佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第26回
AudioFlingerについて解説
なぜ、Androidでは「Amazon Music HD」がハイレゾ再生にならないのか?
2020年06月01日 13時00分更新
Androidと音楽出力の制限
既報の通り、ソニーのウォークマン「NW-ZX500」シリーズと「NW-A100」シリーズがファームウェアアップデートにより、「Amazon Music HD」のハイレゾ再生に対応した。
従来は「W. ミュージック」を使用して再生する場合はPCMで最大384kHz/32bitの再生が可能だったが、「Amazon Music」のような他社のストリーミング再生用アプリの場合には、仮にAmazon Music HDに契約していても、最大48kHz/16bitの品質に落として再生されていた。
実はこれ、ハイレゾ再生が可能なAndroid搭載デジタルオーディオプレーヤー(DAP)でも事情は同じだ。これはなぜかというと、Androidの音楽再生の仕組みに関係がある。
一度Androidを捨て、またAndroidに返ってきたウォークマン
その前に簡単に「ハイレゾ対応ウォークマンが、どんなOSを搭載してきたか」の変遷を辿ってみよう。S-Master HXを搭載したソニー製ハイレゾDAPの嚆矢とも言える「NW-ZX1」(2014年)は、Androidを搭載していたが、これが「NW-WM1」(2016年)あたりの機種から独自OSに変わった。それが昨年の「NW-ZX500」「NW-A100」で、またAndroidに戻っている。
これはどういうことだろう。Androidにした方が、「Spotify」を始めとした多様なアプリをインストールすることが可能で、ストリーミング時代に適しているからだ。
ただしAndroidは重いので、音質的には不利になってしまう。高音質を志向していた「NW-WM1」では、他社デジタルオーディオプレーヤー(DAP)との性能競争もあって、いったんAndroidを捨てたのだが、最近の音源はストリーミング中心となってきたので、やはりAndroidに戻したのだろう。
しかしながら、Androidを使う限りはAndroid OSの制限を受けてしまう。それが最大48kHz/16bitの出力制限だ。これは以前に、Windowsの「WASAPI排他モード」の解説で書いたことにも似ている。

この連載の記事
- 第123回 Pixel Buds Proが登場、Android 13のオーディオ機能はどう変わる?
- 第122回 iPodがついに終焉、ウォークマンとの対比でそのインパクトを思い出す
- 第121回 Sonosが独自のボイスアシスタント機能を開発中? 米国で報道
- 第120回 ヘッドフォン祭 miniで見つけた気になる新製品(佐々木喜洋)
- 第119回 開放型、骨伝導、再認識されつつある外の音が聞けるイヤホン
- 第118回 Apple Musicのクラシック音楽専用の再生アプリが登場⁉
- 第117回 第3世代AirPods、空間オーディオの付加価値はユーザーに刺さっていない?
- 第116回 アップルが高指向性スピーカーの特許を申請、自分だけに音が聞こえ、空間オーディオとも相性がいい?
- 第115回 2021年米国で久しぶりのCD売上増加、物理回帰の流れは進む? RIAA発表
- 第114回 日本限定のハイレゾ再生ソフト「Audirvana 本」、一瞬「?」なネーミング
- 第113回 アメリカのヘッドホンイベント「CanJam」がニューヨークでリアル開催
- この連載の一覧へ