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仕事も休暇も旅先で、注目される「ワーケーション」のメリット

2020年04月23日 06時00分更新

文● 吉田由紀子(ダイヤモンド・オンライン

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2019年、労働基準法が改正され、年10日以上の有給休暇が付与される労働者には、5日以上取得させることが義務づけられた。多くの企業が働き方を見直す中、注目を集めているのが「ワーケーション」という新しい働き方だ。一体どのような働き方なのか?実際に導入している企業に取材した。

いま注目を集める新しい働き方、
ワーケーションとは

 ワーケーション(Workation)という言葉をご存じだろうか。これはWork(仕事)とVacation(休暇)を組み合わせた新語で、地方のリゾート地などへ出向いて、普段とは違う環境で仕事をする新しい働き方だ。仕事のかたわら、現地でスポーツやレジャーを行って休暇も楽しむこともできる。

地方のリゾート など、普段とは異なる環境で働くワーケーション。心身ともにリフレッシュができ、アイデアも湧いてくるという(北海道ニセコ町で撮影) 

 ワーケーションはテレワークの一種だが、目的は異なっている。テレワークの目的は、あくまでもオフィス勤務の代わりに自宅やサテライトオフィスなどで仕事をすることだ。

 一方、ワーケーションの目的は、「勤務時間と、勤務中ではない休暇を組み合わせる」ことだ。例えば、旅行中にある程度仕事を進めることができ、長期休暇から戻ってもブランクを感じずにすぐに通常業務を行えるため、長期休暇が取りやすくなる。家族や友人とどうしても旅行の予定が合わないという場合でも、ワーケーションを利用すれば旅行できる可能性が高まるなど、ワークライフバランスの実現にも役立つと考えられている。

 ワーケーションを取り入れた企業は、本当にメリットや効果を感じているのだろうか?すでに導入している企業に取材をした。

リフレッシュできて発想力が高まり
メンバー間の交流も深まる

 株式会社ワンストップビジネスセンターは、起業家や個人事業主を対象にしたバーチャルオフィスを運営する企業。全国各地に30拠点を構えており、WEBサイトの作成・管理、オフィスの営業・広報などを手掛けている。仕事は外部のフリーランサーとチームを組んで行っている。

「一緒に仕事をしているフリーランサーは居住地がバラバラです。そのため、チャットツールやスカイプ、LINEを使って打ち合わせや会議を行っているのですが、対面のコミュニケーションなら理解できることが、オンラインになると理解しづらい。それで、年に何度か実際に集まって作業をするようになり、どうせ集まるのなら、楽しいこともやりたいと考えて、ワーケーションを導入しました」(代表取締役・土本真也さん、以下同)

 ワーケーションという言葉が知られる以前から、同社は地方で合宿スタイルの共同作業を行ってきた。2017年8月、スキーリゾートで有名な北海道ニセコ町に滞在したのが始まりだ。拠点となったのは、ニセコ中央倉庫群という施設。かつて農産物の倉庫であった建物を再活用した交流施設で、テレワーク設備を完備。ニセコは町をあげてワーケーションを支援している自治体のひとつである。

「当社は札幌にカスタマーセンターがあるため、北海道へ行く機会が多かったのです。現地で、ニセコ町に新しい施設ができたと知り、試しに使ってみました。ニセコ中央倉庫群はJRの駅に近く、周辺には飲食店やカフェがたくさんあり、テレワークには最適な環境でした。夏のニセコは晴天でも30度を超えることはほとんどありません。日本とは思えないほど爽やかで湿度も低く、快適に作業ができました」

 この施設を1カ月借りて、WEBサイトのアイデアを考え、営業方法のブレストを行って作業を進めていったという。

「おかげでメンバー間のコミュニケーションが深まりました。実際に会って話すと、相手がどんな人物なのかを理解できます。東京のオフィスと違って自然の中ですので、リフレッシュできますし、普段は思いつかない発想が次々と湧いてきて、仕事面でも大いに効果がありました」

企画系の職種や
在宅メンバーが多い企業向き

 その後、2019年の夏から本格的にワーケーションを導入し、鹿児島県の大隅半島にある錦江町にも滞在。錦江町は廃校になった中学校を再活用して提供しており「錦江町お試しサテライトオフィス ~南国田舎ワーケーション体験~」という事業を行っている。

仕事が終われば、スポーツやレジャーを満喫できるのがワーケーションの魅力。錦江町ではリバーカヤックなどアウトドアスポーツを堪能した

「錦江町のワーケーションでは、PR戦略の見直しをテーマに行いました。メンバーとの対面会議、取引先とのWEB会議を集中的に行い、大きな成果を得ることができました。仕事後は、海岸で夕陽を見ながらのバーベキューや、SUP(スタンドアップパドルボード)やリバーカヤックなどの水上スポーツを楽しみました。都会ではできない体験を通して、メンバーとの交流が一層深まったと思います」

 ワーケーションには向く仕事と、そうでない仕事があると土本さんは話す。

「アイデアを出すといった企画系の職種には非常に向いています。また、当社のように在宅メンバーがいる企業にも、コミュニケーションが深まるといった効果があるので、お勧めです」

企業や自治体にもメリットが
移住促進効果にも期待

 近年ワーケーションを導入する企業は増えているが、それはさまざまなメリットがあるからだ。企業にとっては、社員の健康経営を促進することで、自社の魅力度アップにつながり、優秀な人材が採用しやすくなる。また、施設を提供する自治体は、空きオフィスを再活用することにより、空き家問題が解消できる。気に入ってもらえれば、移住を促進する効果もある。観光業界にとっても、これまで客足の鈍かった平日やシーズンオフの集客につながる。多彩な可能性を秘めている。

 こういった動きを見据えて、2019年11月には「ワーケーション自治体協議会(WAJ)」が設立された。北海道、長野県、沖縄県をはじめ、全国1道6県58市町村が加盟しており、ワーケーションに必要な設備を整えた施設を貸し出すなど、普及活動を展開している。

「バーチャルオフィスは、起業家や個人事業主に住所を貸して事務を代行するサービスですが、本質的には『働き方を変える』サポート事業だと考えています。いまはパソコンがあれば、場所にとらわれずに多くの仕事ができる時代になりました。毎日好きな場所で、好きな時間に働けることこそ、ビジネスパーソンが抱える『仕事のストレス』を解消する方法だと考えています。ですから率先してワーケーションを実践しているのです」

 ワーケーションに限らず、新しい働き方が次々と登場している時代。自分の仕事観に合ったワークスタイルを一度考えてみてはいかがだろうか。

(吉田由紀子/5時から作家塾(R))

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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