンセプトで狙うところと離れていってしまうため、今回のダックテールタイプを採用しました。それと、ウイングタイプは羽の部分に風をきれいに流してこそ効果が高まりますが、オープンカーのS2000はクローズ時とオープン時のトランク周りの風の流れが極端に変わりますので、オープン、クローズの両方で空力特性があまり変動しないことも重視しています」とのこと。やりすぎもまたよくないようだ。

 羽根は見た目もカッコよく、その効果も絶大であることに疑いの余地はないものの、どういう走りをしたいか、といったことも十分に考える必要があるアイテムであるとも言えます。ともあれ、アナタもクルマに翼を授けてみませんか?

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