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5Gで世の中どう変わる? スタートアップ代表者が考える

JAPAN INNOVATION DAY 2020 by ASCII STARTUP

連載
JAPAN INNOVATION DAY 2020

5G×●●×ベンチャーで何が起こる!?

5G×●●×ベンチャーで何が起こる!?
JAPAN INNOVATION DAY 2020の模様をレポート

 アスキーは2020年3月19日、オールジャンルのXTech展示カンファレンスイベント“JAPAN INNOVATION DAY 2020 by ASCII STARTUP”を、赤坂インターシティコンファレンスにて開催。各セッションについては、申込者全員にアーカイブ配信した。

 「5G×●●×ベンチャーで何が起こる!?」という題したセッションでは、5Gの国内での商業利用が開始したことに合わせ、スタートアップ企業が、異業種コラボレーションによるビジネスチャンスの創出というテーマでディスカッションを実施した。

登壇者はAnchorZ 創業者 兼 代表取締役CEO 徳山 真旭氏、トルビズオン取締役COO 清水 淳史氏、PicoCELA 代表取締役CEO 古川 浩氏の3名

 登壇者はAnchorZ 創業者 兼 代表取締役CEO 徳山 真旭氏、トルビズオン取締役COO 清水 淳史氏、PicoCELA 代表取締役CEO 古川 浩氏の3名。

 国内では3月23日にKDDI、3月25日にドコモ、3月27日にソフトバンクが相次いで5G網を提供開始しているが、高速大容量、超低遅延といった5Gの通信網を活かす鍵は、異業種との協業にあるとも言われている。

この日の登壇者はAnchorZ 創業者 兼 代表取締役CEO 徳山 真旭氏、トルビズオン取締役COO 清水 淳史氏、PicoCELA 代表取締役CEO 古川 浩氏の3名。各企業の事業内容を簡単に紹介する。

スタートアップ企業が考える
5G時代のビジネスチャンス

AnchorZは「DZ Security」というセキュリティーソリューションを提供している

 AnchorZは「DZ Security」というセキュリティーソリューションを開発、提供。フォアグラウンドでアプリが動いている際に、バックグラウンドで生体や「ふるまい」認証などをする仕組み。同社のソリューションを製品に組み込むと、ユーザーは認証を意識せずに使え、かつ、セキュリティーの高さも担保できるメリットがある。

 AnchorZの徳山 真旭氏は「セキュリティーの観点から見ると、複数のクラウドに分散して動画を保存して、(動画のセキュアに保つことで)本人だけが見られるようにするといったことにも、十分な通信速度。CPUのパワーはすでに十分にあるので、5Gの時代でネックだった通信の部分が解決するのは嬉しい」と話す。

トルビズオンは上空シェアリングサービス「sora:share」を提供

 トルビズオンは上空シェアリングサービス「sora:share」を開発、提供する。日本の法律では、土地の所有者の権利は地上300mまで及ぶため、ドローンのユーザーは、宅地の上空などを飛ばせない。

 土地所有者がsora shareに登録すれば、ドローンユーザーは「空中権」を借り、定められた時間内でドローンを飛ばすことが可能になる。COOの清水 淳史氏は「空の民泊サービスのようなもの」と形容する。

 トルビズオンの清水 淳史氏は「カメラを搭載して、見守りや災害時の調査にドローンを使うことがある。5Gの大容量、超高速という特徴を活かせば、4Kの画像をリアルタイムで送信できるようになる。また、低遅延、同時他接続という特徴によって、他拠点でリアルタイムにドローンを操作しながら、監視することも可能になる」と話した。

PicoCELAは、LANケーブルの配線を大幅に削減した「スモールセル(小さな基地局)」の設置のための技術を開発、提供

 PicoCELAは、LANケーブルの配線を大幅に削減した「スモールセル(小さな基地局)」の設置のための技術を開発、提供する企業。

 例えば、LANケーブルを使ってオフィス内にネットワークを構築すると、ケーブルの数は膨大になり、コストもかかる。また、レイアウト変更時にも、ケーブルの引き直しが必要になるなど、保守面の手間がかかったり、大規模な工事が必要になるケースもある。

 同社の技術を使えば、LANケーブルの数は最大で90%削減できるという。この技術と、必要な機器、使用料をセットにした「ケーブルいらず」という月額課金型のサービスを提供している。

 PicoCELAの古川 浩氏は、「基地局の整備にビジネスチャンスがあるととらえている。PicoCELAの根幹の技術は、Wi-Fiだけでなく、セルラーにも適用できるので、大手とアライアンスを組みながら進めていきたい。

 やや長い目で見れば、現在は屋内でのGPSの測位が難しいが、5Gの基地局が整ってくると、屋内での高精度の測位が可能になってくる。これを活用した、新しいサービスやソリューションが生まれる素地になる。独自のポジションを担いながら、社会に貢献できるサービスが作れたら」と話した。

5Gが普及した近未来の光景とは

 また、5Gが普及した未来の光景というテーマでは、AnchorZの徳山 真旭氏が「5Gが普及すれば、仮想の世界と現実の世界を、誰がどう結びつけるのかという話になってくる。例えば、カードのような物を1人1枚持ち、それをデジタルアバターにすることも可能になる。

AnchorZの徳山 真旭氏

 本人であることをカード1枚で証明しながら、ネットワークを通じてさまざまなサービスにアクセスできたり、現実世界でも、『何時何分にどこを通って何をした』という記録を本人が参照できるようになる」と話した。

PicoCELAの古川氏

 PicoCELAの古川 浩氏も「重要なインフラでは有線を使うという『無線アレルギー』がある。5Gの大容量、超高速という特徴は、B to Bで使われる信頼性のある回線にも適合するもの。さまざまな通信が無線に置き換わって、かつセキュアに通信できることが当たり前になっていく」と話した。

トルビズオンの清水 淳史氏

 トルビズオンの清水 淳史氏は「いま、ドローンを使ったサービスでは、ひとつのソリューションに対してドローンが1台という構造が一般的。5G回線による中央管理が可能になれば、1台のドローンに対して、さまざまなソリューションがアクセスできるようになる」と5Gがドローンにもたらす新たな可能性に言及。「物流にドローンが活用されたり、空飛ぶ車というのも、それほど遠い未来の話ではなくなってくる」とも話した。

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