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「純情のアフィリア」スペシャルライブ

ライブ配信でわかった、iPhoneとTASCAM「Model 12」で高音質配信できるワケ

2020年07月21日 11時00分更新

文● 荒井敏郎 写真●伊藤真広 出演●純情のアフィリア

提供: TASCAM

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 新型コロナウィルスによる外出自粛要請やリモート推奨により、「おうち時間」が増えている昨今、多くの人が「配信」に触れている。これまで配信といえば、芸能人やYouTuberなどの気に入った動画を見つけて「視聴する」のが一般的だった。しかし現在、こうしたおうち時間を使い、自身の動画を「配信する」するユーザーも多い。いまや動画配信は、アーティストやクリエイターだけのものではなく、普通の人が楽しめるものになった。

 そんな中、ただ配信するだけではなく「質」を上げたいという声をよく聞く。たとえばオンライン会議の画質や音質をアップさせたい、というのもそのひとつだ。特に「音質」は、聞き取りやすさに直結する部分で、画質よりも重要視される場面もある。しかも、画質のようにわかりやすいものではないため、多くの人が見落としがちだ。

 また、現在のスマホのカメラが高性能なので、スマホだけでプロに迫る配信も可能になった。かさばるPCや高価なビデオカメラを用意する必要もなければ、ウェブカメラの品薄に悩まされる必要もない。だが、音質に関してだけはスマホのマイクだけではどうにもならないのが現実。スマホのマイクも悪くないのだが、やはり外部マイクのほうが圧倒的に音が良い。音質が悪いと会議で偉い人の話を聞き逃すことがあるし、視聴者(ファン)は何を言っているのか聞き取れずにストレスになる。スマホにマイクを接続したとしても音量バランスの調整が難しい。

TASCAM「Model 12」

 そんな悩みを解消するのがティアック株式会社のプロ音響機器ブランド・TASCAMの「Model 12」(7万1280円税込)だ。小型サイズの多機能ミキサー/レコーダーで、iPhoneとマイク、そしてこのModel 12があれば、高音質な動画配信を実現できる。はたしてどのようにModel 12で配信できるのか、ティアック 音響機器事業部の加茂尚広氏に解説をお願いした。

スマホ配信のキモ
モノラル設定も問題なし!

──まず、Model 12はどのような位置付けの機材なのでしょうか?

加茂尚広氏(以下敬称略) DAWのコントローラーにもなるし、マルチレコーダーにもなるし、ライブのオケ出しにも使えるデジタルマルチトラックレコーダーです。日本の市場を考え、小型のサイズで手軽に使えるものとして開発しました。ただ、PCのオーディオインターフェースになるということは、動画配信用のミキサーとしてのニーズも満たしており、配信ソフトの「OBS」や「XSplit!」に対応させるなど、配信目的での用途にも対応させました。

ティアック 音響機器事業部 タスカムビジネスユニット 国内営業部 販売促進課 加茂尚広氏

──iPhoneを使った配信にも対応しているんですよね?

加茂 もともと「GarageBand」などiPhone用のDAWアプリでは使えていたんです。そのため、iPhoneと直結すればオーディオインターフェースとして認識されます。私は、配信のニーズはPCよりもスマホのほうがあると思っていて、iPhoneと直結して使えれば必要な機材も少なくて済むし、便利ですよね。そんなときに「ステイホーム」を余儀なくされる状況になり、たとえばライブハウスは無観客配信を実施したりと、ちょっとした配信をやってみたいという声が多くなったんです。そんな中、いちばんミニマムな環境で高音質な配信を実現できるのが、iPhoneとModel 12じゃないかと提案させていただきました。

──配信の中で「音」に関する部分はわかりにくいところが多いですからね。聴いている側にしかわからないですし、聴いている側の環境にも大きく左右されますよね。

加茂 そうなんです。配信のニーズが高まっていく中で、たとえば「OBSはこう設定しましょう」とか「ゲーム配信はこうしましょう」とか「カメラはこうつなぎましょう」といった情報は見つかるのですが、「スマホで⾼⾳質な配信をしたい」といった情報が少ないんです。中でも「インスタライブ」や「Pococha」といったスマホからでしか利用できないライブ配信サービスを使いたいとき、どうしたら高音質になるのかといった情報はほとんど見つかりません。さらに、スマホ特有の問題点もあります。

 全部のライブ配信アプリを試したわけではないのですが、スマホで配信する際は、音がモノラルでしかいかないんです。しかも、あるアプリはL側しか音がいかないとか、あるアプリはLRがミックスされるなど、アプリによって動作が違うんです。Lしかいかないアプリの場合、ステレオでしか音が送れないインターフェースを使うと、Rの音が配信で出ないんですよ。そのため「モノラルで音を送れる」ことがとても重要なんです。Model 12は各チャンネルにパンがついているため、R側の音が流れないといったことが回避できます。また、将来的にスマホでもステレオ配信が可能になった際には柔軟に対応できます。

──こうした問題点は、普通の人はわからないですよね。

加茂 そうですね。私たちのような音のプロでも、配信を始めたころは原因がわからず、苦労しましたので、一般の人は相当苦労するだろうと思い、製品ごとにいろんなガイドを用意しています。ただ結局、音響機器メーカーだけでできることは限られてしまっているので、多くのライブ配信アプリメーカーなどに協力してもらい、いろんなやりとりをして問題点などを見つけています。

 たとえばライブ配信アプリでのカラオケは人気コンテンツですが、いまライブ配信でカラオケを楽しむ人の多くはイヤホンマイクしか使い方がわからないんですよ。しかしライブ配信に合ったマイクとミキサーや、オーディオインターフェースを使うことでカラオケや演奏も高音質で配信ができます。そうした多くのニーズに答える集大成がModel 12となっています。

純情のアフィリアによる
iPhoneでの生配信ライブを実施!

 今回、iPhoneとModel 12を使った高音質な動画配信を実施するにあたり、週刊アスキーで連載中の「純情のアフィリア 電脳部」を担当するアイドルグループ「純情のアフィリア」に協力してもらった。コンセプトカフェ・レストランチェーンの「アフィリアグループ」のキャストで構成された9人組のグループだ。普段、店舗のキャストをしながら、ライブイベントなどに出演し、歌やダンスも披露している。そのため、高音質配信には欠かせない「歌」もしっかり届けられるというわけだ。

 まずは配信準備から。iPhoneとModel 12をどのように接続するのか、純情のアフィリアメンバーと一緒に見ていこう。

iPhoneを接続するだけで自動的に認識

 Model 12の電源ケーブルを差し込んだら、マイクを準備。純情のアフィリアはフルメンバーでの参加なので必要なマイクは9本。マイクをつないだら、音量などをチェックする。

Model 12にマイクを接続

マイク音量を調整する

 続いて、音を再生するためのデバイスを接続。こちらもスマホでOK。ただし、ステレオミニプラグケーブルでの接続になるため、iPhoneを使いたい場合は、ヘッドホン端子搭載のモデルか変換アダプターを用意すること。もちろん、ステレオプラグでの出力が可能であれば、どんな再生機器でも接続可能だ。こちらも、つないだら音楽を再生して音量などを確認する。再生する音に合わせてマイクで歌う用途であれば、歌声と再生音量のバランスも一緒にチェックしたい。

外部入力はステレオミニプラグケーブルを使用

接続した再生機器(写真ではiPhone)から音を流し、音量を調整しよう。AndroidスマホやDAPなどでもOKだ

 最後に、外部出力用のUSBポートにiPhoneを接続するのだが、「Lightning - USBカメラアダプタ」などの変換機器を使う必要がある。アダプターのUSB側はメスになっているものを用意しよう。接続後は特に設定などはいらない。iPhone側で自動的にModel 12を、12入力/10出力のオーディオインターフェースとして認識してくれる。あとはiPhoneで配信用のモードを選択しておけば、配信スタートだ。

USB Type-C端子にケーブルを挿す

外部出力用のUSBポートでiPhoneと接続する

ヘッドホンで配信中の音をチェックできる

準備が整ったらiPhoneで配信アプリを起動しよう

実際のライブ配信映像でその音質をチェック!

 ここからは、7月1日に配信されたライブ映像を見ていこう。

 今回、ソーシャルディスタンスを考慮し、3×3で組まれた特別フォーメーションでライブを実施。「音質」を届けるため、メンバーの歌声で魅了する「奇跡と魔法のクロニクル」「Everlasting Friends」「Nighty night ~オヤスミセカイ~」「Like? or Love?」の4曲を披露した。特に「Everlasting Friends」はメンバー個々の歌声がしっかりと聞こえるので、ライブ映像の音質をじっくりと楽しんでほしい。

 実は今回、メンバーにとっては約3ヵ月ぶりとなるライブ。しかも配信。そして、音質を届けるための「歌」メインのセトリ──ということで、ライブ前はかなり緊張した様子だった。しかし、ライブが始まってしまえばさすがのひと言。ラストの「Like? or Love?」ではメンバー間の楽しそうなやりとりも見られ、画面の向こうの先輩(ファンの呼称)の声も聞こえてきそうな雰囲気だった。さらにラストには、7月25日の恵比寿ガーデンホールでのワンマンライブもサプライズで発表された。久々のライブ告知に、歓喜する先輩方も多かっただろう。

加茂さんとアスキーのスピーディー末岡、アフィリアから電脳部部長のユミ、TASCAMユーザーのセラが番組冒頭に登場。この企画のいきさつなどを説明したあと、いよいよライブスタート!

 ただ、当日の配信直前にネットワークトラブルが発生し、急遽スマホのLTE回線を使っての配信になってしまったことをお詫びしたい。楽しみにしていたユーザーは大変残念な思いをしただろう。しかし、マルチトラックレコーダーの強味で、Model 12内に音声データが録音されていたので、そちらを聞いていただきたい。これがただのミキサーだったら、関係者全員顔が真っ青になっていたところだ。

 また、当日は比較用としてライブ音源をほかのiPhoneでも録音していた。Model 12を使った配信と、iPhoneの内蔵マイクの音質の違いを比較してほしい。上記の動画の22分55秒頃~を抜き出したものだ。

 iPhoneで何も使わずに録音したこの音源は、ライブ全体の雰囲気を掴むにはいいのだが、やはりメンバー個々の歌声などを聴き分けるのは難しい。また、スピーカーからの音声をiPhoneのマイクで拾っているため、スピーカー位置によって音のバランスが悪くなってしまうのがネックだ。

ライブ配信の音質を振り返る!
アフィリアメンバーインタビュー

 ライブ配信後、録音した音声を純情のアフィリアメンバーに聴いてもらった。Model 12の利点として、配信中の音声をSDカードに最大12トラック録音できるという特徴がある。しかもその音声は、各チャンネルごとに操作できるので、たとえば、1番マイクの音声だけを聞く、2番3番マイクの2つの音だけを聴く、オケ音源を抜いた状態で聴く──といったさまざまな確認方法が可能だ。

 トラックごとのデータが残せるということは、トラックごとの音声データに手を加えたり、差し替えたりという本格的な音声編集が可能だということ。まさに、プロユースにも耐えうる仕様となっている。

SDカードを差し込めば録音ができる

Bluetoothは5.0に対応

 純情のアフィリアメンバーは、自分の歌声だけを聴き返したり、ほかメンバーの歌声をみんなで聴いたりと、かなり盛り上がりながらの振り返りとなった。その後、今回の配信ライブやライブ音声を聴き返しての感想をメンバーに聞いた。それぞれ、いい経験になったようだ。

寺坂ユミ

 普段、アフィリアはラッキー池田さんが振り付けをしてくれた激しいダンスを見せることが多く、こうやって歌をメインにすることがないので緊張しました。初めて歌声を届けられるライブができて楽しかったし、ライブが終わってからは、Model 12を使ってメンバーひとりずつの歌声を聴けたのが良かったですね!

渚カオリ

 アフィリアは歌やダンスをメインにしているグループって思われていないこともあるんですけど、今日は歌の部分をきちんと伝えられてよかったです。ほんとに、いまの9人のメンバーは歴代でいちばん歌がうまいメンバーが揃っていると思うんです。TASCAMさんのおかげで、それが証明できたんじゃないかなって思います!

東城アミナ

 音にこだわったライブは初めてだったのでそれが新鮮でしたし、あとで聴かせてもらった音も普段のライブと違ってびっくりしました。これまでは、音楽は聴くことができればいいやって思ってたんですけど、こんなにも違うんだ! って……。耳に心地いいし、幸せな音で驚きました。

葉山カナ

 いつも激しく踊りながら歌っているんですけど、今日は落ち着いて気持ちを歌に載せることができたので、気持ちよく歌えたし、高音質のおかげで先輩方にも伝わったと思います。純情のアフィリアは歌がうまい子が多いので、この配信を通して伝わったらいいなって思っています!

桜田アンナ

 これまで音楽を聴くイヤホンなどにこだわりはなくて、音の違いはわからなかったんですけど、録音したライブの音源を聴いたら「機材でこんなに変わるんだ!」って驚きました。久々の9人でのライブで、音もよくて、またやりたいなって思いました。すごく楽しかったです!

望月ミイミ

 配信ライブの音源をModel 12を使って、「自分の声だけ」とか「オケを切ってみて」とかいろいろと聴き比べてみたんですけど、アイドルになってからこれまでそういう機会が一度もなかったので、すごい新鮮だったし勉強にもなりました。14年ピアノを習っていたので、外れている音が気持ち悪く感じるんですよ。高音質だとそういうところが目立ってしまうので、この機材ごと手に入れて、自分でズレを確認したいです!

雨森セラ

 Model 12があれば、自宅でカラオケ配信などもできるんですよね? そういう使い方をしたいなって思いました。私はもともとTASCAMユーザー(US-144MKII)なんですけど、レコーディング前にコーラスの予習で使っていたりします。コーラスを実際に歌って取り込んで確認するんです。それもあんまり使いこなせてないんですけど……。歌の配信で使えるならModel 12は魅力的ですね。

優希クロエ

 久しぶりのライブだったし、これまで歌をメインにすることがなかったので、新しくて楽しかったです。あと、あらためてメンバーひとりひとりの声をピックアップして聴けたりできるので、「自分はこういう声で歌ってるんだ」って新しい発見でした。ほんとに音がきれいで、ベールちゃんのソロパートとか、吐息がわかるくらい聴こえたので感動しました!

夏目ベール

 それぞれの声をピックアップできるってことは、楽器をつないだらそれもそれぞれで聴けるんですよね? そしたら楽しみ方が無限にあるなと思いました。私はこれからピアノかギターをやろうと思っているので、楽器を使う人にも便利かなって……。エフェクトもかけられるし、直接スマホにつなげられるし、家で配信をしたいので、ホントにほしくなりました(笑)。

スマホでの配信はもちろん
ミキサーとしての用途に注目

 今回の配信で、Model 12とiPhoneを直接つなぐことで、ミニマムな環境での高音質な動画配信が可能だとわかった。配信先であるYouTube Liveもそうなのだが、スマホからの配信の場合は音声はモノラルとなる。モノラルでも高音質を実現できるのは、ミキサーであるModel 12の最大の特徴だ。

 また、スマホ配信用の機器以外の使い方にも注目したい。マイクをつないでポッドキャストを制作する、各種楽器をつないでオーディオインターフェースとして利用する、カフェスペースなどでの小編成なライブ用のミキサーとして活用する、といったこともできる。カフェや会議室など、PAがない場所でイベントを実施するときにも実力を発揮してくれる。しかも、入力した音源をModel 12で直接録音して、あとで再生することも可能。

 「デジタルマルチトラックレコーダー」と聞くと、複雑で難しそう──というイメージがあるが、Model 12は使いたい機能を絞り込んで手軽に扱えるようにした、ライトユーザーからプロユースまで幅広く対応する機器と言える。

 「音」に関する何かをやってみたいなら、迷わずチェックするべき製品だ。

PR:TASCAM

純情のアフィリア Information

【イベント情報】
●ワンマンライブ開催決定!
純情のアフィリア ワンマンライブ
君と9人のエトランジェ ~プロローグ

【日程】7月25日(土)
【会場】恵比寿ガーデンホール
【時間】
(昼)開場13:00/開演13:30
(夜)開場17:30/開演18:00
【詳細】http://stand-up-project.jp/schedule/16582

●純情のアフィリア ライブ出演情報
MIRAI系アイドルTV 主催ライブ #05
【日程】 2020年7月26日(日)
【会場】恵比寿ガーデンホール
【詳細】http://stand-up-project.jp/schedule/16562

★リリース情報★
5thシングル「Like?or Love?/究極アンバランス」発売

【収録楽曲】 「Like?or Love?」
「究極アンバランス!」
(TVアニメ「痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。」OPテーマ)
「Lotus Land -桃源郷-」
発売元:Stand-UP! Records
販売元:MAGES.

★出演情報★

【テレビ】
「MIRAI系アイドルTV」 MC:品川庄司
TOKYO-MX:毎週水曜深夜26:05~、サンテレビ:毎週土曜深夜25:00~

【ラジオ】
「アフィリア魔法学院放送部」
文化放送超A&G+:毎週土曜12:30~

【インターネット番組】
「木曜からゲッチャ」
(アシスタント:カオリ、カナ、ユミ)


 

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