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糖尿病の家族ぐるみ予防・闘病法、うちの夫は咳と疲れやすさが予兆だった

2020年06月07日 06時00分更新

文● 角南 丈(ダイヤモンド・オンライン

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miya227/gettyimages

糖尿病は世間の認知度が高い病気だが、「病名は聞いたことがあるけれど、実はよく知らない…」という人は意外に多い。糖尿病は自覚症状が表れにくく、気付いたら発症していたというケースも珍しくない。そのため、ある日突然医師から宣告され、「まさか自分が…」と嘆く暇もなく、そこで初めて糖尿病が“不治の病”であることを知る人も多いのだ。糖尿病の予防や闘病生活が成功するかどうかは、家族がどれだけフォローできるかにかかっているという。(清談社 角南 丈)

患者数は約329万人
心臓病や失明のリスクも

 日本には328万9000人の糖尿病患者がいるといわれている。さらに、糖尿病が強く疑われる人や血糖値が高めな糖尿病予備軍を含めると、2000万人にも上るといわれている(厚生労働省の平成28年「国民健康・栄養調査」より)。糖尿病とは平たく言えば、インスリンがうまく働かずに慢性的に血糖値が高い状態が続く“不治の病”だ。一度発症してしまうと完治することはなく、進行を抑えるしか手立てはない。血糖値が高い状態が続くと合併症を患ってしまい、最悪「腎不全」「心臓病」「足の切断」「失明」などに至る。

 新型コロナウイルスとの関連でいえば、世界保健機関(WHO)が中国を調査した結果、糖尿病患者の致死率は9.23%で心疾患(13.2%)に次ぐ高さだったという。それだけ重症化するリスクが高い病気なのだ。

 糖尿病には1型と2型があり、日本人では糖尿病の90%を後者が占めている。1型は、突発的にインスリンの動きが悪くなってしまう病気。発症する原因はまだはっきりしておらず、生涯にわたってインスリン自己注射やインスリンポンプの治療を続けなければならない。一方で、2型の場合は生活習慣や遺伝、ストレスなどが原因で発症するといわれている。食事や運動など生活習慣の見直し、薬物療法が主な治療法だ。

 糖尿病は無自覚のまま進行し、気付いた時には手遅れ…というケースも多い。そのため、同居する家族がどれだけ予備軍の人の兆候に気付いてあげられるかどうかが重要だ。

 そこで、月間最高200万PVを誇る絵日記ブログ『うちの夫が糖尿病になっちゃった!』を運営し、ヒット中のコミックエッセー『うちの夫が糖尿病になっちゃった! ズボラ夫が血糖値を下げた方法』(日本実業出版社)の著者であるマルコさんに話を聞いた。なお、文中の医学的な説明の多くは、同書からの引用である。

妻が振り返る
夫の兆候とは

 現在、マルコさんの夫の年齢は42歳。IT系のフリーランスとして家でデスクワークをしている。

 マルコさんが最初に夫の不調に気付いたのは4年前。症状は「せき」からだった。

「ある日、夫が謎のせきをゴホゴホし始めて、最初は風邪だと思っていました。でも、夫は重度の面倒くさがりで人混みが苦手なため、なかなか病院に行きたがりませんでした。そんな状態が1カ月ちょっと続いたある日、夫のせきに血が混じっていたんです」

 すぐさま病院に行き、医師から告げられた病名は「2型糖尿病」。空腹時血糖値は312、ヘモグロビンA1C(過去1~2カ月の血糖の平均値)が11.2もあった。すでに糖尿病が悪化していて、頸動脈の血管の中に動脈硬化が見つかり、脳梗塞を引き起こす可能性がある状態だった。

 マルコさんは当時の夫を振り返ってみて、糖尿病の兆候は多くあったという。

「よく喉が渇いたといっては飲み物を飲んで、頻繁にトイレに行っての繰り返し。手足のしびれや抜け毛などもありました。また、元々夫は外に出かけるタイプではなく、自宅でテレビを見ながらゴロゴロするのが好きな人でしたが、どんどん疲れやすく(虚弱体質に)なっていき、何かあるごとにすぐ横になっていました」

 糖尿病の初期症状は人によってさまざまで、ほかにも体のかゆみや目のかすみ、頻尿などもある。

予備軍からの悪化は
あっという間

 マルコさんの夫はフリーランスだったため、健康診断を受けていなかった。糖尿病と診断される前、最後に健康診断を受けたのは当時から3年ほど前だったが、そのときすでに予備軍と診断されていたにもかかわらず、ずっと放置していたのだ。

「サラリーマンは毎年、会社で健康診断を受けるでしょうが、フリーランスは自分で行くしかありません。夫の場合、面倒くさがりということもあり、3年もの間行く気になれなかったようで、傍にいた私の認識も甘かったと思っています。入院費を全部で10万円ぐらい自己負担したことを考えると、毎年1万円で健康診断を受けておいたほうが経済的にも楽でしたね」

 今でこそ自身のブログで糖尿病の情報を発信するマルコさんだが、当時はまったく病気について知らなかったという。

「医師に診断されるまでは、糖尿病は肥満の人がなる病気だと思っていました。夫は痩せ形で、お菓子やジュースなどはそこまで摂取しておらず、お酒も毎日家で缶チューハイを1本飲む程度でしたからね。でも、ラーメンやどんぶりなど炭水化物が好きで、タバコを20〜30代前半の10年間吸っていた時期も。また、仕事がハードワークだったため、睡眠時間が3〜4時間という日もあり、それに加えて運動不足。そうした生活習慣のせいで夫が糖尿病になってしまったことを後々になって知りました」

 中には、「病気が見つかりそうで怖いから健康診断に行かない」「心当たりがありそうで怖いから病気について調べようともしない」という人もいるだろう。しかし糖尿病の場合、一度発症してしまえば最後、その後どれだけ過去の食習慣や生活習慣を悔やもうとも時すでに遅しなのだ。

家族一丸となって
ユルい闘病生活を

 万が一、糖尿病になってしまったとしても、過度に悲観する必要はない。上手に付き合っていくために必要なのは、適度なユルさと周囲の協力だ。マルコさんの夫は糖尿病と診断されてから4年がたったが、現在も元気に暮らしている。それは妻・マルコさんの献身的な支えによるところが大きい。

「小松菜やホウレン草、オクラなど、血糖をコントロールする食材をおいしく料理するのはもちろんのことですが、それに加えて朝食をしっかり食べる、ご飯のときは野菜から食べるといった食習慣を徹底させるようにしました。こういう簡単にできることを続けていけば、それがいつか習慣になり、無理なく続けていくことができます」

 ずぼらな性格をいきなり正そうとすると、かえって反動が出てしまうこともある。自分ができる範囲で食生活を変えていくことが大切なのだ。

「レトルトのおかずやコンビニで買ったサラダでもいいので、とにかく野菜を食べることを習慣化させる。別に外食したって構いません。ファミレスや居酒屋などは一品料理も豊富にあるため、栄養のバランスを考えながらメニューを選び、野菜も頼めばOKです。ちなみに、お酒もハイボールや焼酎などほぼ糖質ゼロのお酒を選べば、そこまで心配する必要もありません(ただし、飲みすぎには注意。適量を…)。糖質に関心を持つようになれば、料理や飲み物の糖質量にも自然と目がいくようになるでしょう。そうした親の背中を見た子どもたちも野菜を積極的に食べるようになり、風邪をひいたり病気にかかったりすることもグンと減りました」

 運動も同じだ。それまで運動する習慣のなかった人が、いきなりトレーニングジムに通っても続かないもの。マルコさんは、夫が自宅でもできるような簡単な運動法を独自に調べていろいろ勧めたという。

「ストレッチやスクワットなど、家でテレビを見ながらでも簡単にできる運動を、食後に取り入れました。今は子どもと一緒にNHKのテレビ体操をするのが習慣になっています。特にこの時期は新型コロナの影響で外に出られないので、室内運動するにはうってつけです」

 食事にせよ運動にせよ、大事なのは無理せず持続させること。それが達成できるかは、家族の協力にかかっているのだ。

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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