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コロナ後に中小企業が変われるチャンス、「SDGs」の取り組み事例

2020年05月22日 06時00分更新

文● 村尾隆介(ダイヤモンド・オンライン

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「立食パーティー」ではない新しいイベントスタイルに挑戦すると… Photo:PIXTA

近年、海外企業を中心に積極的に取り組まれているSDGs(持続可能な開発目標)。SDGsは、2016年に国連がスタートさせた「世界をより良くする17の目標」です。いま、新型コロナウイルスの影響により、世界中で働き方や健康福祉、資源の見直しが余儀なくされていますが、SDGsに含まれる17の目標は、アフターコロナを生きていくための課題にもつながる内容です。そこで今回は、『今日からできる!小さな会社のSDGs』(青春出版社)から、中小企業でもSDGsに取り組めるヒントについて事例を交えて紹介します。

「SDGsへの取り組み=企業のブランディング」につながる!

 中小企業の多くは、「価格ではなく、価値で選ばれたい」と願っていると思います。しかし、価格競争の連続はスタッフの疲弊につながるし、利益なき戦いの日々は経営者にとって不安以外の何物でもありません。

 一方で、企業自体の印象がよく、企業自体に“お客さま以上のファン”と呼べるような存在がたくさんいる会社は、他社に比べてちょっと値段が高くてもプライスレスな支持を集めます。

 こういった“社会モテ”している企業は「この会社で働きたい」と、未来の優秀なスタッフも勝手に集まってくる利点もあります(特にミレニアル世代─およそ1981年~96年生まれ─は、環境や社会問題への意識が高いという特徴があります)。

 脱・価格競争のためや、人材獲得競争の作戦としてSDGsに取り組むのはどうかと思いますが、「小さくてもキラリと光り社会から愛される会社になるために、SDGsに取り組む」と考えても決して間違いではありません。

中小企業のほうがSDGsに取り組みやすい理由とは?

 ブランディングもそうですが、何をするにせよ規模的な観点から中小企業の方が大企業に比べ、よりスピーディに取り掛かることに長けているはずです。

 SDGsについても、規模のメリットを活かしてサクッと前進するのが中小企業としてはスマート。そのためには、まず「アクションを1本(もしくは数本)に絞る」がいいかもしれません。やみくもに手をつけると、「あの企業は何に社会課題を感じているのか?」と、周囲からの見え方がボヤける恐れがあります。ワンテーマに絞ったほうが、取り組みから実施・実績・結果までのスピードもあがるし、社内の意識も統一しやすいと思います。

 たとえば、「うちは水産業なので14番目の『海の豊かさを守ろう』でいく」と決めれば、社員もアイデアを出しやすく、また動きやすい。まわりへも、「なるほど、あの会社はやはり海に対して意識が高いな」と明確な企業の姿勢を発信できます。人・モノ・お金といったリソースも一点に集中して使えるので、アクションの実現可能性も高まる、というわけです。

 ポイントは取り組む項目の数も、その内容も「やみくもではないこと」。数ある項目の中から、その一本に絞るに至ったストーリーがあると、より中小企業らしい取り組みに映ると思います。

「フードロス」を減らすために企業ができることとは

 それでは実際にどうSDGsに取り組めばよいのでしょうか。たとえば、SDGs2番目の目標は「飢餓をゼロに」について。現在、飢餓に苦しむ人々は約8億人。9人にひとりが十分な食事を摂ることができず、栄養失調で体を壊したり、餓死と隣り合わせにいます。

 一方で近年、問題視されているのが「フードロス」。仕事柄、私は中小企業の懇親会や社員イベントをプロデュースすることが多いのですが、気になるのは常に食べ残しです。食べられるのに捨てられる食品は年間643万トン。日本の国民ひとりあたり、それは年間51キロ分にもなります。

 そこで、こういったフードロスを減らすために中小企業ができることについて、実際の事例を交えながら紹介します。

「立食パーティー」ではない新しいイベントスタイルに挑戦

 全国でたくさんの会社のイベントをプランし、当日も実行する立場にある私は近年、会場である結婚式場やホテルと交渉し、ほとんど立食のスタイルをやめています。

 今は多くの場合、各人がテーブルに着座してのコース料理形式。かといって、ずっと同じ場所に座っていても懇親になりませんので、デザートやドリンク、もしくはローストビーフのようなものは立って取りに行くというスタイルを織り交ぜています。

 会場側はビュッフェスタイルの方がラクなので、コストアップ要因になる可能性もありますが、「前菜的なものは各人にワンプレートで。炭水化物系だけはビュッフェ形式に」など、真ん中で折り合うように交渉します。

 さらに、華やかさやサプライズを加えるために、(私は「ハリーポッタースタイル」と呼んでいますが)、会場の端から端まで届くようにセッティングした長テーブルにキャンドル等の演出で、あの映画のシーンを彷彿とさせるイベントにします。

「フードウェイストを極力ゼロに、華はアイデアでカバーする」これが私のモットーです。

日々の食事の中でできる「飢餓ゼロ」への取り組み

〈テーブル・フォー・ツー〉に関わるのも、飢餓に貢献するひとつの方法です。たとえば〈テーブル・フォー・ツー〉と提携している〈MUJI(無印良品)〉のカフェで食事をすると、手のひら大のカードがレジ横に置いてあることに気づきます。このカードを取って食事の支払いをすると、自動的に20円が加算されるのですが、それはアフリカの子どもたちの給食一食分になります。つまり、あなたは自分のランチと同時にアフリカの子どもにご馳走してあげていることになるのです。

 とても素敵な仕組みで、私も〈テーブル・フォー・ツー〉と提携している飲食店で食事をする際は、必ず支払うようにしています。そういったお店の情報については、ぜひ下記サイトをご覧ください。
https://jp.tablefor2.org/

 ここまでは個人としての支援の話ですが、「これは会社として関わりたい」と思ったら、社員食堂でも同じ仕組みを取り入れられます。でも、その場合は「社員食堂で、あなたの社員がヘルシーメニューのランチを食べる際に、その代金のうち20円がアフリカへ」という条件付きです。ヘルシーといえないメニューを選んだら、アフリカの子どもたちの救いにはなりません。

 これはNPOである〈テーブル・フォー・ツー〉のポリシーです。「普段の“たっぷりカロリー”のランチをやめ、どうかカロリー控えめな食事の選択を。そこで出た“カロリーの差”でアフリカの子どもたちのお腹を満たします」ということで、単に飢餓に手を差し伸べるだけではなく、同時に日本人の健康にも配慮しているのです。

 また〈テーブル・フォー・ツー〉では会社に設置するソフトドリンクの自動販売機の用意もあります。お茶やジュースを買うたびに、売上の一部がアフリカの給食費として寄付されるというもの。社員食堂がないという会社は、ぜひこちらを検討してみてはいかがでしょうか。

>>次回は5月27日(水)に公開予定です。

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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