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この春、大きく変わった薬局!便利でお得な活用術とは?

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「持っていない」と損をする!
かかりつけ薬局で得すること

患者にタブレットを見せながらコミュニケーションができる電子薬歴システムMusubi。全国の薬局から問い合わせが相次いでいる 写真提供:Musubi

 みなさんは「かかりつけ薬局」を持っているだろうか。かかりつけの病院はあっても、薬局はない方が多いのでは?

 かく言う筆者もかかりつけ薬局は持っていない。病院で処方箋をもらったら、その病院の近くにある薬局で薬を出してもらう。それで終わりだった。

 これは、非常にもったいない。近所の親切な薬局、丁寧に相談に乗ってくれる薬局。そんなところをかかりつけに持った方が実は、お得になるのだ。

 例えば、1カ所の薬局へ複数医療機関の処方箋を同時に出すと、2つ目の医療機関以降最大で25円ずつ安くなる(調剤基本料1の薬局、自己負担割合3割の場合)。同じ薬局に3カ月以内に処方箋を持っていくと、3カ月超経過してから持参した場合と比較して、1回あたりの管理指導料が最大で42円安くなる(お薬手帳持参、自己負担割合3割の場合)。

 費用が安くなるだけでなく、かかりつけの薬局があると、健康面でもメリットが大きい。薬剤師が服薬履歴や体調の変化を把握してくれるので、何かあったときに気軽に相談ができる。加えて生活面のアドバイスをしてくれるため、健康を維持しやすい。

 心強いアドバイザーである薬剤師。この4月の診療報酬の改定によって、薬剤師が活躍するフィールドがさらに広がったのはご存じだろうか。

診療報酬の改定、電子システム導入
薬剤師と患者のコミュニケーションが変わる

 まずは情報面。薬剤師は病院のカルテを見ることができなかったため、これまでは患者のお薬手帳から病状を推察しなければならなかった。しかし改定後、病院からの情報提供にインセンティブが付与されたことで、薬剤師が患者の状態を把握しやすくなった。また、抗がん剤治療や糖尿病などのリスクが高い患者に対しては、しっかりとフォローして状態を見守ることも強化された。要するに、薬剤師は患者とのコミュニケーション(対人業務)をより深めていくことが求められるようになったのである。

 しかし現実には、薬剤師が対人業務に時間を取りにくい状態にある。

 実は薬剤師の仕事は激務と言っていい。あまり知られてないが、患者が記入した問診表や服薬履歴を、その都度カルテに記録しなければならない。他にも、医師が出した処方箋が正しいかどうかを判断し、疑わしい点がある場合は医師に問い合わせる必要もある。これを「疑義照会」といい、疑問が生じた場合は医師に電話やFAXで確認しなければならない。調剤薬局は全国に約6万店あるが、年間2000万件を超す疑義照会が発生している。薬剤師は多大な時間を取られている状態だ。

 こういった薬剤師の業務負担を軽減しようと開発されたシステムがある。電子薬歴システムMusubi(ムスビ)だ。

薬剤師のための電子薬歴システム
Musubiとは?

 このシステムがどのように業務負担を軽減するか紹介しよう。

 まず、今まで患者対応とは切り離して行っていた、薬歴記入の手間が軽減される。店頭で患者に服薬指導をしながら、その場でタブレットPCをタップすれば、下書きが自動で作成されるのだ。患者と会話しながら薬歴をほぼ完成させることができる。一度入力すれば、患者一人ひとりの疾患、服薬中の薬、過去の服薬歴、生活状態が記録されるので、それらに応じた適切な指導を自動で提案できる仕組みになっている。従来の電子薬歴システムと違い、患者にタブレットを見せながらコミュニケーションも図れるため、患者が理解しやすくなっている。

大阪の新千里薬局はMusubiを導入して以来、薬歴記録の時間が大幅に減少。丁寧な服薬指導ができるようになり、患者から喜ばれている 写真提供:新千里薬局

 大阪の千里ニュータウンで50年前から地域の健康を支えてきた「新千里薬局」はMusubiを導入した店舗のひとつだ。

「紙で管理していたときは薬歴がたまってしまい、店を閉めた後に数時間かけて仕上げることが多くありました。でもMusubiを導入してからは、書いた薬歴を他のスタッフにチェックしてもらう必要がなくなり、手間や時間が減りました。画面をお見せしながらの服薬指導は、『新しいやり方で良くなった』と、患者さんから喜んでもらえることが多いです」と導入の効果を話してくれた。

大阪・豊中市で4店舗を経営する「グリーンメディック」も変化を話す。

「以前は午前診と午後診の合間が『薬歴を記録する時間』になっていたのですが、Musubiが来てから180度変わりました。調剤をしたり、新人研修を入れたり、スタッフミーティングを行ったりしています。薬剤師としてのスキルアップやチームのコミュニケーションに時間を使えるようになりました」

薬剤師は「薬を調剤してくれる存在」から
「健康に関するトレーナー」に

 このMusubiを発案したのは、32歳の若き起業家である中尾豊さん(株式会社カケハシ代表取締役)。大手製薬会社でMR(医療情報担当者)として勤務した後、独立して起業し、他の社員と共にシステム開発に取り組んできた。

「MRとして勤務する中で、患者さんへの情報提供が不十分だと感じることが多々ありました。その第一歩として、薬剤師の業務負担を減らし、患者さんともっとコミュニケーションを図れる方法はないかと考えたのです。日本には今31万人以上の薬剤師がいますが、薬歴記録などの対物作業に時間を取られ、薬剤師本来の『服薬を通して健康指導を行う』時間が取れていません。この状況を改善するために、Musubiを開発したのです。これまでも薬歴システムはありましたが、患者さんとのコミュニケーションという付加価値を付けているところに、Musubiの特長があります」(中尾さん、以下同)

 中尾さんは起業までに400軒以上の薬局を回って丹念に業務をヒアリングしていった。その結果、業務オペレーションに不便さや、本来は薬剤師の仕事ではない雑務的な作業が数多くあったという。それらをITの力で解決していったのである。

「診療報酬の改定によって、これから薬剤師の役割は変わっていくでしょう。患者さん一人ひとりへのフォローアップが強化されることで、より丁寧な指導が期待できます。薬剤師は単に薬を調剤してくれる存在ではなく、健康に関するトレーナー的存在になっていくと思います」

 超高齢化社会に突入し、増え続ける一方の日本の医療費。この中には、飲み忘れなどで薬が余ってしまう「残薬」が年間500億円、医師の過剰処方で発生する費用が年間102億円というデータがある。薬剤師が適切な服薬指導をすることで、これらの無駄な費用を大幅に削減できるのである。薬剤師はこれからの医療のキーマンと言って過言ではない。

 現在、薬剤師を主役にしたテレビドラマも制作されている。薬局や薬剤師が注目され、その役割も大きく変わっていこうとしている。この機会に薬局とのつきあい方を再考してみてはいかがだろうか。

(吉田由紀子/5時から作家塾®)

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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