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新しいMax-Q技術でバッテリーは最大2割増し!?

RTX 2080 SUPERと2070 SUPERが追加、ゲーミングノートPC向けGeForce最新アップデート

2020年04月02日 19時20分更新

文● ジサトライッペイ 編集●ASCII

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 NVIDIAはノートPC向けディスクリートGPU(以下、dGPU)ラインアップのアップデートを発表した。現在、同社のdGPUとしてはGeForce RTX 2080、RTX 2070、RTX 2060、GTX 1660 Ti、GTX 1650、GTX 1050といったモデルが主力だったが、今回のアップデートで新たにRTX 2080 SUPER、RTX 2070 SUPER、GTX 1650 Tiが追加された形だ。

ノートPC向けGeForceのラインアップが刷新

 なお、GeForceの現行製品は以前のように型番末尾に「M」をつけるなどの見た目上の差異化はしておらず、ノートPC向けもデスクトップPC向けと同じ型番が使われている。しかし、そのスペックは少々異なる。主な違いはノートPC向けということで、Total Graphics Power(以下、TGP)と呼ばれる消費電力が低い点だ。

 それに伴い、ブーストクロックも低めで、なおかつ設計自由度を上げるためか、幅をもたせたものになっているようだ。違いがいまいちわかりづらくなった現行GeForceのデスクトップ版とノートPC版の仕様の差を改めて紹介しよう。以下が詳しいスペックとなる。

今回刷新されたノートPC向けGeForceラインアップのスペック

 GeForce RTX 2080 SUPERで言えばCUDAコアは同数でVRAMの種類や容量も同じだが、ブーストクロックは1080~1560MHzと、デスクトップ版の1815MHzからだいぶ低く設定されている。また、メモリー帯域幅も最大448GB/sと、デスクトップ版の496GB/sから下がっている。また、GeForce RTX 2070 SUPERも同様で、ブーストクロックが1155~1380MHzとデスクトップ版の1770MHzから大きく下回る。

 とは言え、GeForce RTX 20シリーズのノートPC版はデスクトップ版と同様、DXRやDLSS 2.0が使えるなど、筆者が把握している限りでは機能的な差はない。ブーストクロックなどのスペックがデスクトップ版から多少低くても、電力性能効率の良いTuring世代のGeForceなら、ノートPC版でも十分最新ゲームを快適に遊べるだろう。

「Max-Q」が進化してより賢い運用が可能に

 そして、今回のアップデートではゲーミングノートPCを高性能なまま薄く、軽く設計できる「Max-Q Design」で知られる、「Max-Q」まわりの新技術についても発表された。同社の資料では「New Max-Q Technologies」とされており、強力なdGPUを搭載しながらも電力性能効率を重視する技術が中核となっているようだ。

新しいMax-Q技術の概要。「DOUBLE EFFICIENCY」(=倍の効率)とアピールしており、それを実現するための技術や仕様として、新機能「Dynamic Boost」の導入や省電力なGDDR6メモリーの採用、CPU内蔵GPUとdGPUをシームレスに切り替える「Optimus」技術、DLSSなどを挙げている

2017年製のMax-Q採用ゲーミングノートPCと比べて、2020年のMax-Q採用ゲーミングノートPCは倍以上のフレームレートが出るという一例

 この新しいMax-Q技術で注目すべきは「Dynamic Boost」という機能だ。これはCPUとdGPUのサーマルソリューションが一体型になっていることが多いノートPCならでは機能で、それぞれの電力や温度の情報を共有してCPUの電力を下げてそのぶんdGPUを上げるなど、ノートPC全体の消費電力は変えずにバランスの良い電力配分を行なうというもの。

Dynamic Boostの例。オンにすると、CPU側の電力が15W下がり、そのぶんGPUは15W上がるというもの

Dynamic Boostのオン・オフによるフレームレートの比較

 上記の図はDynamic Boostを有効にすることで、dGPUの描画性能が上がり、そのぶんフレームレートが上がると示している。概ね1割程度の性能向上に留まっているが、1fpsでも上げたいという競技性の高いゲームタイトルでは、この微増分が勝敗を分けるかもしれない。

Optimusについてのアップデート

 CPU内蔵GPUとdGPUをシームレスに切り替えて、バッテリーを効率良く運用する技術「Optimus」にもアップデートがあった。その名も「Advanced Optimus」と言うのだが、G-SYNCや4K/120Hzといった高解像度かつ高リフレッシュレートなディスプレーをサポートし、Dynamic Display SwitchでCPU内蔵とdGPUを切り替えて遅延を改善しているという。

DLSSを活用すればバッテリー駆動時間は最大20%伸びる

 こちらはGeForce RTX 20シリーズ限定の話だが、先日発表されたDLSS 2.0を活用すると同程度の画質で描画しても、dGPUの負荷は学習結果に補完され、結果バッテリー駆動時間が最大20%伸びるとNVIDIAは謳う。上の図では画質よりもフレームレートを重視する「パフォーマンス」設定の例で説明している。ほかの「クオリティ」や「バランス」設定ではどの程度の節約になるかは不明だが、ノートPC向けGPUでもGeForce RTX 20シリーズの存在感が増すことは確かだろう。

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