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ステイホーム中の「10分読書」習慣が、あなたの仕事も心も救う理由

2020年05月20日 06時00分更新

文● 藤野ゆり(ダイヤモンド・オンライン

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Photo:PIXTA

新型コロナウイルス禍で“お家時間”が見直されている。買ったままになっている「積ん読」に挑戦したいと思っている人もいることだろう。時間がある今だからこそ、あらためて「読書」がもたらすメリットについて専門家に聞いてみた。(清談社 藤野ゆり)

「読書」で人生が好転する理由

 小説でも電子書籍でもマンガでも、読書は人生を豊かにしてくれる楽しみの一つ。読書といえば知的な印象もあり、好感度も高い趣味といえる。人からの印象がいいのはもちろん、読書がわれわれにもたらすメリットは少なくない。

「読書は知識やノウハウを学べるのはもちろん、自分とは違う価値観や人生経験に触れることができ、思考の幅が広がります。家庭内不和や各種ハラスメント、ネットの炎上、社内のすれ違い、取引先との齟齬(そご)。こうしたもめ事の陰には相手の立場や事情を想像せず、『○○するのが当たり前』と自分の常識を押し付ける人が存在します。本の世界でさまざまなキャラクターや考え方と出合うと、想像の前提となる土壌が豊かになり、トラブルを防ぐことができるのです」

 そう話すのは『明日の自分が確実に変わる 10分読書』(集英社)の著者で国語講師の吉田裕子さんだ。想像力の欠如はトラブルの種につながる。読書には日々のコミュニケーションを円滑にする作用があるのだ。

「語彙力の引き出しという意味でも、読書は大きいです。特別に難解な本でなくても、書き言葉は一般に話し言葉よりも硬質な言葉を使うもの。だからこそ本を読むと知性や教養を感じさせる語彙力が身に付くのです」

 吉田さん自身も読書で「人生が変わった」と感じている一人だ。昔から本好きだったという吉田さんは読書によって培われた集中力や語彙力によって、塾に通わず独学で東京大学に合格、学科首席で卒業したという華々しい経歴を持つ。

「読書ができる」=「独学できる」力につながる、と吉田さんは話す。

「資格取得や社会人大学院などを考えている人は、特に読書習慣をつけてほしいです。一人で本から学べれば時間や場所に縛られず、費用も対面のセミナーと比べて10分の1程度で済みます」

 コロナ禍により先行きが不透明な状況が続いている。しかし本の力は、こうした状況においても発揮される。本を読む力を鍛えておけばどのような状況下でも独学で学び続け、成長することができるのだ。今こそ『ひとり時間』を豊かに過ごすことができる読書の意義は大きいという。

「次々飛び込むニュースに心が不安定になったときはテレビやスマートフォンから離れ、本の世界に没入することで精神的に救われることがあります。時間や場所の制約がない読書は、コロナ禍という非常事態においても学びと感動を与えてくれます」

自分に合った「本の見つけかた」と
「読書習慣の定着法」とは?

 とはいえ、本を読む習慣がない人は「まず何から読んだらいいのか分からない」という壁にぶち当たることが多い。選書の際は、表紙やタイトルを見て「自分の心が動いたかどうかが大事」だという。

「表紙やタイトル、帯の文句などでピンと来るものが今のあなたに必要な本。近年はタイトルで内容が分かるものが多いので、今の自分の悩みにピンポイントでハマる本を見つけやすいと思います。外出しづらい状況下では本の取次会社である日販やトーハンが発表しているランキング、選書サイトなどでたくさんの本を見て回ることがオススメ。古典的名著でもベストセラーでも、表紙を見たり試し読みをしたりして、ピンと来なければやめておきましょう。時間は貴重です。苦行のように無理して読むことはありません」

 ピンとくる本を見つけることが第一ステップだとしたら、選んだ本を「積ん読」にせず、読書を習慣化するためにはどんな工夫をすればよいのか。

「読書が続かない人は、無意識のうちにハードルが高くなっているのだと思います。ひとまず読書の物理的ハードルを下げるために、リビングや寝室、カバン、職場の棚、お風呂読書用に脱衣所など、手の届くところに本がある状態をつくりましょう。私はSNSやニュースアプリをわざとアクセスしにくい階層に移動し、Kindleをすぐ起動できて目に付くホーム画面に配置したことで移動時間・隙間時間の読書率が上がりました」

 精神的ハードルを下げる意味では、本の定義にこだわらないことも重要だ。「名著を読まなくては!」と最初に力むと、三日坊主になりがち。

「マンガにエッセー、雑誌、疲れたときに軽く読める本など読書のバリエーションを広く持つことで、トータルでの本を読む習慣や時間をキープできます」

親が読書好きであれば
子どもも読書が好きになる

 吉田さんは「読書」へのハードルを下げるために「10分読書」を推奨している。

「10分でも毎日続ければ1カ月で300分。5時間あれば大抵の本は1冊読み終われます。1年で12冊。毎日10分間でも習慣化すればそれだけの本が読めるわけです。そうして読了した本が増えていくと達成感や自信が生まれ、徐々に読書時間が延びていきます」

 たかが10分と侮るなかれ、とにかくページをめくることが読書家の第一歩なのだ。そもそも「10分読書」は、子どもたちに読書習慣をつけるため教育現場で「朝の10分読書」などとして採用されているものだ。では、大人だけでなく、子どもを読書好きにするために親としてできることはあるのだろうか。

「まず、『子どもを読書好きに“する”』と考えないほうがよいです。読書好きにしようと本を押し付けると、逆に本嫌いになることがあります。一般的に親がスマホでゲームをしている横で、子どもが本を読んでいるという状況は起こりにくいもの。親の読書する姿をまねし、子どもも読書を始めるのです。慣れないうちは、『今から全員20分間しゃべらずに本を読んでみよう!』などとゲーム的要素を出すのもよいと思います」

 自宅で過ごす時間が増えた今、家族みんなで意識的に読書時間を設けて過ごすのもいいかもしれない。幼い子どもは特に親のまねをしたがる。親自身が本と触れ合っている姿を見れば、子どもも自然と本を手に取る確率が上がっていくだろう。

「大事なのは、何を読むべきか親が口出ししないこと。子どもに自由に本を選ばせましょう。私の読書感想文講座では、自分で選んだ本を持ってきた子は大抵どこが面白かったかをいきいきと話しますが、課題図書を選んだ子はつまらなそうなんです」

 大人も子どもも、まずは「本の面白さ」を感じるところから読書習慣は始まるのだ。

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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