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新たなエディション「G Suite Essentials」も登場

無償化されたGoogle Meet、強みはインフラとセキュリティ

2020年05月01日 16時00分更新

文● 大河原克行 編集●大谷イビサ

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 Google Cloudは、ビデオ会議ソリューション「Google Meet」を5月上旬以降、無償で提供を開始すると発表するとともに、現在のGoogle Meetに関する利用状況などについて説明。さらに、新たなサービスとして、G Suite Essentialsの提供を開始。2020年9月30日までは無料とすることを発表した。

エンタープライズ向けインフラ上で動くGoogle Meet、無償化を発表

 Google Meetの無償提供では、録画やライブストリーミングなどのGoogle Meetのプレミアム機能も、企業および教育向けを対象に、9月30日まで無償で使用できるようにしたほか、個人向けでは60分間の利用時間制限としていたものを、9月30日までは24時間にまで制限時間を拡大。会議ごとに100人まで招待ができるようにした。また、ファイルビューや自動ライブキャプションも利用できるという。

 同社では、「企業や教育機関向けに提供しているのと同様に、スケジュール管理や画面共有、リアルタイムでの字幕表示(英語のみ)、タイル表示機能などの好みに応じた画面レイアウトといった機能が利用できるようになる。これにより、誰もが安全なコミュニケーションとコラボレーションツールを、より簡単に利用できるようになる」としている。

 無償で使用するには、所有しているGoogleアカウントを使用するか、新たにGoogleアカウントを登録する必要がある。

 一方、Google Meetの概要などについて説明したGoogle Cloud G Suiteスペシャリストの小林直史氏は、「Googleは10年前から、クラウドベースのビデオ会議ソリューションに投資をしてきた。世界各国に170以上のオフィスがあり、10万人以上の従業員をもつグローバル企業であるGoogleが、このような成長を遂げる上で、ビデオ会議ソリューションは重要なツールであり、効果的なコラボレーションを実現している」と説明。

Google Cloud G Suiteスペシャリスト 小林直史氏

 その上で、「ビデオ会議ソリューションのGoogle Hangoutsは、すべてのコンシューマが利用できるビデオ会議、チャットツールの先駆者としての役割を担ってきた一方で、2018年には、新たにエンタープライズグレードのインフラストラクチャ上に構築するGoogle Meetを発表した。Google Meetはビデオ会議にエンタープライズレベルのセキュリティと信頼性、管理性を実現しているのが特徴である。企業の運用管理者にとっても、効率的な運用、管理が行ないやすい。利用者もワンクリックもビデオ会議を設定し、参加できることを目指しており、負担がない形で利用できるようにしている」と述べた。

 Google Meet が含まれるG Suite の有料ユーザーは、全世界150カ国で600万社に達し、1億2000万人の教育関係者および学生がGoogle Meetを活用しているという。また、現在Google Meetは、一日30億分以上が使用されており、一日の会議参加者数は1億人を突破。そして、毎日300万人の新規ユーザーが増加している。Google Meetの1日の利用者数は、今年1月以降、30倍以上に増加しており、利用率は過去に例がないほど急拡大しているという。

現在Google Meetは、一日30億分以上が使用

 小林氏は、「新型コロナウイルスの感染拡大といった社会環境の変化において、テクノロジーが人々の生活を支えている。Google Meetは、ビジネスユーザーだけでなく、すべての人が無料で、安全で、信頼性が高いグローバルインフラストラクチャーの上で利用できるビデオ会議ソリューションであり、これだけ急速に利用者が増加しても、これまでのキャパシティのなかで運用できる。現在のピークへの対応とともに、将来のニーズにも対応できる設計になっており、迅速に柔軟性を持った拡張を行ないながら、高品質のパフォーマンスを提供していく」と述べた。

 Google Meetは、専用ハードウェアも用意しており、オフィスの会議室や自宅に設置することができる。また、Google MeetではメディアサーバーのIPアドレスを公開しており、G Suiteのトラフィックと分離することが可能であるため、社内ネットワークの混雑を緩和するといった運用もできるという。

Google Meetのセキュリティ対策と新エディション

 さらに、Google Meetのセキュリティ対策についても説明された。

 小林氏は、「Googleは、利用者の情報とプライバシーを守るために、設計段階からセキュリティを考慮したインフラストラクチャーを構築している。高度な保護機能プログラムであるAPP(Advanced Protection Program)に参加しているユーザーは、フィッシングサイトへ繰り返し誘導するアクセスに狙われても成功した事例はない。安全にアカウントを守ることができる。Google MeetのユーザーもAPPに登録することができ、アカウントを守りながら、ビデオ会議が利用できる。フィッシングやアカウントのなりすましなどに対して、強力な保護機能を提供できる」とした。

 Google Meetで利用されるデバイスとのやりとりはすべて暗号化されており、DTLS(Datagram Transport Layer Security)やSRTP(Secure Real-time Transport Protocol)など、IETF標準に準拠しており、すべての会議データは、送信される際にデフォルトで暗号化される。また、Googleドライブに保存されるGoogle Meetの録画および録音データも、デフォルトで保存時に暗号化される。

 また、ビデオ会議の安全性を保つために、Google Meetの会議コードが、25種類の10列の文字で構成され、100兆通りの複雑なものになっていることで、総当たり攻撃での推測を難しくしていること、組織外からの参加者に対しては、Googleカレンダーから招待されている場合や、組織内の会議参加者に招待されている場合にだけ参加できるようにしていること、組織外の参加者は主催者に参加を求め、それが許可されてから参加できるようになっていること、外部からの参加者は開始15分以上前には参加できないようにすることで、総当たり攻撃からのリスクを低減する狙いがあることなどを示した。

会議の安全性を担保

 そのほか、「主要なブラウザからは、プラグインなしでGoogle Meetを利用できるようにしており、これにより、Google Meetへの攻撃対象領域が制限され、利用者のPCに対して、セキュリティパッチを当てたり、アプリのアップデートを頻繁に行う必要がなくなる。また、二段階認証のオプションも提供。エンタープライズユーザー向けには、ドライブに保存された録画および録音データへのアクセス記録し、アクセスの透明性も実現している。

 さらに、独立した機関によるセキュリティ、プライバシー、コンプライウンス管理に関する監査を定期的に実施。Google Meetを含めて、Google Cloudは顧客データを広告に使用したり、これを第三者に販売することはない。GDPRなどのグローバルなプライバシー規則に準拠するために、インシデントに対応する厳格なプロセスを提供できる」などと述べた。

 一方、G Suiteの新たなエディションとして、「G Suite Essentials」を発表した。

Google MeetとG Suiteの違い

 企業のチーム内で利用することを想定した製品で、ビデオ会議やファイル共有のニーズに対応しているという。製品は、Google Meetのほか、Googleドライブ、ドキュメント、スプレッドシート、スライドなどが利用できる。2020年9月30日まで無償で提供する。

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